そんなことと思いたい【短編小説】
父親に言われたことがある。
「お前は本当は生まれてくる予定じゃなかった」
と。
兄が二人いる。
下の兄と僕は十歳離れている。
上の兄とは十三歳離れている。
僕のことは、
「作ったつもりもない」
らしい。
でも、僕は生まれ、両親に育てられた。
特に何かしらの不満があるわけでもなく、兄たちも優しかった。
僕が十五歳のときの話。
父親の帰りが遅くて僕が探しに行き、よく連れてかれた駅ビルのサイゼリヤで一人でいるところを見つけた。
「帰ろう」
と、言うと、
「座れ」
と、言わ