那智の祭神と本地仏

那智大社も速玉大社と同じ朱塗りが鮮やかです。山の緑に朱色が映え印象的な景観を見せてくれます。社殿の配列は、向かって右から第一殿となり、第五殿まで5つの建物が並びます。そして第五殿の左手前が第六殿となります。それぞれの神殿をみていきましょう。第一殿瀧宮、祭神は大己貴命、別名飛瀧(ひろう)権現。本地仏は千手観音。第二殿證誠殿、祭神は家津御子大神と国常立尊、阿弥陀如来。第三殿中御前は御子速玉大神、薬師如来。第四殿西御前は熊野夫須美大神、千手観音。第五殿若宮は天照大神、十一面観音。第六殿は八社殿と呼ばれ八柱の神が祀られます。禅児宮、天忍穂耳尊、地蔵菩薩。聖宮、瓊々杵尊、龍樹菩薩。児宮、彦火火出見尊、如意輪観音。子守宮、鵜葺草葺不合命、聖観音。一万宮•十万宮、国狭槌尊•豊斟渟尊、文殊菩薩•普賢菩薩。米持金剛、泥土煮尊、釈迦如来。飛行夜叉、大戸道尊、不動明王。勧請十五所、面足尊、釈迦如来。このうち第一殿から第五殿を上五社、第六殿の禅児宮から子守宮までを中四社。一万宮•十万宮から勧請十五所までを下四社。これはウィキペディアを参照しました。那智大社の公式サイトでは、第一殿瀧宮(大己貴神)、第二殿証誠殿(家津御子大神)、第三殿中御前(御子速玉大神)、第四殿西御前(熊野夫須美大神)、第五殿若宮(天照大神)、第六殿八社殿(天神地祇)となっています。第六殿は特定の神名を挙げずに八百万の神を祀っているということです。ウィキペディアの記事は、神仏分離以前のことになります。神社のサイトでは当然ですが本地仏は書かれません。前にも書きましたが神仏分離までは熊野の神は、熊野(大)権現、熊野三所権現、熊野十二所権現、若王子(にゃくおうじ)又は若一王子(にゃくいちおうじ)、また王子権現などと呼ばれていました。祭神の名前を呼ぶことはありませんでした。本宮の神を呼ぶ時は証誠権現、速玉の神と那智の神を一緒に呼ぶときは両所権現、別々に呼ぶときは中御前、西御前という具合です。それを頭に入れておいてください。那智の場合は瀧宮が加わりますから、十三所権現と呼ばれることもありました。また那智山権現とも言われました。那智大社の主祭神は第四殿に祀られています。五つ並んでいる社殿の右から4番目最も大きな社殿です。熊野三山ではそれぞれの主祭神は第一殿に祀られているわけではありません。それも特徴です。私が那智の祭神名で最も気になっているのは速玉神の神名です。ウィキペディアも神社のサイトでも、御子速玉大神となっています。肝心の速玉大社も本宮も「御子」とは書いていません。また三社とも本宮の主祭神は家津御子神としています。「御子」とは誰かの子どもということですから、いったい誰の子どもなのでしょうか?不思議です。ご存知の方は教えて頂けませんか。

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