財務諸表の内容
財務諸表は、会計期間を1年で区切り、日々の記録をまとめた書類です。代表的なものに、貸借対照表と損益計算書があります。
表示様式は、どちらの書類の場合も真ん中でタテに割ることで借方と貸方を分けています。このようなタイプを勘定式(かんじょうしき)といいます。
簿記の世界では、わかりやすい表記のためにかなり様式美を大切にしています(笑)。
例えば、貸借対照表も損益計算書もどちらも借方・貸方への記入行数が異なりますが、最終行の借方合計と貸方合計は必ず同じ行へ記入しています。これは、合計が一致していることをわかりやすく表記するためです。
そのため、勘定科目や金額の記入行数が少ない場合は、赤色で斜めの1本線が入っています。これを①余白線(よはくせん)といいます。
また、合計金額の上には1本線、合計金額の下には2本線が入っています。この1本線のことを②合計線(ごうけいせん)、2本線のことを③締切線(しめきせん)といいます。
合計線を引くことで、これまでの金額を合計していることが分かります。また、『合計』という文言ではなく合計線にすることで、書類をシンプルにしているんですね。
締切線は、タイトルの詳細が記入し終えたことを示しています。
次に、それぞれの書類にはどんなことを書いているのか?を見ていきましょう。
大ざっぱにいうと、貸借対照表は、期末に会社が持っていた財産についてまとめた書類です。財産といっても、現金や商品のようなすぐにおカネに変わるようなものばかりではなく、借入金(かりいれきん)といって銀行から借りたおカネのようなマイナスの財産も記載しています。
一方で損益計算書は、1年間におこなわれた取引の収入と支出すべてを記録しています。簿記の世界では、収入のことを収益(しゅうえき)、収入を得るために使った支出のことを費用(ひよう)といいます。
貸借対照表
貸借対照表は、英語でBalance Sheetといい、略してB/S(ビー・エス)とよんでいます。記載内容をベンキョーっぽくいうと『一定時点の財政状態を示す』となります。一定時点とは、ほとんどの場合『期末』をさしています。
財政状態とは、どんな形で資金を調達し、その資金をどのように運用しているのか?という意味です。また、調達と運用を分かりやすく判別するために、勘定科目を資産(しさん)・負債(ふさい)・資本(しほん)という3つのグループに分類しています。
貸借対照表では、資金の調達を貸方に表示しています。また、調達方法によって、返済が必要な負債と返済の必要がない資本の2種類に分けています。
この2種類は、その特徴をふまえた別の名称もあります。負債は他人資本、資本は自己資本です。
一方、調達した資金の運用のかたちを資産といます。詳しくは2級でベンキョーしますが、資産はさらに細かく分類されていて、流動資産・固定資産・繰延資産(くりのべしさん)の3つから成り立っています。そのため、すべての資産を合わせた合計を総資産とよんでいます。
ところで簿記では、計算で把握するだけでなく、上の図6のように箱を書いて財産の状態を把握することがあります。
これは、箱を2つに割って書くことで複式簿記の特徴と同じになるからなんです。その特徴は、借方合計と貸方合計は必ず一致するというところです。
そのため貸借対照表は、【資産=負債+資本】の等式で表すことができます。これを貸借対照表等式(たいしゃくたいしょうひょうとうしき)といいます。
また、資産と負債の差額は資本(純資産)になります。
資本は、すべての資産合計から他人資本である負債を除いた金額です。つまり、純粋な会社の資産をあらわしています。等式では【資本=資産-負債】となります。これを資本等式(しほんとうしき)といいます。
3級でベンキョーする資本は、純資産(じゅんしさん)という大きなグループの中の1つです。詳しくは2級でベンキョーしますが、どちらの言葉もしっかりと覚えておきましょう。
ちなみに純という漢字は、『まじりけのないそのもの』を意味しますが、簿記の世界では『引き算をして残ったモノ』を表しています。この意味を知っておくと、後々の理解にとても便利です。合わせて覚えておいてくださいいね。
損益計算書
損益計算書は、英語で Profit and Loss Statement といい、略してP/L(ピー・エル)とよんでいます。
記載内容はベンキョーっぽくいうと『一定期間の経営成績を示す』となります。一定期間とは、会計期間である期首から期末までの期間を指しています。売上や手数料のような収入のことを収益、商品を仕入れたり従業員のお給料といった収益を得るための支出を費用といいます。
収益から費用を引いた差額はもうけです。これを利益(りえき)といいます。特に損益計算書で計算した利益は、期首から期末までの当期の利益です。これを当期純利益(とうきじゅんりえき)とよんでいます。
これを計算式にすると【収益-費用=当期純利益】となりますが、【費用+当期純利益=収益】と書きかえることができます。この等式のことを損益計算書等式(そんえきけいさんしょとうしき)といいます。
ただ経営状態によっては、収益より費用の方が多くなってしまうこともあります。このようなときには、利益が出ずマイナス=いわゆる赤字の状態です。これを当期純損失(とうきじゅんそんしつ)といいます。
ここまで、貸借対照表と損益計算書の記載内容について見てきました。
簡単な足し算や引き算とはいえ、算式として表示されるとつい『覚えなくては…』と身構えてしまいがちです。ところが算式は、スッキリと簡素にまとめ名前を付けただけです。ぜひ、丸暗記ではなく本質をつかみながら一緒に理解を深めていきましょう。
今回はここまでです。
では、また。
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