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高校国語授業実践講座①現代文テキストを読ませる技術

 高校で国語、現代文の授業をするとき、まず悩むのが、どのようにして生徒にテキストを読ませるかということです。テキストに力があれば何をしなくても勝手に生徒は読むものですが、教科書の評論などを読ませるのには工夫が必要です。私の話は進学校での私の実践ですので、一般的に役に立つものでは無いかもしれません。しかし、参考になることがあれば、ご利用ください。

 まず、よい学習を実現するための基礎的条件という話をします。
 2003年日本スキー連盟『日本スキー教程』に載っている内容です。
①滑る時間が十分に確保されている。
②自主的に学ぶ姿勢ができている。
③指導者の肯定的な働きかけが見られる。
④学習者相互に肯定的かかわり合いが見られる。
⑤自然に対する知識が与えられる。
ここの⑤は学習内容に関わることなので、良い学習が成立するための条件に入るかどうか疑問ですが、②から④は前提として必要なことを教えてくれていると思われます。とりわけ、②自主的に学ぶ姿勢が出来ていればテキストを読みなさいというだけで、生徒はテキストを読み始めるでしょう。しかし、実際は私が長い間やっていたように、一人に指名して読ませると、まあ、大部分の生徒は読んでいるのですが、一定数は黙って下を向いているだけという生徒がいるのです。当然教育現場の性質上、100%実現することは不可能なのですが、高確率で、指示に従ってもらいたい教師にとって、どのような方法でテキストを読ませるかは悩みの種になります。

 私は長い間、一人指名して立たせて一定の分量を読ませていました。一般的ですし、読めない箇所があれば教えられるし、間違った読み方は修正できるという利点があります。しかし、この方法は下手をすると読んでいるのは一人だけということになりかねません。それで、いろいろ方法を模索することになりました。ある先生は一文ずつ座ったまま列の初めから後ろに順に読ませる方法をとっていました。別の先生は生徒に二人か三人のグルールを組ませ、一文ずつ順に相互音読をさせていました。この方法だと、全員が読みますが、誤読を修正できません。また、教室がやかましくなり、読んでいても内容が頭に入ってこないということが発生することもあります。

 それで、私はどういう方法を思いついたか。まず、本文中の難読語、正しく読んで欲しい語を指摘して、生徒に確認させます。
「5ページ3行目の初めの言葉はなんと読む? 隣の子と確認しよう」「それではみんなで読みます。せえの」生徒「暫時」
という具合です。時間を、見計らって簡単にこちらで読んでしまう場合もあります。
 次にそのテキストに関する問題を提示します。後で話し合い、授業を進める問題です。例えば「この文章の問題提起は何か」「なんとかの原因は何か」「前半の主張は何か。」などです。
 そして、全員立たせて、各自に黙読をさせます。「問題を考えながら読め」「読んだら座れ」「座った後も問題は考え続けよう」と指示します。
 こうすることで、全員が黙読を終了したことを把握出来ます。読めて欲しい言葉を確認できます。後から話し合いをしなければならないので、ほとんどの生徒が読もうとします。問題点は、最初に座る生徒と、最後に座る生徒との間に大きな時間差が生じる場合にどこまで待つかを決めることです。私はほとんど全員が座るまで待っていました。あまりに差が長くなると、途中で、切っても仕方が無いのかもしれません。「はいじゃあ、そこでやめて、今読んでいるところまでで分かったことで話し合いましょう」ということになるのでしょうか。また、読まずに座る生徒がいる場合です。そこを想定して問題視すると、この方法は採用できません。工夫がいるところです。

 このあと、ペアないし3人で話し合いを持たせ、発表したい生徒がいないか聞いて言いたい生徒がいれば言わせたり、場合によっては最初から指名したりします。だいたい分かるような問題を出して、ペアで解決しなければ前後左右のグループにも知恵を借りて解決しようと言うので概ね正解が返ってきます。間違っていれば外のグループの発言も求めて、正解に近づけます。という方法で授業進行もからめて読ませるという工夫をしました。

 進学校での、学ぶ姿勢が出来ている生徒たちへの方法ですし、1年生では有効であったという方法ですが、学年が上がるとうまくいかないかもしれません。しかし、一つの方法として参考になるかもしれないと思い、提示してみました。

 このあと、授業内容になりますが、内容の一端はすでに提示しました。
 発問、各自考える、グループで確認する、発表する。というのが基本です。グループを少し4人から5人くらいにして、発問の答えを紙に書かせて提出させるという方法もあります。アクティブラーニングの手法です。時間の進行具合とのかねあいを考える必要があります。

 小説については、全文範読つまり私が、朗読、音読をして聞かせるということをよくやりました。これも様様な問題があり、難しいところです。

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