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化学産業とSDGs 「4. 質の高い教育をみんなに」

日化協SDGsタスクフォース資料の「関連する化学産業の活動」
グローバル展開において、新興国での労働者へのスキル教育を行い、当該国における技術的・職業的スキルの向上に貢献している。

SDGs目標への化学産業の貢献を考える本シリーズの「1.貧困をなくそう」ではナイジェリア、コンゴ、エチオピア、バングラデシュの化学産業の活動をご紹介しました。新興国の化学産業の振興における課題は「化学のスキルを持った労働力」です。化学産業でエンジニアとして働くことができるミドルクラスの労働者を生み出す教育制度がないと、化学産業は成り立ちません。

 コンゴで近代的な鉱山産業がいまだに確立できていない背景にはエンジニアリングのスキルを持つ労働者の不足が考えられます。JICAではコンゴの国立職業訓練校の指導員育成を支援するプロジェクトを1980年代から実施していますが、道のりは長いといえるでしょう。

 日本が新興国家だった明治時代、明治政府は工学人材の育成のため工部省工学寮の設置しました(1871年)。工学に特化した高等専門教育機関は同時期の世界各国に比べても先駆的な取り組みで、1877年には工部大学校に改称され、高峰譲吉など日本の近代化学を支える人材を輩出しました。

 一方で現在の日本では若者の理科ばなれが進んでいるといわれています。日化協は2010年より「化学人材育成プログラム」を開始し、奨学金の給付や就職の支援、大学・企業の交流促進や企業からの出張講義などを行っています。

 人材の供給はいつの時代でも産業発展の基盤です。日本でも、多くの優秀な若い人が化学の道を選ぶことを願っています。

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