伊可古夜日女の伝承ー丹波市氷上の神野神社の3と丹波市市島の鴨神社の1

神野神社の境内にある説明板には、当初の神野神社が円通寺の創建に際し、その境内地を譲って現在地に遷ったときに、賀茂野神社(当社)と北田井の賀茂神社に分かれたと書かれています。この賀茂神社は、丹波市氷上町賀茂1番地に鎮座しています。祭神は別雷神。上賀茂神社の分霊を祀っています。創建は第50代桓武天皇の延暦年間(782~805)と伝えられています。県道109号線沿いに石造の一の鳥居があり、それを潜り小川を渡った先に二の鳥居があり、こちらの扁額には「賀茂大明神」と書かれています。境内には舞殿もあります。本殿は延宝9年•天和元年(1681)の建立。本殿右には境内社の大神宮神社、高宮神社。その右にも境内社、右から大森神社、廣峯神社、貴船神社。本殿左の境内社は右から天満神社、山祇神社。境内奥に蛇石神社。龍の姿が彫られた神石を埋納しており、大干魃の時には掘り出して神前に奉斎して雨乞い祈願をしました。
賀茂神社へのアクセスです。JR福知山線「柏原(かいばら)」駅から石生(いそう)駅、丹波市役所経由佐治(さじ)行きで「北田井」下車徒歩10分。神野神社へは同じバスで「幸世橋」下車徒歩15分。バス停名は「兵庫県神社庁」のサイトによります。「幸世橋」は「北田井」の佐治方面3つ目の停留所です。JR福知山線の下り方面は柏原→石生→黒井→市島→丹波竹田→福知山になります。その市島に、伊可古夜日女の伝承のある神社があります。
福知山線の市島駅から南に1800m、丹波市市島町梶原(かじわら)533ー1に「鴨神社(かもじんじゃ)」があります。祭神は鴨分雷大神(カモワケイカヅチノオオカミ)。
ネットの『延喜式神社の調査』に載っています『氷上郡志』を以下に引用します。文中の旧漢字は現在の表記にしています。
「(前文省略)今鴨庄に於て此れに相当すべき神社、郎ち賀茂御祖神に因縁ある神社を詮索するに、維新前まで鴨庄村に属し、今吉見村に属する梶原に鴨神社あり現今別雷神を祀る、然も此の神社を踏査するに森林鬱然として近世の者にあらざると同時に、地名に於ても首肯すべきものあり、即ち此の森の傍に古墳あり世俗イカゴ塚と称し来れり、而して此の境内古墳より土器其の他の副葬物を多く発掘したる事あり、斯かる事より考ふれば是れ即ち伊賀古夜比売の古墳の所在地にして後に其処に伊賀古夜比売の初魂を斎き祀りて神野神社と称せしにはあらざるかと思はるゝなり。而して現今の神野神社は明かに別雷命の御分神にして、従前は境今円通寺の所在地にありしを円通寺の創立に際し、賀茂社禰宜より此の地を寄進し、現今の場所印ち御油新庄に転ぜし者なり(中略)されば現今神野神社と称するは、賀茂神社にして別雷神を主神とし、後に嵯峨天皇を合祀せし者にして、現今の梶原鴨神社が印ち神野神社にして伊賀古夜比売を祀りたりし者ならざるべからざるなり」とあります。
『氷上郡志』は丹波史談会が編纂し、同会事務所が昭和2年(1927)に発行しました。上下2冊。復刻版が昭和47年(1972)と昭和60年(1985)に臨川書店から出版されました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?