化学産業とSDGs 「11.住み続けられるまちづくりを」
日化協SDGsタスクフォース資料の「関連する化学産業の活動」
RCに保安防災活動や大気・廃棄物の管理を通じて、都市の安全の向上や環境改善に貢献してい る。耐震ゴムなど災害対応素材の開発を通じて自然災害に強いまちづくりに貢献している。エア バッグなど安全装置の提供を通じて都市交通の安全性向上に貢献している。
科学技術が発達した現代の日本においても、住居が失われてしまうような災害が続いています。老朽化した都市インフラの補修や補強のために、意外なところで様々な化学素材が利用されております。
ビニロン繊維
ビニロン繊維は、ポリビニルアルコールを部分的にホルムアルデヒドでアセタール化して得られる合成繊維で、京都帝国大学の桜田一郎らにより開発された歴史のある素材です。ビニロン繊維をセメントに混ぜることによってセメントの強度が増すことが知られています。ビニロン繊維の効果として、(1)加重をかけた際に、高強度で伸びたりせず形状が変わりにくいこと、(2)アルコール基をもつことからセメントとの接着性が良いこと、(3)耐アルカリ性が高いためセメントと混ぜても劣化しないこと、が挙げられています。
アラミド繊維
アラミド繊維は芳香族アミドをモノマーとするポリアミドで、1960年代にデュポンにより開発されました。アラミド繊維をシート状に加工したアラミドシートを橋脚などに巻き付けることにより耐震補強を行うことができます。
炭素繊維
構造材として需要が高まっている炭素繊維は、アラミド繊維と同様に橋脚補強等に利用されています。炭素繊維は鋼の約10倍の引張り強度をもち、重さは1/4なので、軽量で手軽に施工できるメリットがあります。
ポリエステル繊維
豪雨災害は毎年のように起きており、堤防の補強は大きな課題です。ポリエステルの短繊維を土壌に混入することにより、降雨・流水に対する堤防の耐浸食性や強度・靭性を向上させることができます。使用されるポリエステル短繊維は長さ:数10~数100mmのもので、土壌に0.1~数%加えることにより高台や堤防等の盛土の法面が補強されます。
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