8月27日(火)の日記

特に成長期には、苦手なことの克服にばかり労力を割いていました。その代わりに得意分野を伸ばすことに集中すべきだったと後悔したのは20代の頃だったか、もっと後か。苦手の克服を目標にするということは、少なくともわたしにとっては常に「できない自分」に目を向けて「ダメ出し」を続けることでした。そして凸凹を均すということは、突出したもののない凡庸な人間になるということ。

年を重ねた今、少女時代のわたしに助言できるなら、得意なことを極めなさい、ではなく、苦手なことは対症療法程度の対策でやり過ごせば十分よ、と伝えるでしょう。自分の性質や性格を無理して変えなくたって、望む結果を得ることはできます。たとえば出がけについぼんやりして待ち合わせに遅れてしまう傾向があるなら、待ち合わせ時間の少し前に約束の場所の近くで自分だけの予定を立てるのです。つまり、正午に駅で友人と会うなら、11時に駅前の喫茶店に入って本を読むという予定を立てる。それでどうなるかというと、かなりの確率で11時には間に合わなくて喫茶店での読書を諦める羽目になりますが、正午の約束には決して遅れないのです。自分の理想の過ごし方には届かなくても人には迷惑をかけない。これがわたしにとっては自分に失望しないコツです。同様に、財布を忘れて出かけがちなので、定期入れにも少しお金を入れておくなど。
悪癖を自力で治せるなんていうのは思い上がりであり、ましてや性格の矯正なんてできっこないのです、少なくともわたしには。

SでもCでも合格は合格。目指すべきは及第点の結果。
そういえば高校受験のときも、このやり方でした。面積や体積を求める問題が大の苦手で父の知人が経営する塾で特訓していただいたもののどうしても解けず、「これらの問題が出たら捨てて他の問題に時間を使いましょう」という結論に達し、本番の試験では配点の大きな図形問題2問を早々に捨ててそれ以外の問題を何度も見返してミス無しで提出するという方法で合格を勝ち取ったのでした。なんだ、知ってたんじゃないの。

苦手は克服しなくていい(どうせできない)から、苦手なものが失敗の原因にならない方法を編み出せ。余力を得意分野に回せ。
努力で理想に近づける(わたしが理想に近づけないのは努力不足だからだ)なんてとんだ自惚れでした。


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