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リチウムに関する最近のニュース(2022年5月分)

EV用のリチウムイオン二次電池の本格普及が始まったらリチウムが足りなくなることはリチウム業界では予測されていたことですが、リチウム市場の現状を報じているブルームバーグの5月26日の記事 The trouble with lithium を要約しました(リンク画像にAre you a robot?と出ていますが、そのままクリックしてください)。

  • リチウム不足が、地球温暖化を食い止めるための最も重要な取組みを妨げている。

  • バッテリーメーカーが十分なリチウムを入手できない場合、クリーンエネルギー車の拡大が抑制され、世界の排出目標を達成することが難しくなる。

  • 4月のイーロン・マスクのツイート「テスラは実際に大規模に直接採掘と精製に取り掛かる必要がある」

  • 2018〜2020年のEV不振により新しいリチウム源への投資が不足したことが前例のないリチウム不足の原因。

  • オーストラリアとカナダはリチウム開発を支援を表明。中国もチベット高原に100万トン以上のリチウム鉱床を発見したと発表。しかし新しい鉱山開発には何年もかかり、地域社会からの抵抗も増加。

  • 今月のチリの憲法が9月の国民投票で批准された場合にリチウム生産者に影響を与える可能性がある。

  • リチウム採掘の環境汚染やサプライチェーンのカーボンフットプリントが問題。

  • かん水から1トンのリチウムを作るのに約70000リットルの水が必要です。Albemarleは淡水使用を2030年までに25%削減すると述べている。

  • スポジュメンの採掘はエネルギーを大量に消費し、かん水法に比べ3.5倍の二酸化炭素を排出する。

  • 直接リチウム抽出(DLE)が2023年後半に実現する可能性があるが、DLEが実現しても少なくとも10年間は自動車会社のEV計画に遅れが出る。

  • リチウムイオンは、少なくとも2035年まで、主要なバッテリー技術。ナトリウムイオンバッテリーがリチウムに挑戦する可能性があるが、EV認定には時間がかかる。

  • もう1つの潜在的な供給源は、古いバッテリーのリサイクルだが、バッテリーの廃棄が増えるのは2030年以降

イーロン・マスクがリチウム採掘に進出? というニュース。新しいビジネスを始めるときには必ず新しい技術で参入してきたマスク氏。直接リチウム抽出(DLE)や海水からの抽出など、革新的技術にぜひ挑戦してほしいと思います。

一方でゴールドマンサックスの、リチウムの強気相場は終了とのコメント(5月29日)も話題になっています。「リチウム相場には「急速な調整」が入り、スポット価格で1トン当たり6万ドル超の水準から年内に平均5万4000ドル未満、2023年には同1万6000ドル強に下がる」と予測しています。 

リチウム価格が来年には下落するというゴールドマンサックスの予測に対して、新興リチウムサプライヤーのピードモントリチウムのCEOは、あと10年は高値が続くと主張しています。これからリチウムに参入しようとする会社としては当然の主張でしょう。




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