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【micorai column⑨】指輪が完成して思うこと。


ジュエリーを作り始めてから20年以上が経ち、今まで様々な分野のデザインに関わってきました。

同じ「ジュエリー」であっても、感じられるその性質は、アイテムごとに全く異なります。

婚約指輪のように、愛を語りかけるもの。
結婚指輪のように、永遠を誓いあうもの。
ハイジュエリーのように、心を羽ばたかせるもの。

また、大切な方から受け継ぎ生まれ変わるリフォームジュエリーや、メンテナンスをしながら歴史を楽しむアンティークジュエリーなども、たくさんの気持ちが宿っています。

それぞれの性質ごとに持つ力(籠められた願い)が、そのジュエリーの「表情」となって現れている。
私はそう思っています。



しかし、どのカテゴリーにおいても共通することがあります。

それは

「完成したら1日でも早く渡したい」

という気持ちです。

「見てもらいたい」「喜ぶ顔が見たい」と思うことはジュエラー(特に作り手)としては当然のこと。



遺灰指輪を製作している今でも、結婚指輪などお作りもしていて、やはり完成すると「早く渡したいなぁ」
と感じます。

遺灰指輪も同じジュエリーです。
同じように、早くお見せしたい!という気持ちになります。

でも、同時に「寂しいなぁ」と、感じます。
この気持ちは、他のジュエリーでは感じることはなく、遺灰指輪だけに感じる気持ちです。



お遺灰、遺毛、御爪、などお預かりさせていただき、お写真を眺めながら作ります。
元気な時の楽しいお話や、最期まで頑張ったお話しなどお伺い出来ることもあります。

その子とできるだけ向き合いながら作ります。
(これは遺灰指輪だから、というわけではありません。オーダーメイドでお作りする以上、どのジュエリーもその性質に合わせて想いを持って作業をします)



ジュエリーは、完成すると楽しさを感じ、納品の時はお客様の笑顔を楽しみにします。

遺灰指輪だけは、完成と同時に寂しさも感じ、納品では「バイバイ、元気でね」と声をかけます。



物には想いが込められる、というのは本当の事だといつも思っています。






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