マガジンのカバー画像

ミニ小説100編 その⑤

51
ミニ小説100編 その⑤
運営しているクリエイター

#掌編

らしい。【短編小説】

季節の変わり目のダルさ。 どうやら理由があるらしい。 あるらしいのだけれど、詳しくは知らな…

12

ごっこ【短編小説】

幼児が遊んでいる。 誰かに扮して「ごっこ」をしているようだ。 「自慢してもいい」 「別に構…

8

白か黒ではない【短編小説】

「白黒思考を直したいんだ」 と、マスターは最近グレーのシャツばかり着ていた。 「白黒思考…

15

4人同時に。【短編小説】

仕事の休憩。 カフェでアイスコーヒーを飲みながら電子書籍でも読もうとしたのだけれど、隣の…

13

整理。【短編小説】

叔母さんの部屋に入ったのは二度目らしい。 一度目の記憶はない。 小さい頃のようだ。 もう数…

15

下の階の目覚まし音【短編小説】

下の階から目覚まし時計の音がする。 最初は微かに。 次第に大きく。 電子音。 時間を見る六…

11

そんなことと思いたい【短編小説】

父親に言われたことがある。 「お前は本当は生まれてくる予定じゃなかった」 と。 兄が二人いる。 下の兄と僕は十歳離れている。 上の兄とは十三歳離れている。 僕のことは、 「作ったつもりもない」 らしい。 でも、僕は生まれ、両親に育てられた。 特に何かしらの不満があるわけでもなく、兄たちも優しかった。 僕が十五歳のときの話。 父親の帰りが遅くて僕が探しに行き、よく連れてかれた駅ビルのサイゼリヤで一人でいるところを見つけた。 「帰ろう」 と、言うと、 「座れ」 と、言わ

苦しみの共有ができない恐怖【短編小説】

「それって、結局無意味で遠回りで先のことを考えていないだけじゃないの? そんな冒険をする…

18

毎日やるという誓いについて。【短編小説】

毎日やる。 なんて決める。 何日後かに嫌になる。 理由を探す。 「ならしょうがない」 と、…

14

兄が嫌い。【短編小説】

兄はずっと嫌いだ。 僕はもうおじさんなのだけれど、相変わらず嫌いなままだ。 かれこれ、二…

23

いつかとまたの違い【短編小説】

静かな生活をしたい。 そう思っていた。 「そうは言っても、退屈になって引っ越すハメになる…

13

休む。【短編小説】

意識的に休もうとしている。 意識的に休もうとしないと、働いてしまうのだ。 幸いなことに、…

14

ふむ。【短編小説】

雨が降った日は寒かった。 昨日は曇で寒かった。 今日は比較的暖かい。 右手の人差し指の第二…

19

わけわからん【短編小説】

なんだかわけがわからない映画を観た。 「……」 いっぱい人が出ていて、よくわからないことをして、言って、争って、和解して、おんぶして、嘆いて、光って、抱っこして、うごめいて、救われたらしく、色々となにからしい。 「……」 なんだありゃ。 このわけのわからないものを、沢山の人が協力して作ったんだ。 物凄くお金もかかって、スタッフも山のようにいて、何年も時間を費やしたんだ。 すごいな。 あるスタッフは、目覚ましで起き疲れたからだに鞭打って、現場に行って、このわけがわから