地獄めぐりファンタジー:嘘つき閻魔と十王裁判第一章 地獄行きバスツアー、出発! #創作大賞2024 #漫画原作部門



「えー、誠さん? 嘘でしょ?!」


病院の白い天井を見つめていたはずの私の視界に飛び込んできたのは、真っ赤に燃え盛る空と、禍々しくもどこかコミカルな鬼の顔をした門だった。


門の上には、「ようこそ地獄へ!」と書かれたネオンサインが、チカチカと怪しげな光を放っている。


「嘘であってほしいのはこっちだよ…」


つい先日まで、満員電車に揺られながら会社に向かっていた、ごく普通の会社員、佐藤誠(28歳独身)は、現世では考えられない光景を前に、ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。


事の発端は、ほんの数日前。私は、上司に押し付けられた残業を避けるため、「今日はどうしても外せない用事があるんです」と、些細な嘘をついてしまったのだ。


その帰り道、信号無視の車にはねられ、気づけばこの世と思しき場所にいる。…なんとも皮肉なものである。


「あの…ここって…」


恐る恐る隣に立っていた、巨大な赤鬼に話しかけてみる。


「ここは地獄の入り口、鬼ヶ島インターチェンジでございます。お客様はこれから、生前の罪を裁くため、十王裁判を受けていただくことになります」


赤鬼は、意外にも丁寧な口調でそう説明した。鬼なのに…インターチェンジ?裁判?頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになる。


「お客様、バスの時間でございますよ。さあ、お乗り遅れのないように」


赤鬼に促され、私はぞろぞろと歩く人々の列に紛れ込んだ。行き先は、なんと「地獄バス」と書かれた、ド派手な観光バス。


「地獄も観光地化してるのか…?」


戸惑いながらも、バスに乗り込む。車内は硫黄の匂いと、罪人たちの不安そうな吐息で満ちていた。


「皆様、ご乗車ありがとうございます! この地獄バスツアーのガイドを務めさせていただきますのは、わたくし、ガイコツでございます!」


陽気なアナウンスと共に、骸骨マイクを持った陽気なガイコツが、運転席横から顔を出した。


「これから皆様には、十王裁判が執り行われる、個性豊かな十の地獄を巡っていただきます。恐怖!興奮!感動!盛りだくさんの内容でお届けいたしますので、どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください!」


こうして、私の、嘘つき閻魔と十王裁判による、地獄めぐりファンタジーの幕が上がったのだった。


第一章はここまでです。いかがでしたでしょうか?

次は誠が個性的な地獄の住人たちと出会い、最初の試練に挑みます。

どうぞお楽しみに!


#創作大賞2024

 #漫画原作部門


この度のご縁に感謝いたします。貴方様の創作活動が、衆生の心に安らぎと悟りをもたらすことを願い、微力ながら応援させていただきます。