女オタクが同人女に至るまで

今回私が書くのは端的に言ってしまえば、友人の観察日記である。同人女の見た同人女の感情みたいなものだ。

まず、自己紹介からさせてほしい。私はしがない男性向け同人作家で、現在はいわゆるアイドルジャンルで活動している。新刊を出してコスプレをして頒布するのでイベント当日は売り子に手伝ってもらう必要があり、その売り子にたまに来てもらってるのが今回の主役となる友人である。彼女はこうして私の売り子をすることから同人文化の知識はあり、理解もあるものの、自らが進んで本を買ったり出したりということに興味がある方ではなかったので、あくまで友達がなんかやってるから手伝ってやるかみたいな感じで手伝いに来てくれていた。そんな彼女と私の出会いは実に10年前、高校時代にまで遡る。私が教室の隅で真っ赤な表紙の本を読んでいたときに「あのそれ…化物語ですよね…」と話しかけてきたのが彼女だ。それから定着するジャンルは違うもののお互いに一生オタクのためなんやかんや遊び続け、今では私は上京し、友人は大阪に住み続けているがなんやかんや行き来したりディスコードを利用してたまに遊んでいる。

さて、そろそろ本題に入ろうと思う。そんな友人がある晴れた日に新しいゲームを始めた。定期的に開催している友人複数とのゲーム会で、別の友人から勧められていたものだ。フーン?キャラ良さそうだしやってみるか!みたいな感じで。ジャンルの特定を避けるため、仮にKJ(仮のジャンル)とする。KJは発売からそれなりに期間の経っているゲームで、これに友人はとんでもなくハマった。人が沼に落ちるというのはこういう様を言うのであろうと思った。よく食べる方でうどんを食べに行けばうどんを大盛りにした上でいなりを2つと天ぷらを食べるような友人だったが、ご飯を食べるのも忘れてゲームをしていた。就寝時間も日に日に遅くなり、私がゲームをつければ必ず彼女もKJで遊んでいる通知が表示された。たまにプレイ時間を見に行けば、本当に私と同じ時を歩んでいるのか…?と思うくらい増えていた。そして、プレイし始めて一月経とうかというタイミングで彼女は出会ったのである。そう……推しカプというものに。

これまた特定を避けるため、無難にA×Bとする。ジャンル内では比較的人気のようで、検索すると2次創作や過去に出された同人誌が出てきた。後に魂の推しカプとなるそのカップリングに出会った彼女が取った行動は意外にも生産の方向だった。前述で同人文化には馴染みがないようなことを述べたが、イラストはたまに趣味で描いていたため、推しカプへの愛や想いを筆を取って表現し始めたのである。(私が夏頃やっていた作業配信は元来、この友人に見せるための企画であった)
彼女は狂ったように2人を描いた。狂ったようにというか、狂っていた。毎日毎日、描いたことない構図にチャレンジしてみたり、突然漫画を描いてみたり、SSに挑戦したり、ゲームをする傍ら、生産活動にとんでもない熱量を注いだ。ここで注釈しておきたいのが、彼女はこの絵や漫画を公開していなかった。正確には私を含めた友人たった3人しか見えないアカウントに絵を貼り続けた。私から見ると異常事態である。多くの絵描きにとっても、理解し難い行動であろうと思う。私は朝起きて漫画が貼られてるのを見たとき、得も言われぬ感動に襲われた。10年付き合いがあって漫画を描いてるのは初めて見たのだ。私や別の友人が本を作る様を涼しい瞳で見ていた彼女が、猛烈な勢いで創作している。この間に私はクリスタでの漫画の書き方や影の色の選び方など、聞かれたことはなんでも教えた。戦闘狂に戦闘マシーンの使い方を教えるモブキャラさながらである。

そんな中、A×Bのwebオンリーが開催されることとなった。オンリーイベントの存在を知った夜、朝型体質であるはずの彼女は、明け方までボーッと起きていた。 そこからもイベント当日まで毎日そのカプの絵を描き続けていた。私は当日膝の定期検診だったため行けなかったのだが、人見知りでビビリ体質なはずの彼女は単身、イベントに乗り込んだ。そしてそのイベントで一つの運命の出会いがあった。とらのあなで在庫が無く買えなかった同人小説の作品を作家が手出しで売ってくれたのだという。私は基本的に作家側なので、古い既刊買ってもらえてうれぴーよね〜みたいな感じだったのだが、買い手である彼女はひどく感動していた。病院帰りのスーパーでその報告を受けたことを鮮明に覚えている。

もう1500字くらい書いたのでちょっと休憩がてら過去回想を挟もうと思う。前述の通り、この友人、同人小説を読むのである。いわゆる「同人女の感情」で主役となっていた字書き達の作品だ。私が知る範囲では、同人小説はなかなか手に取ってもらえず、投稿サイトに上げても読んでもらうことすら難しいと聞く。しかしながら彼女はめちゃくちゃ読んだ。KJでない以前から親しんでいるジャンルでもすごい読んでおり、pixivで読んだこの小説のタイトルがこういい、とかこの小説はここの設定がどう、みたいな感想を何故かこれまた私にしか見られないような場所で呟いていた。それらを見るたびに時折流れてくる、字書きは感想をもらえない、という主旨のツイートが思い出され、本人に言ってやりなよ、喜ぶよ絶対と口を出していたのだが、さすがの人見知りでなかなかいうことを聞かなかった。私は書き手でかつ感想めちゃくちゃほしいし頂いた感想は全てスクショして手元に残してる人間なので、感想を貰えるかも知れない誰かがいるのに私が見るだけというのにいつも申し訳ない心地がしていた。なのでひたすら口煩く本人に言えと言い続けたのだ。

さて、時を現代に戻そうと思う。ここで、私はもう1人友人を紹介しなければならない。その子を含めた3人で遊ぶことが多いためだ。ややこしいので2人目の友人のことを以下松子と仮称する。松子は女性向けの同人作家であまりメジャーとはいえないジャンルやカップリングを好んで描いているこちらも高校の同級生だ。松子が寄稿したアンソロの献本を受け取りに行くために、友人は大規模イベントについていくこととなった。大阪のあの、めっちゃでかい例の会場である。ここが一つの大きなきっかけとなる。友人がそのイベントにKJサークルもないかな?と検索したところ、残念ながら存在しなかったのだ。そして、代わりに東京でかなり大規模なKJイベントが次の月に開催されることを知った。神本を書いて売ってくれる作家たちがこんなにたくさん…東京に集結する…!!!その事実に打ち震えた彼女は東京に住む私に連絡をしてきた。来月、そちらに向かうと。

私としてはもう、とんでもない衝撃である。なにせ、自らの意思で同人イベントの現地に赴くというだけでも衝撃なのに、遠征である。一般参加なので交通費は経費にもならない。大阪東京間を新幹線で行き来すると3万かかる。それに同人誌を買う目的となれば、一体いくらかかるのか想像もつかない。驚いた私は「それ、今のところ何割の確率で来るの?」と尋ねた。彼女は「10」と答えた。10%かと思ったが、割で聞いたので10割のようだった。この衝撃をどう記載していいのか、私の語彙力では不可能な気さえする。同人イベントなんか、私や松子の付き添いでしか来たことがなかったはずなのだ。しかし私は仲の良い友人が同人文化に触れてくれるならば、これほど嬉しいことはない。私は全身全霊で、彼女の一般参加を応援することとした。

実はここからが本編なのである。めっちゃ長くなっちゃったのである。東京で開催されるイベントへの参加を決意した友人は、サークル参加者に対して最大限の敬意と愛を伝えるため、差し入れを試みると言う。まぁ確かに、発売から日が経っているジャンルなのでまだ活動してくれて、既刊を持ってきてくれると言うのであれば謝辞を述べたくなる気持ちもわかる。そして、少し前に書いた過去回想の話に戻るのだが、彼女は同人小説やら漫画を読み、感想を私宛に言うくせに作家に伝えないという悪癖があった。それが、作家宛に手紙を書いて持っていくことを決意したのだ!感謝を伝え、今後の創作の活力にしてもらうため、手紙を書くという。私は嬉しくて嬉しくて西野カナも驚くほどに震えた。恐らくずっとジャンルに定住し続けているだろう作家にとって新規ユーザーが作品の感想の手紙を持って現れる。それほど喜ばれる事はないだろうと思った。まだ見ぬ作家の喜ぶ顔を想像しニコニコとしてしまった。そしてそれを決意した友人が取った行動が、断髪である。

断髪?!?!?!

そう、彼女は背中、いやもう腰まで届こうかというロングヘアだった。高校の時からずっと長かった。それを突然、切った。ショートボブになった。理由としては、KJのゲームをプレイしつつ、絵も描きつつ手紙を書くにはドライヤーの時間が惜しいという。とんでもない理由で、女の命とも言われるロングヘアをバッサリ切った。お前は女戦士か。なにを考えてるんだ 前述のことを考えてるのである。
彼女はなんと、13人に手紙を書くつもりだと言う。それがまず衝撃である。いいねも付けられない人間がはじめての一般参加でなんで13通も手紙を書くんだ、どんな熱量なんだ一体。それを聞いて、断髪も納得した。そりゃ確かに時間もなかろう。
次に彼女はなんと、便箋を用意したのだ。
しかもこれがただの便箋ではない、オリジナル便箋だ。
そう、自らの絵(A×B)を下部に配置し、自身の名前とIDを印字して手書き部分を愛らしくデザインしたオリジナル便箋である。
や、やることが極端すぎないか…?!と私は思った。再三言うが、ついこの間まで、いいねボタンすら押せないような女だったのだ。それは押せ。それが作家に渡す目的で、手ずから便箋を作ったのである。ちなみにコンビニコピーだ。私にも一枚試し書きとして書いてくれたのを写真に撮って送ってくれたので、それは私にちょうだいよと後から言ったらもうゴミ箱でぐしゃぐしゃになっていた。

次に行われたのが、印刷所へのシールの入稿だ。ここまで来るといよいよ訳がわからない。私がこれを知らされたのは入稿後のことである。差し入れのお菓子に貼るためのシールを印刷所に頼んで作ってもらったらしい。実のところ、イベントに行く!と決意してから当日まで2週間しかなかった。目まぐるしい勢いで全ての作業は行われた。私はただ呆けた顔で見ていただけだ。
手紙の内容もすごい。既刊を運良く手に出来た作家には既刊の感想を、そうでない作家にはTwitterやpixivの作品の感想や新刊のサンプルの感想を書いたという。これに関しては私もさすがに見ていないが、多い人では便箋に想いが収まりきらず、2枚に渡ったという。そうして短い髪を乾かしながら、彼女のイベント準備は進んでいった。時には家では他のことをしてしまうからと、漫画喫茶にこもって手紙を書いた。私がいままさにしているように、スマホで打つ方が何倍も早いのだが、彼女はとても愛らしく丁寧な字を書くので、手書きの方がいいと私が言った。私にも責任の一端があるが、私も女の子から手書きの手紙貰いたいので、いつか私の行いが返ってくる日を願う。そして、イベント当日が近付いてきた。責任感からではないが、とにかく時間がないということだったので同人誌を買うための両替は私がした。いくらあればいい?と尋ねると、5万と返答があり、私はバラバラ死体さながらに細かくなった5万円を持って会場に行くこととなった。

イベント前夜、彼女は前入りし、まだ準備を行っていた。手書きの手紙と、それから可愛いシールを貼ったお菓子やらなんやらをOPP袋に詰めていった。書き忘れていたが彼女はサービス開始からとある乙女向けアプリをずーーーーーーっと続けており、熱量を注いでいて公式の缶バッジを毎回すごい量買ったりしていた。なのでお取引用に家にOPP袋があるのである。そんな長く付き合ったアプリさえ、今は時間の無駄とログインしていない。これもすごいことだな…と思う。そして、驚くことに梱包の途中彼女はホテルを出てユザワヤに向かった。より良い梱包のため、リボンを買いに行ったのだ。推しカプのイメージカラーのリボンを数m購入してホテルに戻り、可愛く装飾して梱包作業を終えた。写真を見せてもらった時のことをよく覚えている。またしても私は受け取る作家の(なんと13名もの)顔を思い浮かべて微笑んだ。

ここまで全力で準備しているので忘れそうになってしまうが、彼女は人見知りである。私はイベント当日にここまで丹念に用意された差し入れが渡されないことを危惧した。それが十分にあり得るのだ。そうなってしまうと、もはや誰も浮かばれない。私も彼女とそのイベントに参加する予定だったが、帰ろうとする友人のカバンを強奪して代わりに渡すわけにはいくまい。どうしたもんかと色々と頭を捻った。まず、女性向けイベントに参加することがなかったので色々と常識を調べるところから始めた。どうも、食べ物の差し入れは受け付けていないサークルもあるようだ。私はここで多大な不安に襲われた。もし、彼女の用意した間違いなく今後の活力になるであろう手紙が、受け取ってもらえなかったらどうしようと。手紙自体を断られるならば仕方ないが、差し入れですとだけ言って渡したならば差し入れはちょっと…と言われてしまうかもしれない。イベント2日くらい前から私の頭はこのことでいっぱいとなっていた。そして、そのまま当日を迎えることとなる。

当日の朝、10時半までに駅に来てくれたらいい、私は朝ごはんのために早めに着くからと言われ、私は10時5分ごろに駅に着く電車に乗った。しかし、9時半ごろに駅に着いた彼女からとんでもない連絡がくる。「早く来てくれ」だ。いや、めちゃくちゃ早く着くんだが?!という思いでいっぱいだったが、事情を聞くと人がいっぱいでひどく緊張してしまい買った朝ごはんも食べられないという。カツ定食に唐揚げの小鉢を追加するような友人なので、とても心配だった。早く早く早く早く早く!という連絡を受け流しつつ現地に着くと、衝撃的なまでに髪を切った友人が待っていた。高校生から今まで付き合いがあって、初めて見た。イベント会場の前で…。後述するが、私がロングヘアで彼女がショートヘアなのは、後にも先にもこの日だけである。すっかり緊張は消え去ったようで、大量の差し入れが入った紙袋を持ちズカズカと歩いていく。サークル参加かコスプレイヤーかにしか見えない荷物の量だ。

諸々入場の手続きを済ませ、該当のホールに向かって歩く。私もソワソワしてあまり記憶がない。ただ、この間に私は彼女に伝えねばならなかった。どうにかして手紙だけでも受け取ってもらう方法を。そこで私は二晩考えた方法を提案する。「食べ物だと、受け取ってもらえない人もいるかもしれないから、まず手紙を書いてきたんですけど、と手紙を最初にアピールしよう!」すると彼女は、「いや…メインは…おかし…」などと歯向かう 歯向かうな。「でも、お菓子メインで渡してもし食べ物は受け取ってなくて…って言われた時にあっじゃあ手紙を書いてきたので手紙だけでもって言って手紙だけ取り出せる?」と尋ねた。弱々しい「できると思う…」に「いや、できない」と私は即答した。
作家に手紙をあまりに渡してほしく、日頃肯定的で穏やかなはずの私からまっすぐ否定が飛び出したので、しぶしぶ承諾してくれた。これは後にこや否定事件として語り継がれることになる。

該当のホールにたどり着くと、入っていきなり推しカプの島であった。この時まで、どう立ち回るかまでは決まっていなかったが、とにかく既刊の数が少ないサークルがあるから!とそこに向かい、1冊目の買い物を終えた。少ないところや大手は先に買い物をすませ、手紙は後にしようという風に進んだ。そしていざ、手紙を渡すパートに入っていく。打ち合わせはしていなかったが、私が差し入れをスタンバイしておき、友人が本を買い、買った本と差し入れを交換するように持ち替え私が本をバッグに、友人が作家に手紙を渡すという流れになった モタつかないための最適解であったが、今思うと餅つきみたいで滑稽だったように思う。作家たちは手紙を書いてきたと友人が言うとみな少し驚いた後に大変喜んだ 私が思い描いてたよりもより嬉しそうな笑顔がたくさん見られ、来た価値があったなぁと強く思った。その場で出会った神用に、と手紙なしのお菓子にシールを貼ったのみのセットを作っていたのも功を奏し、下調べできていなかった作家にも差し入れをすることができた。前日に「見えないところになら痕残ってもいいから私がイモったら殴ってくれ」と言っていた彼女だったが、思ったよりちゃんと渡すことができ、私は暴行罪を犯さずにすんだ。後から話したところ、小突かれまくったと言っていたので、ちょっとだけ暴行していたかもしれない。(さっき本を買った作家のところに手紙を渡しにいく際に「新刊先ほど買いましたって言え!」と小突いたり、無配をもらいそびれそうになるところに「無配はいいんか!」と小突くなど)

会場にいた時間は2時間にも満たないであろうが、ほぼ全てのA×B島をめぐり既刊新刊を全て購入し手紙を渡すという私が普通に同人作家してたら一般側から見る機会がなさそうな光景を見ることが出来たこともあり、とても短く感じた。途中、既刊全てくださいと言ったところ、これはもう見本誌しかないので200円値引かせてくれと言う作家さんがおり、彼女は抵抗したが私は後ろでいやもうそういうもんだからご好意に甘えなさい!読み跡がついちゃってるかもしれないからとかで値引きたくなっちゃうものよとか囁いて諭した。サークルから去りながら「私がいっぱい読んで読み跡更新する!!」とかわけのわからないことを言っていた。ちなみにその時の会計の合計額は6200円である。6000円にしたくなる気持ちも頷けるのだ。友人が購入したのはほとんど分厚い小説ばかりだったので、トートバッグで肩が千切れそうだった。そんなこんなあり、我々は会場を後にした。13通の激情が載った手紙は全て渡せた。

その日は泊まりということだったので、人気のない喫茶店で今日の話をした。作家さん喜んでくれてよかったねと伝えると、誰も顔を見ていないという。もったいないと思ったが、私が見ていたので良しとしよう。この喫茶店で私の長い髪を見て友人は大変そうwなどと煽り、なんやかんやで私も背中まであった髪を肩上まで切った。そのためロングヘアの私とショートヘアの友人の組み合わせはこの時のみなのだ。さて、この喫茶店で彼女は次の課題に向き合うこととなる。なんと、A×Bの次回オンリーがこの時既に告知されており、私はこれのサークル参加を強く勧めているのである。遠い昔に書いたことのように思うが、友人は絵や漫画を描くだけ描いて全然公開してなかったのだ。私がそのジャンルの人間ならば発狂するだろう。新規参入してくれた絵描きがいるのに絵が見られないなんて!私は作家側の喜びを知る人間であり、見る側の渇望を知る人間でもあるため、もはや使命感から出よう!やってみよう!と説得した。しかし彼女は翌々日から新生活を控えており両立出来るか不安だ、他にも上手い作家はたくさんいるからどうとまごまごしていた。そこで私は「次回開催された時に新しく参加を悩んでる作家さんに、あなた、ABオンリーは初めて?って優しく案内してあげたくない?!」とずるい諭し方をした。この村人感がツボったようで、ちょっと参加側に意思が傾いた。出る6割出ない4割という感じで、彼女は家に帰った。大量の本を携えて。翌日は筋肉痛になったらしい。

この後、私が予想していて、友人が予想だにしていなかったことが起きる。作家たちから手紙の返事がDMとして届き始めたのだ。中には絵を添えてくれた作家や、手紙で言及したシーンの解釈や由来を教えてくれた作家もいたという。正直私としては熱量のこもった手紙をもらったら返事するだろうなぁと思っていたが、来なかった時に責任が取れないので言っていなかった。彼女はひどく狼狽した。アイドルのプレゼントボックスに手紙を入れたつもりでいたのに、返事が返ってきてしまった。そして、その返事の末尾には、ほとんどの人から貴女の創作も素敵で、もっと見てみたいというコメントがあったという。オリジナルの便箋を作った甲斐があったのだ。

私や松子にどやされ、A×B作家からの熱い返事を受け、そして彼女はついに、初サークル参加を決めた!新生活の最中、休憩の昼休みに申し込みを済ませたという。余談だが、私はサークル申し込みをスマホでしたことがないので新時代だな…と思った。現在、彼女はイベント参加のため、頒布物の制作に勤しんでいる。女オタクであった彼女は、いつの間にか立派な同人女となっていた。推しカプのオンリーを盛り上げるために、今度は作家側として立ち上がったのだ。ちなみにイベント当日と、前日に出たくないとだだをこねることを踏まえ前日も私の予定が抑えられている。ここまで読んでくれた優しい人はどうか彼女の初サークル参加が上手くいくことを祈ってあげて欲しい。

2000字くらいでまとまるかな?と思って書き始めた記事だったが、もう途方もなく長い。ここまで付き合ってくれた人がどれくらいいるのかわからないけどお礼を言わせてほしい。ありがとう。
何度も何度も繰り返し書いた通り、作家は感想をもらうと嬉しいし、もはや断言してしまってもいいけど手紙が1番嬉しいので、もしこれを見ていいなと思ったら手紙を推し作家に書いてみてほしい。
最後に、この話を文に起こそうと思ったきっかけとなった書籍を紹介したいと思う。アフェリエイト的な要素は一切ないので安心してほしい。

私のジャンルに「神」がいます 真田 つづる https://www.amazon.co.jp/dp/4046800267/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_WvR0Fb1V0N03Q

おけけパワー中島で一世を風靡した「同人女の感情」こと「私のジャンルに神がいます」だ。カバー裏と書き下ろしが大変良かったのでTwitterで読んだ人も買った方がいいと思う。

それでは、また何かの機会でお会いできると嬉しいです。あと出来ればサンシャイン池崎のYouTubeを見てください。

※友人のジャンルとかカプがわかってもそっとしといてあげてね…


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