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二度目のスペイン

2度目のスペイン旅行は、5年後の2015年5月でした。ソウル経由の大韓航空でマドリッドへ。マドリッドから北へ向かう列車が出るチャマルチン駅近くのホテルに早朝着いて、で、バンコク経由のタイエアで来た嫁さんと夕刻に合流しました。なんでバラバラだったんだろ? それぞれの仕事の日程に合わせた一番安いチケット買ったら、そうなったような。

空港駅でメトロの切符の買い方から勉強し、乗り継いでチャマルチンへ。地上に出たら、場末感満点の駐車場で、どこがどこだか分からない。案内図も無い。通りの名もまったく書いてないし。しばしぐるぐる回り、駅前戻って通りすがりのおっちゃんに聞いてみる。「チャマルチンホテルならここだよ」と駅前のタワーを教えてくれる。そこのロビーに行ってバウチャーを見せて確認したら、「うちじゃない。通りを渡ってすぐのところだ」と適当に教えてくれる。で、通りを渡るというか、駐車場を抜けてちょっと入ったところにあった。「TRYP マドリッドチャマルチンホテル」。こちらは先ほどと比べれば「半額」な感じ。朝8時台というかなり早い時間だったが、チェックインできた。

この時にマドリッドを案内してくれたのが、初対面の、ゴンサロ君という若いスペイン男性でした。なりゆきを簡単に説明すると、嫁さんが東京で、日本旅行中のスペイン女性と偶然知り合いになり、彼女、ローサさんの友人ということで、ゴンサロ君を紹介してもらった、と。ゴンサロ君はホテルマンで、仕事のために学んだという日本語は見事なものでした。この時点で、わたしも嫁さんもスペイン語はからっきしでしたから、英語に加えて日本語も話せるゴンサロ君は、たいへんありがたいガイドでした。

地下鉄1号線でグラン・ビアまで行き、スペイン広場から、デボット神殿、カサ・デ・カンポを見晴らすオエステ公園の丘、王宮などをぐるり一周。軍楽隊が演奏をしてた。女性の近衛兵もいれば、槍騎兵までいたのにはびっくり。
で、「タパス」へ。正式には何ていうのか分からん。テーマパーク的に様々な店が入っていて、客はそこかしこでつまみや酒を買って立ち飲みする。ウナギのシラスみたいなのを載せたパン、オリーブ、コロケット、カラマリリング、ガリシアタコ、けっこう食った。酒は嫁さんと自分がサングレア、ゴンサロはベルモット。さらに嫁さんと自分はビール、ゴンサロはガスパチョ。

翌日は「ティッセン・ボルネミッサ美術館」を訪問し、夜は闘牛へ。

チャマルチンから地下鉄10号線、5号線と乗り継いでVentasへ。ソル席の最前列に陣取り、会場準備からすべて観る。すばらしかった。5年前に観てから2度目だが、レベルが天地ほど違うのが素人目にも分かった。最後の6試合目は牛が勝った。闘牛士は負傷して搬送。大丈夫だっただろうか? 周囲の雰囲気も地元感満点で良かった。下のスタッフと言葉をかわす常連らしき親父たち。自分の右隣もいかにもうるさそうな爺で、豆をボリボリかじって殻を下に落とし、葉巻をスッパスッパ吸いつつ、ブツブツと論評している。何試合目かではどうも牛を応援していたようだ。煙いが悪くなかった(笑)

翌朝、チャマルチン駅から鉄道で、バスクの州都サン・セバスチャンを目指します。

車窓からは、荒れ地、畑? そしてスペイン名物風力発電の風車群。自分にとってはびっくりの風景だが、スペイン人は見慣れているらしく、ああ、とも、おお、とも聞こえてこない。やがて険しい山中に入り、アルプのような斜面に羊や牛が散在する風景となる。点在する白い羊どもは餃子のようだ。
5時間40分ほどかけて目的駅サン・セバスチャンに到着。ガラガラとスーツケースを引いてウルメア川を渡って市内へ。最初に目についた「ペンション サンマルチン」を嫁さんが偵察。そのまま泊まることに。英語担当の親父とフランス語のおばちゃん夫婦の経営。嫁さんがおばちゃんとフランス語で交渉。1泊50ユーロ。

ペンションは安く上がりましたが、物価は高かった。ピンチョスと呼ばれるタパスが1皿5ユーロ。レストランで軽く食事をするだけで、50ユーロ以上かかります。
翌日は、貸自転車を借りて、あちこち回りました。

ヨーロッパの町は旧市街がいい。サン・セバスチャンも例外じゃなく、クルマが入り込めない旧市街が良かった。ちなみに「新市街」も、ナポレオン戦争で焼かれた町を、ハプスブルク時代の19世紀に王妃マリア・クリスティーナが保養地とした以来の建築で、200年近い歴史がある。それなりの風格がある。残念なのは、砂岩で作られているから、雨風による侵食が早いこと。
海岸沿いに走ってフニクリへ。ケーブルカーで登る。眺望はすばらしい。オフシーズンの遊園地で、独特の風情がある。てっぺんの砦みたいな塔は、英語の説明文によれば元灯台。灯台がある山をマリア・クリスティーナが遊園地に改造した、と。その際に砦っぽく作り替えたのだろう、と推察。
再度走り出し、市街地一周コースに。途中、かなり長いトンネルを通過。自転車道にかくも長きトンネルを掘るとは、サン・セバスチャン恐るべし。ウルメア川右岸の市街地を周回。「タタミ」なる日本料理店発見。スターターの一品は「味噌汁」。なるほど。湾外の海岸に出る。カフェで珈琲。

サン・セバスチャンで2泊して、バスで国境を越えて、フランスのビアリッツへ。そこでレンタカーを借りて、トゥールーズその他を、ほぼ行き当たりばったりに旅したのでした。

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