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ミニ小説100編 その⑤

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ミニ小説100編 その⑤
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カレーなる浅香唯【短編小説】

黄昏。 漠然とした喪失感。 「……」 やる気が出なくて焦っている。 そういう気持ちは心地良…

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縁も切れる【短編小説】

「……」 よく考えてみろと、言われて考えてみようと思った。 ネットで過去に数回あっただけ…

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評判のお店にて【短編小説】

妻とのランチ。 ネットで評判のレストランへ行く。 フレンチ。 「入れますか?」 「どうぞ」…

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覚えていない。【短編小説】

何も覚えていなかった。 ほとんどの時間は電車に乗り会社へ行き事務処理をして、帰って寝る。 …

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下の階の目覚まし音【短編小説】

下の階から目覚まし時計の音がする。 最初は微かに。 次第に大きく。 電子音。 時間を見る六…

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そんなことと思いたい【短編小説】

父親に言われたことがある。 「お前は本当は生まれてくる予定じゃなかった」 と。 兄が二人い…

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苦しみの共有ができない恐怖【短編小説】

「それって、結局無意味で遠回りで先のことを考えていないだけじゃないの? そんな冒険をするぐらいだったら初めから保険を持っておいた方が安心だし、逆に挑戦が出来たりするかもしれない」 なんて、上司が電話で話している。 誰とだ? 電話なので僕との会話ではない。 一方的に訊きながら、正論だけどなんかふわふわしている印象が拭えないんだよなぁ。 って、思いつつ。 「なぜ、それだけに集中しないといけないと思い込むのか? ほとんどの人が成功しない世界で、自分だけは特別と勘違いさせて、搾

毎日やるという誓いについて。【短編小説】

毎日やる。 なんて決める。 何日後かに嫌になる。 理由を探す。 「ならしょうがない」 と、…

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兄が嫌い。【短編小説】

兄はずっと嫌いだ。 僕はもうおじさんなのだけれど、相変わらず嫌いなままだ。 かれこれ、二…

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ふむ。【短編小説】

雨が降った日は寒かった。 昨日は曇で寒かった。 今日は比較的暖かい。 右手の人差し指の第二…

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わけわからん【短編小説】

なんだかわけがわからない映画を観た。 「……」 いっぱい人が出ていて、よくわからないこと…

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目立たない。【短編小説】

彼女が生活のために働いているというのは、事実だった。 家賃も、光熱費も、食費もかかるので…

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平和を。【短編小説】

家の中でジッとしている。 横になって、眠れるなら寝てしまいたいと思っている。 犬がベッドに…

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デパート坊や【短編小説】

デパート坊や。 という妖怪がいるらしい。 デパートにいて、10歳程度の少年の姿。 買い物していると、 「買ってよ。やだやだやだ」 と、泣き叫ぶ声。 振り返ると誰もいない。 それがデパート坊や。 チラッと見ると少年がピョンピョン跳ねてる。 よっぽど嬉しいんだねなんて思って癒やされてると、次の瞬間、飛び跳ねて、消える。 「え?」 それがデパート坊や。 デパート坊やは、デパートに行きたかった少年が事故にあい、魂だけそこに辿り着いたと言われている。 また、病室でデパート