続・奥武蔵について語るときに僕が語るとき(12月-おごせときがわをめぐる冒険編)

レースが始まる20分前。僕はスタートゲートが見える食堂にいた。
目の前には大好きな「武蔵野うどん」を中心とした美味しそうな品々。

スタートゴールの起点であり、僕の目的地であったニューサンピア越生を予約した際に『朝食あり』のプランを選択してしまったため、ありがたいことに、レース直前においしい朝食をいただくことになったのだ。

やれやれ、慌しく食事をするのは苦手なんだけどな

と、ぼやきながら朝食を搔っ込んでいる僕の周りにも小さめのザックを背負ったまま、これまた慌しく朝食を搔っ込む人がちらほらと。レース前から至る所でやれやれだ。

思いのほか朝食がおいしかったため、満腹まではいかないが、それなりに腹を満たした状態に不安をかかえつつスタート地点に向かう。久々にお会いした仲間とワイワイガヤガヤしていると、らっというまにレースが始まった。

先日のショートレースと同様にこのレースもロードが割と多い。とくに序盤の10kmはほぼロードである。スタート直後の裏山シングルトラックでの渋滞回避のため、かなり前方でスタートしたものの、裏山を抜けてからのロードでは、気持ちがいいくらいに人に抜かれる抜かれる。

レースを通して気持ちよく走り続けたかったこと、レース後のお楽しみビールを最高においしく飲めるくらいの感じでゴールしたかったことから、まだ序盤、まだ序盤、と、自分に言い聞かせて、ゆっくりと景色を見ながら走った。

10kmほど走ると、ようやっと長いロードが終わり傘杉峠への登りが始まる。

お腹に溜まっていた食べ物(主にうどん)も、ようやっと消化されて、エネルギーになってきている感じがしたので少しペースを上げてみようかなと登り始めてみるものの、目の前には人ひとヒト。

登りで人を抜かす場合、抜く瞬間に瞬間的にスピードを「えいっ」と上げエネルギーを使ってしまうことから、エネルギーの無駄使いはしたくなかったので、ひとまず、無理に抜かさないで、流れに乗って、進むことにした。

傘杉峠に到着してから、グリーンライン沿いのトレイルを出たり入ったりしながら大野峠を目指す。この区間では2019のTORで知り合った方と久々にお会いして、和気あいあい、談笑しながら走る。

お会いしたのは約3年ぶりくらいにあったけど、昔と変わらない雰囲気の中で会話をすることが出来て非常に嬉しかった(ちなみに昨年のリザルトで彼のタイムラインがきれいだったので、これくらいで走れたらいいなぁとひそかに思っていた)。

大野峠の途中からは、ほぼ1人旅。登りは淡々と、下りはチェッカーズを口ずさみながら気持ちよく走る。今、振り返ってみると、チェッカーズのリズムに合わせて下りを気持ちよく走りすぎて足を使いすぎたかな。

堂平山から慈光寺に向かう最初のトレイルは初めての道。1人で不安だったので前方を走る方に追いついてからは、くっつき過ぎず、離れすぎずな距離で引っ張ってもらいながら、黙々と走る。

慈光寺エイドに到着するとエイドの方から、20番くらいだと教えてもらった。思った以上に良い順位であることにびっくりしたし、多少の余力もあるし、この順位をKEEPするぞと決意を新たに終盤戦へ進む。

慈光寺から弓立山に向かうトレイルで周平さんと合流した。

チェッカーズのロビカリズムにやられて、下りで若干足が攣りそうだったこともあり、修平さんとの会話で紛らわせつつ、綺麗な走りに引っ張ってもらう。道中、きれいな紅葉スポットがあったので、2人で記念撮影をした(指先が寒くてうまく撮影できなかったけど)。

弓立山の登り途中で、師匠がわざわざカウベルを持参して応援に来てくれた。突然の待ち伏せでビックリしてしまい、ツンデレな態度をとってしまって申し訳なかったけど、非常に嬉しかった。

それに、チームの女性メンバーを励ますときの「修造スタイル」での声援をもらえなかったことは残念であったが、「元気そうじゃん、まだまだいけるよ」っていう感じのいつもの掛け声ですごくホッとすることが出来たし、師匠の応援もあり弓立山を割りと楽にクリアすることが出来た。

弓立山の頂上からくぬぎ村エイドまでは、下って到着と思いきや、細かいアップダウンが何回かあって、奥武蔵特有のアップダウンに慣れてるとは言いつつも疲れていることから、イライラしつつ(けっ)、少し走って、くぬぎ村エイドに到着した。

ここのエイドでは、おいしい肉うどんをいただき、パワーを補充。残り10キロゴールに向かって、ラストスパートをキメたいところであったが、スパート出来るほどの足は残ってないので、ここまでのペースを維持して淡々と進む。

エイドから次のトレイルヘッドまでは、ほんとに大丈夫か?と思うくらいロードを下らされ、大築山の登りは、悪態をつくくらい辛く(けっ)、でも、そこを超えればあとは走りやすい気持ちのいいトレイルであった。

少しきついけど、顔をしかめるほどではない、僕の好きなレースペースで淡々と走る。

もうすぐ、レースが終わっちゃうんだな。
さっさとゴールしたいけど、もう少し味わっていたいなって思いながら。

最後のエイドに到着した。

前日のボランティア活動は、ここのエイド準備を担当していたしてたこともあり、ここにはゆっくりと滞在したかったんだけど、30kmの部の選手でエイドが混雑していたことと、『もしかしたら7時間切れるかも』ってことが頭でちらつき(このレースのAプランは7時間切り)最後の5km弱のロードを頑張ってみることにした。

でもシャツの第一ボタンは外さないよ。
なぜなら僕はOkumusashi Urban Boy。

たかが4km、されど4km。4kmは短くない、いや、むしろ長い。最初から頑張ってしまっては当然ガス欠だ。4kmのうち最初の2kmは下りであることを知っていたので、下りは頑張りすぎず、身を任せて走る。

残りの2kmは平坦な道になるので、ここからは残っている足を使いきるペースで頑張って走った。結果、宮里藍ちゃんの看板付近で足が売り切れてしまった(藍ちゃんの看板見たらGOALって昔からの思い込みもあったと思うが)。

サンピアの入り口からゴールに至る最後の登りは足も気持ちも残っていなかったから、割り切ってのんびり歩く。

この4か月間はコツコツとトレーニングを積むことが出来たな。
体調を崩すことなく、ケガもすることなく、ここまでたどり着いたな。
4つのレースすべてで無事にゴール出来て良かったな。

そして、やっぱり、やっぱり楽しいな。

って思いながら。

レース後は共に走った仲間とあーだこーだいいながら
お互いの走りをねぎらう。

(多分)付き合いで一緒に走ってくれた竜さん
SNSでの突然のお誘いに応じてくれたマーソーさん
きつい時間帯に引っ張ってくれた修平さん
そして、わざわざ、応援に駆けつけてくれた師匠

皆に感謝。

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こうして、夏から初冬にかけた、奥武蔵での僕の冒険は終わった。

久々に冒険してみようと思ったときは、歩きを混ぜつつの20kmですら結構辛いくらいしか体力がなかったことに加えて、また、自身の体調面からトレーニングしてほんとに大丈夫なのかと、いろいろな不安があったことは事実である。

ただ、昔の記憶(マッスルメモリーってやつ)が残っていてくれたおかげで
思いのほか、無理も苦労もせずに、楽しんで、それなりのところまで戻ってくることが出来た。

正直、ここで、冒険を辞めてしまってもいいのかなと思っていた。

が、僕の冒険はまだ続くことになった。
春先に僕は僕の仲間と100kmを走る予定となっている。

50kmのレースを終え、100kmは今の自分では走れないことを実感している。
100kmを走り切れる体を目指して。体調に気を付けつつ、自分のパフォーマンスを上げていくことだろう。

次の僕の目的地?

決まっているだろう。分かっているだろう。
それはもちろん、ニューサンピア越生だ!

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