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お笑い初期衝動

78.ゆるい漫才

コント『ペットの見せ合い』の翌々月に、漫才『店』を養成所で披露したと、前回かるくふれたが。
この『店』という漫才も、僕の中で思い入れのあるネタである。

どういうネタかざっくり説明すると。

僕が最初に「店やりたい」と言い出して、田中三球が「何売るの?」と言う。
あとは僕が「○○なんかどう?」と売りたいものでボケて、田中三球が「それはいらんなぁ」などとやんわりつっこむ感じのネタだ。

僕も田中三球も、スパン!と勢いのあるツッコミをやるタイプではなかったので、僕達の漫才はすごくゆるいテンポだった。

松竹芸能(当時の事務所)では、よゐこさんがゆるいテンポのコントで成功していたので、松竹芸人は「ゆるいテンポもアリ」という意識が、吉本芸人よりも強かったかもしれない。

余談だが。
この1,2年後に、NHKのネタバトル番組『爆笑オンエアバトル』で、おぎやはぎさんのゆるいテンポの漫才を見たときには、「これは俺らがやってたような漫才の完成形だな」と勝手ながら感じたものだ。

後に、M-1グランプリの決勝で最下位に沈みながらも、しっかり売れたおぎやはぎさん。
芸能界というものはやはり、ナンバーワンよりオンリーワンなのだ。

あ、いささか話がそれてしまったか。
自分達の話に戻そう。

前述の通り、僕らの漫才『店』は、何を売りたいかでボケるわけだが。
そのうちの1つに、"疑問形の屁"というボケがあった。

"疑問形の屁"と言われても、どういうボケなのかさっぱりわからないとは思うが。
このボケがある意味、僕達ジルのネタ作りを象徴していたように思う。

次回は、このボケが生まれた経緯に触れよう。



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