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【第三回】ちょっと小腹がすいたんで。

保谷/麺屋 彩香

西東京の勝手口。
都心から電車で揺られれば30分弱で着くこの駅。
あまり馴染みは無いがここにも美味いラーメンを食わせる店がある。

なんの変哲もない線路沿いの雑居ビル。
そこに幟は立っている。
洞窟でも覗き見する気分で奥へと入っていく。

こ れ は わ か ら な い。

恐る恐る歩を勧めて中に入る。

11時開店で11時半すぎに到着するもカウンターには先客が2人。
行列を予想していただけにホッとしているとこの日は「特製(全部乗せ)」の提供が無いようで、味玉をつけるか否かという判断しか出来ないようだ。

迷わず味玉つきを購入して席へ着く。

兼ねてから評判は聞いていたのでどんな綺麗なラーメンが出てくるのか些か楽しみである。
こうやって食券を渡してラーメンを作って貰っている時間が楽しみだったりする表裏。

この時間が一番長く感じたりもする。

そりゃあそうだ、腹を減らして食いたいモノを目の前にしてるんだもの。
そして嗅覚を呪う。
恐ろしく良い香りが犇めいて居るのだ。
ラーメンをよく食べたり作ったりするので、
「あっ、これは○○の香りだ」とか「これは○○を炊いた匂いだな」とか……
食に卑しいとはこういうことである。
そんな思索を巡らしていると予想よりずっと早くラーメンが提供される。

味玉醤油
¥850

綺麗で潔い。
鶏・豚・魚介のバランスが取れた清湯スープ。
出色した醤油ダレのキレ。

カネジン食品の低加水細麺。
このスープにぴったりの麺のチョイスである。
麺を手繰る箸が止まらず。

バランスで成り立っている組み立てなので余り厚切りなバラ肉よりこれ位の薄さが恰度良い。
鶏油の風味が鼻を通るのが心地良し。
総合的な均衡をみてもしっかりと作り込まれている一杯。

味玉に至るまで味の収め方が散らかっておらずなんの違和感もなくスープまで飲み干してしまうような作りだ。

ゆったりと落ち着いてこのクオリティのモノが食べられるとあっては実に重宝できるかも知れない。
塩も食べておけば良かったかな。
なんて思いながら店を後にする。


営業時間

火〜金11:00~14:30/18:00~20:00

土・日・祝]11:00~16:00

※スープ切れまで

定休日月・木

※祝日の場合は営業、翌日休

座席数

カウンター8席

行列

休日にお邪魔したが列を成して無かった所を見るとそこまではキツくなさそう。
※タイミングが良かっただけかも知れないので要注意