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目の前でどこかの親子の親御さんだけ電車に乗って発車してしまった話

池袋駅某路線ホームにて。2022年4月5日、今日の話。

各駅停車が停車中、間も無く発車。僕は後の通勤快速なのでホームで待機。

エスカレーターでお母さんと息子さん(3〜4歳?)が降りてくる。

発車ベル鳴り終わり。

親御さん、乗れると思ってホームドアへ。閉まり始める。子どもさんの手を離してしまい、一人ホームに。親御さん、ついて来ていると思い車内へ。周り、異常に気がつく。

入ってからお子さんがいないことに気づく。お子さんホームで泣き始める。周りの人がホームドアに触れたり電車に触ってみたりするけど、電車のドアは開かず。そのまま出発進行。

僕はとりあえず残されたお子さんを保護する。近くにいた女性(後で聞いたらお孫さんがいるそう)と一緒に話しかけてみるも、泣き止まず。
どうしようか、変に動かない方がいいよね?などと困っていると、おそらく一部始終を見ていた男性が「隣の駅の事務所に電話します」と手際よく電話をかけてくれる。

男の子、少し泣き止む。とりあえず安心させるために話しかけ続ける。電話、終わる。「今の駅の事務所に連れて来てくださいとのこと」とのこと。

男性、「お二人はご一緒ですか?」
女性、「いやいや全然別です」
   「優しい人が集まったんですねぇ」
全くその通りだと思う。

男性、「僕連れていきましょうか?お二人この後用事など大丈夫ですか?」と聞いてくれる。特に何もないので大丈夫です、と二人とも言うと男性はじゃあぼくはここで、と言って去る。去り際がわかっているすごい人だと思う。

僕と女性とお子さんでエスカレーターを登る。怖かったねぇ、びっくりしたねぇ、と話しかける。名前は言えなさそう。すかさず女性がびっくりしたもんね、と優しく言う。さすが、言い方が慣れている。

駅改札へ。事情を説明すると、「出て右手に行くと事務所があります、どうぞ」と改札を通るよう言われる。改札って駅員が止めなければ何もしなくても通れるんだ、と驚く。僕が先導する形で、女性とお子さんが後ろから歩いてくる。

事務所までの50mの道のりが長い。
ようやく看板が見えて来たところで後ろを振り向くと、2人が駅員さんに話しかけられている。どうやら隣の駅から連絡を受けた駅員らしく、そのままその場で引き渡すことに。
僕と女性は「元気でね」「気をつけてね」と言い続ける。終始緊張の面持ちだった彼だが、事務所へ歩いて行く途中で一度振り返ってくれた。

僕と女性はホームまで一緒に戻った。怖かっただろうねぇ、とかトラウマにならなきゃいいけど、でも忘れないでしょうねぇ、とか話す。
結局、2本後の通勤快速に乗った。

僕は、その場に立ち会ったことが色々な偶然の上に重なっていることを知っている。今日埼玉であった部活の練習会に行ったこと。帰りが遅くなったこと。有料特急に乗ったこと。特急から出るところで改札で手間取ったこと。乗り換え改札入る前にチャージしたこと。どちらでも良いホームへの階段で左を選んだこと。あまり遠くへ歩かずエスカレーター付近にいたこと。

そんな中、こんなことが起きた。

世の中、どんな偶然が重なって何が起こるかわからないなぁ、と思う。

電車のドアが閉まった時の親御さんの気持ちは察するにあまりある。隣の駅に着いて折り返してくるまで、どんなに不安な気持ちだったか。

ただ、僕らはその解決まで見届けていない。だから、「よかったよかった」とは完全には言い切れない。
もし、親御さんが今このnoteを見ていたら、自分を責めずに、コメント欄にそっと「会えました。」とだけ残していただけると、「よかったよかった」と言えますので、よろしくお願いします。あるいは、関係者の方いればぜひコメントお聞かせください。関わった方全員、お疲れ様でした。

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