お笑い初期衝動
109.両者玉砕
ジル解散後、初のネタ見せの日がきた。
僕も田中三球も、ピン芸人としてのネタ見せ。
前回述べた通り、"どちらの方がおもしろいか"を見比べられるであろうネタ見せだ。
独特の緊張感の中。
僕より先に、まず田中三球がネタをやった。
彼らしい世界観を淡々と演じたが、特にウケることはなくネタを終えた。
僕は、ホッとする気持ち半分、悔しいだろうなぁという気持ち半分で、その姿を眺めていた。
しばらくして、今度は僕がネタをやった。
「○○をやめろー!」とデモ行進してるが、その言ってる内容がめちゃくちゃ。そんなネタを演じたが。
これもまた、大いにスベってしまった。
ネタ中に、田中三球がそばにいる芸人に、僕のわかりづらいボケを説明してる声が聞こえた。
俺はわかるけど伝わってないなぁ、という気持ちで田中三球は見ていたのかもしれない。
"どっちのピンネタの方がおもしろいんだ!?"という目線を感じる中で、行われたネタ見せだったが。
なんのことはない。結果、両者とも全くウケなかった。
「お前らもう1回組んだらどうや(笑)」
僕がネタを終えた直後、養成所担当社員の木佐さんが、苦笑いを浮かべながら言った。
実際、そう言われるのも無理なかった。
それは単に、二人ともスベっていたからということではなく。
僕と田中三球は、“スベり方の種類”までも全く同じだったのだ。
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