貿易会初日
僕とちょうさんは中国式バイキングを食べ終えると早速会場までのバスに乗り込んだ、
朝からけたたましく鳴り響く、果てしなく続くビル開発の工事音、シェアリングの自転車で走り回るたくさんの人、今日もいつもの中国の始まりだ。
バスに乗り30分程で会場が見えた、どうやって建築するのか、楕円を横にしたようなバカでかい建物、
そこに50人以上は乗れる大型バスがガンガン入っていく、さすが世界の貿易会、スケールがものすごい。
英語、中国語、ロシア語、アラブ語、わからないけどさまざまな言語が飛び交う中受付を済ませ、「バイヤー」と書かれたパスカードを首にかけいよいよ会場入りを果たした。
とにかく広い展示会場、あらかじめある程度どこを回るかちょうさんと打ち合わせしていた、まずはキッチン用品だ。
先が見えない程続くブースの数々、どうやって回ろうか。
まず気になったのはシリコン製のストロー、近年のプラスチックによる環境汚染に対して開発されたのであろう、僕も日本ではタピオカドリンクを絶賛販売中だ、サンプルをもらって説明を聞いた。
奥へズンズン進み、とにかく見まくる、気になれば足を止め話を聞いて興味があればパンフレットをもらい名刺を渡す、これの繰り返しだ。
フライパンやナベ、包丁にハサミ、電子計量器にシリコン製調理器具と、ものすごい物量を見て回る、
「タンブラーが、多いな。」途中気がついた、トレンドはタンブラーか、良いものがあれば売れるのかな、、
それからは、紙製ストローやテイクアウトバック、タンブラーと環境への配慮を考えた商品に絞って見て回る事にした、全ての情報はとても処理し切れない。
キッチン用品エリアの3分の1は回れただろうか、奥のエリアまでの間に小さなカフェがありみんな寛いでいる、僕らも一服入れる事にした。
「いやー、とにかくすごいね、ヤバい!」
興奮する僕にニヤニヤとちょうさんは視線を送る。
「世界中からバイヤーが集まってる、チベットの会社も出展してるし、あそこの席の集団はアラブの人達だ、イチゴさんはとにかく色々な価値観に触れると良い」
ちょうさんは4つ年下だけどお父さんに見えてきた、
砂糖をたっぷり入れたエスプレッソをグイッと飲み干し、再び歩き始めた。
キッチン用品エリア最後の島までたどり着いた、ザザーっと見て回るとビビっときたタンブラーに出会った、
ロシアの会社、デザインと色がとにかくツボだ。
早速、日本での独占販売はできるのか、MQFは幾つなのか確認する。
残念ながら独占販売は厳しそうだ、だが基本的にこちらが販売する場合はオリジナルのロゴを入れて、提携工場で生産している形で行えるとの事。
悪くは無いのかな、初めてだらけで状況がよく掴めない、、MQFは3000個から、ロゴマークまで入れて納品される価格は約700円、200万円の買い物だ、一つ1200円で販売して、500円の粗利、3000個売れれば150万の儲けだ、売れ残る場合の損益はどこだ?などと考えている間にちょうさんはロシア人と話をまとめてそのブースを後にした、
「3000個は重たいね、在庫の山を見て寝れない日々が続くかもよ笑」
ちょうさんのお客様で4000個タンブラーを発注し、3年が経って在庫が3500個山積みになっているひとがいると教えてくれた、
そんなに甘くはないか、、、
しかしこんな時のためのクラウドファンディング、物量、価格の大きい物は帰国してから案件を進めつつ、クラウドファンディングへの準備を進めよう。
ロシアのタンブラー是非とも販売してみたい!!
ちゃっかりタピオカ用の紙ストロー、ホットの16オンスカップのサンプルもゲットしてキッチン用品のエリアを後にした。
さて、次は最近「破天荒フェニックス」を読んですっかり主役気分にさせてくれた「メガネ」のエリアへ向かう事に。
どこまでも続くブースの数々をかい潜り建物の2階へ続くエスカレーターは人種の坩堝、圧巻である、
メガネエリアに着くと今度は違う驚き、10個程しかブースが無い!
「すぐに見切れてしまうなぁ」キッチン用品に比べて明らかに少ないブースの数に少々ガッカリしながらザザーっととにかく見る、
おや?1軒だけキラリと光るセンスを感じるブースを発見!
すかさずちょうさんの交渉が始まる、
MQFは1200個、価格は5〜700円、んー、1種類毎に1200個はキツいなぁ。
すると担当者が、ドヤ顔でこれならどうだ!とサングラスの最新モデルを差し出した、
マットな質感にいい感じのグレー、ネイビー、ブラック、グネッと曲がる耐久性のある新素材。
これはいいね!オシャレだ!
しかもこちらのサングラスのMQFは300個からで可能との事、ロゴマークを入れ、オリジナルの収納ケースをデザインし、700円程度の仕入れ値、納期は2ヶ月!
20〜25万程度の買い物で、売値は3800円、4500円でも申し分ないクオリティではないかな、粗利は3000円〜300個売れれば90万円の利益!
メガネは付加価値を付けやすい商材なのかもしれないな、300個のロットであれば3〜4種類揃えて、サングラス専門のECサイトを開設してもいいのかな、インスタでこのサングラスに特化したアカウントを作成しようか、など色々考えているとちょうさんが話をまとめてブースを後にした。
「箱のデザインと、ロゴマークのデザインが重要ですね」
ちょうさんの父親も昔メガネを取り扱っていたらしいが、付加価値がつけやすく利益率が高かったと教えてくれた、加えてMQFが300個というのも魅力的で、物量もそれほどかさばらないのではとなかなか良い反応を示してくれた。
さて、一旦昼飯にしようか、だだっ広い会場で立ち尽くしどこかにあるであろう飲食スペースが運良く近くにある事を願いながら僕達はまた歩き出した。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?