先住民族とは?

「先住民族」は「ある土地に先に住んでいた民族」という意味ではない。

2019年5月24日に「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(通称「アイヌ施策推進法」)が施行された。このアイヌ施策推進法で法律として初めてアイヌが「先住民族」と明記された。

アイヌ民族否定論者は「アイヌ民族が先住民族であること」を否定するときに、「先住民族」を誤用して、もしくは歪曲することが多いので、まとめておく次第。

先住民族の定義

辞書「世界大百科事典 第2版」より。

一般に,〈近代〉国家が形成される段階で,〈未開〉であるとの偏見をもとに,民族としての存在と固有の文化を否定され,その伝統的領土とともに一方的にその国家に併合された民族集団を指す。その領土には植民地政策が敷かれ,大虐殺や強制同化政策などにより民族としての抹殺が行われるが,同化が進んでも,差別問題は解決しない。この点,先住民族は,近代国家に自らの意思で統合されたかどうか,植民地政策が行われたかどうかによって確認される政治学の概念であり,民族学や人類学の概念ではない。

「アイヌ施策推進法」は日本政府も賛成して批准した「先住民族の権利に関する国際連合宣言」に従って法制化された。

先住民族の権利に関する国際連合宣言」の先住民族の記述は以下のとおりである。

先住民族が、特に植民地化並びにその土地、領域及び資源のはく奪の結果として歴史的に不正に扱われてきた

このように、先住民族は『近代以降の植民地政策や同化政策によって、自らの社会や土地、固有の言葉や文化などを否定され、奪われてきた人びとである』を指す。

アイヌ民族否定論に抗する

このように「先住民族」は「ある土地に先に住んでいた民族」という意味ではない。アイヌ民族否定論の内容をきちんと解読しておらず、詳しく覚えていないが、北海道には縄文人が先に住んでおり、縄文人こそが先住民族である、のような誤用(もしくは悪用)があるが、それは誤りである。


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