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お笑い初期衝動

91.正しいジャッジがしづらくなる

紳助竜介時代。黄色い歓声をあげるお客さんに向けて、紳助さんが言った言葉。

「よせ、やたら騒ぐな。俺達をシラケさすんじゃない。そんな目で見るな。矢沢(永吉)を見る目はやめろ。」


歓声は人気の証。
芸能人たる者、人気は喉から手が出るほど欲しいものであるはずなのだが。
紳助さんは、黄色い歓声を嫌った。

それはなぜか。
キャーキャーと黄色い歓声をあげるお客さんほど、ネタを聞いていないか、たいして面白くなくても笑うからだ。

ネタ中の芸人は、目の前のお客さんの反応を大いに参考にする。
自分達の考えたネタがちゃんと面白く仕上がってるかどうかを、お客さんの反応でしっかり確かめたいのだ。

しかし、その目の前のお客さんが何でも笑う人達だったらどうだろう。
面白く仕上げれてなくてもウケてしまうため、「うまくいったのかな」と勘違いしてしまう危険性があり、正しいジャッジがしづらくなるのだ。

紳助さんは、後年、『THE MANZAI』のときのことを、こう述懐している。
「客はあほみたいな若い女の子やから笑うやん。笑うけど、自分で違うってあるやん。そこで、舞台終わった瞬間ぶわーっと涙出て…。」

とてつもない実積のある方の話を、勝手な解釈で引用して誠に恐縮だったが。
僕達ジルのネタ『叫ぶ会』も、養成所ではウケる。けれど、僕の中では「違うんじゃないか」と感じていた。



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