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チャンスは二度とやってこない

もうすぐ25歳になる。四捨五入すれば、もう30歳だ。中学生の時に父親を亡くしている自分にとって、歳を重ねるということは、その時のお父さんの年齢に一歩一歩近づいていると思う時がある。人生は一度きりしかない。そう人生の先輩たちは言うけれど、普段生活をしている中でほとんど実感がない。だけど、自分が歳を重ねるたびに、その一つ一つがもう取り戻すことのできない時間なのだと思うと、心が苦しくなる時がある。その解決方法を、僕は未だに知ることができていない。ただ、ひたすらに今置かれている状況で自分がやりたいと思ったことに集中して、忘れてしまおうと足掻いている。仕事は楽しい。今この瞬間で時間が止まってしまえばいいのにと、たわいも無いことを思う時がある。前置きはこのくらいにして、まとまった時間ができたということもあり、今思うことを書き留めて置こうと思う。

いいプロダクトを創りたい

最近、自分のキャリアについて考えることがある。キャリアを考えるとき、自分の経験とやりたいことの軸を考えた。

僕の人生の目標は「テクノロジーで沢山の人を幸せにしたい」だ。テクノロジーと断定しているのは、テクノロジーには世の中に影響を与え、生活を変える力があると信じている。そして、僕はテクノロジーが好きだ。技術そのものというより、テクノロジーを上手く使って誰かが笑顔になれるプロダクト作りに興味がある。

自分が考えるキャリアは三つある。プレイヤーとしてのエンジニアとマネージャー、そして経営者。プレイヤーとしての自分は、大学時代に携わっていた受託会社での受託案件、学生時代に立ち上げた「ソーサル」、そして今注力している「クラシル」の開発経験がある。そして、2018年から開発部のマネージャーとなって、ユーザー体験ベースで機能を考えたり、意思決定に携わっている。コードを書くこと自体好きで、まだまだ書きたい気持ちもあるが、マネージャーを少しばかり経験して、コードを書きたいよりもプロダクトが伸びて、より沢山のユーザーに使ってもらうこと自体に喜びがあることに気が付いた。そして、経営者は全くの未知な分野であるが、自分が考えたプロダクトを自分が主体となってグロースさせ、事業を推進していくことに興味が出てきた。将来的には起業してみたいという霞みがかった未来を想像している。

いいプロダクトとは何か。答えは一つで「誰かを幸せにできることができる」ことである。それ以上は求めない。分野はなんでもいい。できればC向けに携わりたい。規模は大きければ大きいだけいい。それだけで十分だ。欲張るならば、自分が創っているという感覚が欲しい。いいプロダクトが創れるならば、ひたすらコードを書くことだって、仕様をドキュメントに落とすことだって、泥臭いデータ入力だってなんでもする。世の中に笑顔を増やしたい。

チャンスは二度とやってこない

チャンスは二度と訪れない。今、delyでエンジニアを雇うとして、2016年9月の時点での自分の技術や経験から判断すると、僕は自分をほぼ確実に落とすと思う。しかし、僕がジョインした時は、エンジニアが一人しかいない状態にも関わらず事業が伸び始めていたため、猫の手も借りたい状況であった。要は、手を動かせれば誰でもいい。少し寂しいようにも感じるが、正直なところ自分でもそう考える。大学院に残ることもできた。研究職を目指すという正当な理由もあった。僕が今ここにいるのは、あの時のチャンスに一歩踏み出したからだ。人生には選択肢が無限大にある。きっと、あのまま大学院に残っていても、僕はインターネットの世界に飛び込んでいたと思う。インターネットの魅力に毒されてしまっていたから。大学院を辞めた時、多くの人から勿体無いと言われた。確かに、ベンチャーは失敗することの方が多い。僕の知っている限りでも学生時代からサービスを立ち上げ、残っていて、ある程度の大きさまで成長しているのはほんの一握りだ。客観的に成功か失敗かを決めるのは勝手にすればいい。自分の選択を成功に変えるのは自分しかいないのだから。

全ては繋がっている

全ては縁という偶然が導いていると思う。僕がエンジニアをしている理由も大学時代のアルバイト先の社長が書いた本を書店で手にしてなかったら、すんなり諦めていたと思う。Twitterで知り合った中島とソーサルを創っていなかったら、僕はdelyにいないと思う。それらがなかったら、僕はずっと研究室にいて、研究職を目指していた。そう考えると、全ては繋がっていると実感する。だから、twitterで知り合ったとしてしてもどんな出会いも大切にしたいと思っている。最近では、twitterを再開したということもあり、twitterを含めyentaなどのマッチングサービスで多くの方とお会いすることがある。中には3年越しにお会いするということもあった。僕のようにプロダクトが好きな人と話をすると特に面白い。一緒に働いてみたいと強く思う時もある。そんな出会いがきっと、数年後に繋がっていくと思っている。だからこそ、興味があれば誰にでもどこにでも会いに行って話すということは続けたいと思っている。

これからの抱負

正直、今の自分の現状が怖くなる時がある。僕が一度実装を間違えば、取り返しがつかなくなってしまうかもしれない。僕がプロダクトと組織がこれから向かうべき方向性と意思決定を間違えば、全てが終わってしまうかもしれないと思う時がある。失敗が怖い。その恐怖心が自分を奮い立たせることもあれば、逃げ出したいと思う時もある。しかし、その恐怖が今の自分のプロダクトへの納得感を阻害していることに気が付いた。無意識的な恐怖が自分が関わっているという存在意義を薄れさせている。そう仲間が気づかせてくれた。僕はもう逃げない。嬉しいことに、delyという会社は成長を続けている。一緒に戦ってくれる仲間が増えていく度に心強く思う。きっと上手くいく。僕はそう信じている。

小さい組織において、一人の影響範囲は大きくなりがちになる。長くいればいるほど、開発においても組織においても一人への依存が増えていく。ほとんどの場合、属人性を排除していくことは再現性を高めるために必須ではあるが、速度や質とのトレードオフだと思っている。いわゆる「僕がやった方が早いし正確」問題になる。今までの自分はそれがプロダクトを開発していく上で必要だと思っていた。最速で最高の価値をユーザーに届ける。それが僕のミッションでもあるからだ。しかし、これも大きな間違いであったと気が付いた。僕が一人でやるよりか複数人体制の方が明らかに進捗がある。属人性を高めることが質が高いものを最速で届ける方法というのは、自分のエゴだった。今、僕がここにいる理由を、僕への依存にしたくないと強く思ってる。自分がいなくても組織が回るようにする。これが直近の自分の課題になっている。しかし、表出したアイデアや手法はすぐにコピーすることができる。コモディティ化したコンテンツはどこで消費してもいい。そこに優位性はない。だからこそ、プロダクトには個性が必要だと思う。作り手の強い想いや愛をつぎ込んでいいと思っている。そのために、僕がいるのではないか。その問いに対して答えが見つかるまで、僕は走り続ける。

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