見出し画像

綱渡りと人生

人生一度きりなんだから

よく聞く月並みな表現だなぁと少し斜に構えていた自分だが、
社会人になり、慌ただしく過ぎていってしまう日常に対し、
このまま淡々と生きていてもいいのかと少し焦りを感じることがある。
(基本的には人生生きてるだけ丸儲けハッピースーパーポジティブ属性の人間なので、本当に稀な話ではあるが)

シェアハウスに住んでいるので、色んな人と関わることが多い。
フリーランスの人たちと話していると、
自分の人生を自ら切り開いているようで羨ましさが募る。

世界一周中、「帰国後ゲストハウスを立てよう」と心に決め、情報収集を行なっていたが、お金もスキルもないのにできるわけないと思って諦めた。

ふとテレビを見ると、自分より年下の世代の子が活躍している。
バラエティタレントもスポーツ選手もyoutuberも年下を見ることが多くなった。

妙にモヤモヤした気分になり、ふと思い立ち、久しぶりに
朝井リョウの「何者」を読んだ。

大学生のグループが就職活動を通じて、自分の生き方に踠き苦悩する模様を描いた小説。

主人公の拓人は冷戦沈着で、どこか冷めた目で物事を見ているような人間。

自分とタイプが完全に被るわけではないが、物事を引いてみることでやらないことの言い訳にしている部分が鏡のように跳ね返る。

大学を休学して世界一周に行ったり、比較的自由に生きてきたように思えるが、大学に戻るという保証があったからできたわけであって、全てを捨ててきたわけではない。

色んな旅人に出会って、自由な生き方があるんだなと思った。
「旅を通じて最悪なんとでもなるんだなっていう気持ちを持つことができた」と周りには言ってみるものの、いざ自分ができるかと言われると正直わからない。

そんなことをふと思って過ごしていた数ヶ月前、
シェアハウスの友人と飲みながら将来について話していると

命綱をつけたまま綱渡りをしたい

と自分の口から声が出た。
特に何も考えずにふと出た言葉だったが、的を得ていてしっくりきた。

「何かを始めるには、全て捨てないといけない」
と変な思い込みがあったような気がする。

初めから命綱なしで高所の綱渡りできる人間なんてそうそういないし、
低いところから安全にでも始めてみようかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?