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上手な英文を書ける様になるための唯一のメソッド


魚は太陽に照らされ、引き締まった弾丸のような体をして、大きく無表情な目を見開きながら、良い形のよく動く尾を素早く震わせ、船板にその生命を打ちつけている。

解説:さすがヘミングウエイ、と思う。見事な文章。
 上手な英語を書くことができるようになるためには、評価されている作者の英文を多く読み、良いところは暗記したり、あるいは、ここでやっているように、「やわらかな暗記」でそのような英文に親しむしかない。

 今はやりの5択のe-ラーニングなどいくらやっても身にはつかない。

 だいたい、5択などというものは採点者に便宜を図るためのもので、学習者へのメリットなど何もない。むしろすごく残酷な勉強を強いる。

 英文が読めてそれを理解し、重要なところ、あるいは、良い表現を覚える。それが勉強の基本ではないか。

 5択になると一つ一つの紛らわしい選択肢を検証しなくてはいけない。皆さんも経験あると思うがそれはすごく退屈なboringな作業である。さらに悪いことに、e-ラーニングに出てくる文章など、ここでやっているヘミングウエイの英文に比べたら陳腐なものだし、その選択肢の英文など我々を引っ掛けるために苦し紛れに作った英文も多く非常にくだらないものが多い。しかし5択のe-ラーニングなどをするときは、これを分かるまで調べて理解しないと勉強にはならない。

 故に私は残酷な勉強である、と考えているのである。

 自分もこのような勉強はしてこなかったな。
 私の頃の場合・・・もっとも今もそうであろうが・・・英文解釈と英作文はそれぞれが独立していた。
 英作文は、日本語を英語にする問題を解く。上手い文章など書けるわけがない。何とか「えい、やあ」という調子で書いてみる。あまり良い英文ではないな、と思いながら。
 終わったら解答を見てみる。さすがに上手に書いてあるな、と思う。
 「ふんふん、このように言うのだな」と思ったりする。良い表現を覚えようとしたりもした。それで終わりである。これでは碌(ろく)な勉強にはならないのはやっていて分かった。もっとも何もやらないよりは良い。

 当時、伊藤和夫先生著 英作文700選 という本があった。非常に評判が良い本であった。今も本屋さんには売っている。評価は今も高い様だ。
 これが塾の教材になっていた。さすがに高い評判を博しているだけに、良い本だと思った。しかし、高校生の自分はあまりやらなかった。やらなかった理由はいろいろある。皆さんと同じかな。忙しい。部活で忙しい。数学、英文解釈などの他の科目で時間を取られる、などなど。
 しかし何となく今になって思うが、文章が陳腐であったと思う。
 「野球の試合をして7-2で勝った」という英作文。なるほど「7-2で勝つ」とはこのように言うのか、と言うことで勉強にはなる。しかし、それだけである。こんな陳腐な文章をいくら読んでも、覚えてもそのようなことはあまり面白いことではないように思ったのではないだろうか。

 それに対して、ヘミングウエイ。名文の連続である。
 このようなものをしっかりと読めば、英語力も上がるし、その文章群が自分の英語の基盤になっていくだろう。
 それこそが、上手な英文を書ける唯一の方法であろう、と今になって気がついたのである。


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