石手寺の七不思議

 洋の東西を問わずいろんな場所に「七不思議」があります。不思議という言葉に人は魅力を感じるようです。当ブログでも下鴨神社や伊豆の七不思議を紹介していますが、この章では「石手寺の七不思議」を紹介します。
(1)渡らずの橋 石手寺の入口近くにあります。弘法大師が渡ったと伝えられており、別名を「弘法大師お道開きの橋」と言います。この橋は本来、渡ってはいけないとされており、それを無視して渡ると足を痛めるとか足が腐ると言われています。参拝者が渡らないように橋には障害物が置かれています。
(2)玉の石 玉の石は道後温泉の由来の中で語られる少彦名命がその上で踊ったという石の名前でもあり、このブログでも書いていますが、石手寺の七不思議にも玉の石と呼ばれる石があります。この石は衛門三郎の伝説に登場します。それについてはあらためて書きます。宝物館で見ることができます。
(3)蛇骨 昔のことに石手川流域にある溪谷の湧ヶ淵に雌雄の大蛇が住んでいて人間を丸呑みしたり、川を氾濫させて人々を困らせていました。さらに雌の蛇は夜な夜な美女に化けて男性をたぶらかしました。たまりかねた石手寺の住職は寺宝の剣で雄の大蛇の首を斬り落としました。その時の大蛇の首の骨と、首を斬り落としたとされる剣が宝物館に保管されています。
(4)水天堂の水甁 潮の干満が分かると言われる水甁。現在は水が入っていません。境内の右の方にあります。
(5)訶梨帝母天堂の石 訶梨帝母天は鬼子母神とも呼ばれ子授けや安産の神として信仰されています。この建物は小さいですが国の重要文化財に指定されています。このお堂の周囲にはたくさんの小石が積まれています。子授けを願う人や安産を祈る妊産婦がこの石を一つ持ち帰り、願いが叶ったら持ち帰っていた石に子供の名前を書き、もう一つ新しい石を添えて納めるという風習があります。訶梨帝母は梵語のハーリーティーの音写で仏教を守護する天部の一尊。彼女には500人(千人とも1万人との説があります)の子供がおり、その子供を育てるための栄養をつけるために人間の子供を捕らえて食べていました。ある時釈迦が彼女が最も愛していた末子のビンガラを隠しました。彼女は半狂乱になって7日間世界中を探しますが見つけられずに釈迦にすがります。釈迦に子供を失った親の苦しみがわかっただろうと諭され、彼女は悔い改めて三宝に帰依しました。それを見て釈迦は隠していた彼女の子供を戻してやりました。
(6)湯音石 阿弥陀堂の前にある四角い穴の開いた細長い石。道後温泉の湯音が聞こえるとされています。
(7)大草鞋(おおわらじ) 左右二つの巨大な草鞋が仁王門に吊り下げられています。この草鞋に触れると足腰の病が快方に向かうと言われています。
(8)香煙 線香を点もしてお参りし、その煙を浴びるとその部分の怪我や病が癒えると伝えられています。
(9)不動石 不動明王の姿が浮かび上がると言われています。仲見世の入口左側に置かれています。 
七不思議と言いますが、九つあります。この場合の「七」は実際の数というよりも「数が多い」という意味になっています。
石手寺だけに石にまつわる不思議が多いです。これも七不思議の一つかもしれません。


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