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リチウムに関する最近のニュース(2022年4月分)

リチウム不足が深刻化

リチウム不足が深刻化しています。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度より十分低く抑える」ことを目標にしており、国際エネルギー機関(IEA)の推計では目標気温上昇に収めるために30年までに全世界のEV販売台数が年4700万台に達している必要があるとされています。しかし、現状のリチウム生産量では30年のEV販売台数の予測としては2800万台か、それを下回る数字になると見込まれています。リチウム生産量がEV普及のネックになるということです。

需給は一時的に緩和したが

上海ロックダウンによるEVの減産により、リチウムの需給は一時的に緩和され、8カ月ぶりに値下がりに転じました。2021年8月に初めて1トン当たり10万元(約197万円)を超えた炭酸リチウムの市場価格は、その後わずか半年余りで同50万元を突破しましたが、4月12日時点の取引価格は、1トンあたり49万6000元(約975万円)と前日より4000元(約7万8652円)下落し、3月4日以降で初めて50万元(約983万円)を割り込みました。とはいえ、下落幅はわずかであり、今後も上昇基調は続くと見られています。

合成ゴム市場の拡大

EV市場が立ち上がる前のリチウムの大口用途は合成ゴムの重合触媒に用いられるブチルリチウムでした。特にエコタイヤ向けのゴムS-SBR(solution styrene-butadiene rubber)の市場の伸びが大きく、合成ゴム大手が2010年代以降に次々と設備投資を行いました。転がり抵抗が少なくなり燃費が向上するS-SBRは、走行距離が問題になるEVにも適しています。一時期踊り場にあったS-SBRですが、ここにきて拡大投資が報じられています。大手のダイナソルはスペインとメキシコでのS-SBRプラント増設を発表しました。すでに合成ゴム市場とEV市場との間でリチウムの奪い合いになっていますが、この状況も今後顕在化するでしょう。

直接リチウム抽出法(DLE)

直接リチウム抽出法が注目を集めています。現在のリチウムの製造法は塩湖での蒸発法か、鉱山からのリチウム鉱石の採掘です。前者はリチウムを多く含む「かん水」を地下からくみ上げ、天日で乾燥濃縮します。古典的な塩田と同じ技術で、欠点はくみ上げから塩の晶析まで1年半ほどかかることと、天候の影響を受けやすいことです。リチウム鉱石の採掘は主に露天掘りで行われており、採掘や精製の過程で多くの廃棄物が発生し環境汚染が問題になっています。
直接リチウム抽出法(DLE)はフィルターや膜、セラミックビーズなどの装置を使い、かん水からリチウムを抽出します。装置の小型化が期待され、またリチウムの回収率も上がると見られています。巨額の投資をあつめておりますが、いまだパイロットレベルの技術であり、商業生産への道はまだ長いようです。

https://mric.jogmec.go.jp/reports/mr/20190329/112230/


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