森の中6

「すみません。そこを通してもらえませんか?」「すみません。通して下さい。」二匹が交互に頼みます。

ゴリラさんは聞こえないのか下を向いたままです。もう一度大きな声で「すみません。そこを通して下さい。」にゃん吉とねこっ汰が同時に声を張り上げます。するとゴリラさんは首を上げキョロキョロ辺りを見回します。二匹が小さくて視界に入ってないようです。「すみません。」また声がしたので声のした方向に目を向けると二匹の小さな猫達が自分を見上げています。

「何かな?」ぶっきらぼうに答えるゴリラさん。「すみません。僕達を通して下さい。この先のお店へ行きたいのです。」にゃん吉がお願いをします。「お願いします。」ねこっ汰も後に続きます。「だめだ。」二匹のお願いに大声で答えるゴリラさん。その声の迫力ににゃん吉とねこっ汰は尻餅をついてしまいます。

ねこっ汰はゴリラさんの圧に圧倒されてしまい涙目になりかけています。今にも逃げだしそうなにゃん吉の手を掴みダッシュで逃げる準備を整えようとします。一方のにゃん吉は、ねこっ汰が掴んだ手をそっと離して一歩前へ進み出ます。「ゴリラさん。お願いします。僕達を通して下さい。もしだめだと言うのなら理由だけでも教えてくれませんか?」にゃん吉は自分より何倍も大きいゴリラさんへ問いかけます。その様子を隣で見ていたねこっ汰はにゃん吉の勇気ある行動に感心しています。さっきまでの恐怖が友の行動で薄れてきています。また、逃げようとしていた自分が少し恥ずかしくなりました。

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