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文月

・七月、ふづき、ふみづきとな。一日が終わる頃に壁かけのカレンダーを変えなきゃと気づく。
いつも早すぎるのはもう五月から言いつづけているからもうほんと大晦日まで待ったなし。
月曜日、雨、仕事終わりにスタジオリハ。
久しぶりの曲をするので、練習の為の練習が必要。今週末は5年ぶりの奄美大島でのライブ。SNSで4年ぶりと発信してしまったけれど5年ぶりだった。1年サバ読んでしまうほど時の流れの早いこと。
新曲もしつつ、古い曲もしつつ。練習の3時間もあっという間だ。
来年は現メンバーで10周年、ファズピックス結成は25周年。かー。

・脳盗、ロク漫拝聴。あとは関心領域についてのPodcastを何番組か聴いてみる。沖映社の考察が良かった。脳盗は後半音楽の話、頷く内容だった。いつかバンドで時代も国境も越えて知らない所へ行けたらきっと最高なんだろうな。「たま」の「さよなら人類」を久しぶりに聴いた。永久にいい曲だ。さよなら人類、さよならアメリカ。さよならニッポン。さよなら、さよなら、さよなら戦争。
奄美に行くまでに意地でも今夜と、眠る前に始めてしまったらっきょの皮むき。深夜に部屋じゅうがらっきょの香り。なかなかの量なだけに、ずっと触っていると何だからっきょに親近感。形もさまざま、まるみにとんがり、ひとつひとつ薄皮をむき終わり手を洗う。鏡に映ったらっきょがひとつ、情け無いようでたくましくもある。

2024らっきょ

・蒸し暑い日だった。『関心領域』でまだまだ意識が戦争へ行きがちで、録画していた沖縄戦のドキュメンタリー2本を立て続けに観る。
とても言葉にはならない。

夜ご飯はすりおろした人参と青じそドレッシングを合わせてアジの刺身とあえてたものを、紫玉ねぎスライス、さっと茹でたつるむらさきの上にのせサラダにした。これと鶏むね肉、茄子、ズッキーニの唐揚げ。これに素冷麺を用意はしていたけど食べ切れなかった。明日朝ごはんは素冷麺にきまりです。
出来るかぎり疲れないように過ごしたい。何故なら奄美が待っているから。今朝は明け方に寝室で蚊の音がして飛び起きた。ついに嫌だ。
スプレータイプの虫除けをしたら舌や気管がやや変な感じになる。コロナに罹って以降、化学薬品に敏感になってしまっている。以前はカビキラーや強力な洗剤を使用していたけど、今は具体が悪くなってしまう。ただでさえアレルギー体質がさらに過敏になった。それとも加齢だろうか。今日も願いは健康と平和。

黒いのは鶏肉と茄子の唐揚げ

・蒸し暑い。7月になりさらに夏の気配つよまる。前髪くるんくるん時代。今朝は予定通り朝ごはんに冷素麺、お昼は弁当。買うより断然健康と節約。そう、日々のコツコツが大切。お弁当ファンクラブ活動がんばりたい。昼休みに色々と買い物をすませたく、結局胃袋に詰め込むだけのような食べ方になってしまった、そこだけはお弁当にもすわけなかった。
夕方、予想以上に仕事が積まれていく、故に水曜日のなない、かなり遅れてしまう。ようやく今西荻窪へ移動中。入りが遅れる日に限って満席だったり忙しいという噂。無駄にソワソワしても到着の時間は変わらず仕方ないのに心拍数あがる。そんな移動日記を記しておきます。

・お店へ着くと天使がいた(スタッフPちゃん)
よかった、よかった〜、ありがとうございます。救われた。以前働いていたSちゃんもお母さんの誕生日で来店されていた。お元気そうで何よりよかった。
なない賑やかだけどお話もはずみ、お酒もたくさん弾んでついつい終電を忘れてしまいそうになる。バタバタと退勤。
それにしても皆との会話で漫画「電影少女」が読みたくなってしまったよな。な、夜。
ファズピックスの2ndアルバム「幻の光」という曲がありますが、なんともしれない感じ、電影少女の妙な空気に似合う気がした。

美味しかったオレンジワイン

・暑くてとけそう。内臓からダルみ。こんなに暑くて外仕事の人、野良猫、路上で暮らす人たちは大丈夫なのだろうか。税金はちゃんと困っている人の為に行き届いているのだろうか。
選挙、行こう。当日は奄美にいるので期日前投票に今夜行く。
新札の実物をさっそく見る事ができた。めちゃくちゃ違和感。人生ゲームの嘘札のように見える。見慣れていないからか。ホログラムのおじさんが左右真ん中と何処からみてもこちらを見るように動く。ビックリマンシールのキラみたいだな。私は夏目漱石が好きだったな。
皆偉業を成し遂げた人物なのだろうけど、あまり親しみはわかない。知らないおじさんという印象。
私の妄想新札、水木しげる千円札、裏は水木先生の描いたキャラクターと背景。
5千円札はまだご存命ですが生死も性も全てを超越された美輪明宏様、裏のデザインも美輪様のご希望に沿ってお作りしたい。一万円札はどうしよう。埴輪か土偶はどうだろう。もう人間じゃなくて時代の象徴として。色的にも合うやないの。縄文時代を代表して土偶。裏面は貝とか土器でいいよ。山も描いて綺麗。
ミナミの帝王とか、闇金ウシジマくんみたいな世界で土偶のお札が舞う。なんか、悪いことしてかき集めても土偶がマヌケにさせてしまいそうか。など、最近めっきりお札持ち歩かない電子やらカードで暮らしているから、私が新札を手にする日はもっと先かもな。

流通空論ききながら

・期日前(ぜん)投票を終え奄美行きの準備。
何だか一日中眠い日だったから24時にはすぐ眠れるだろうと思いきや。3時間くらい寝て予定通りタクシーに乗り、バスに乗り換え羽田空港へ。飛行機は久々。それにしても荷物が薄着にしたとて重い。ギターケースにキャリーで合計18キロくらい。肩掛けカバンも含めたらさらにズッシリ。奄美に合わせて化粧ができない事態でも健やかに過ごせるようカラーレンズの眼鏡を作っておいた。夜でもサングラスはちょっと自分にはややハードルが高く、いやでももう化粧もコンタクトレンズもせずにらくらく通りを歩けるのだと思い作った。ついにこれで私も尊敬する夜でもサングラスのタモリさんやMJへまた一歩と、完成したサングラスを着用したところ、タモリMJというより藤井フミヤ寄りだった。鏡に映ったフミヤがひとり。
でもお陰で奄美行きの朝の準備は最速。無事に羽田空港鹿児島経由で奄美大島へ到着。
五年ぶりの、愛しの奄美大島。


・ついて直ぐに向かったのはカフェキョール。
山本さんご夫婦が経営されている素敵な素敵なカレーとコーヒーのお店。店内には色々なレコードやひとつひとつみていたくなる絵が飾ってあり、ご夫婦の音楽好きで優しくあたたかい雰囲気がそのままお店の空間にただよっていて、居心地がとてもいい。
初めて奄美へ来た2016年の7月にここカフェキョールへ来たのがきっかけで、それから毎年来るたびにキョールへは必ず寄る。
初めて行った日の夜に山本ご夫婦はアシビへ我々のライブへ来てくださり、それ以来ずっと奄美へ訪れるたび我々はキョールへ、そしてご夫婦はライブへ足を運んでくださり、奄美といえばキョールという大切な出会いとなった。
今回5年ぶりで向かう道は少し緊張したが、お店に入ったとたんすぐにそんな緊張はなくなり私たちは再会のよろこびに心に花がぽんぽん咲いた。カレー美味しかった〜、レコードも数枚購入(やっすい)、名残惜しい中お会計をすればやけに安い。きけば今日からレコード半額なんですよと、みれば習字で「レコード半額」とかかれた半紙がテーブルの上に乾かし中で置いてあった。ただでさえ安いのに。。ミラクル安くなり奄美にきて速攻レコードをお土産に買って、お店をあとにした。

車内でいつもの倍喋っていたらしい

・キョールのあとその足でヤドリ浜まで。
海までの道には奄美でしか見ないかっこいい植物達がどこを見ても目に入ってくる。そして青く澄んだ海をみた瞬間「来年も絶対来る」とまだ到達して何もしていないそばから、興奮していた(らしい)。オザキフラワーパークですらテンションあがるのに、自然のガチの本気の緑と緑と青と青に私はもう感動が溢れすぎて、この地を離れなくてはならない事実が待ってることに絶望すらしていた。忙しい。嫌だ帰りたくない。どうやって生活しようと物件も探さないとと、突き抜ける青空に包まれ心が暴れ回った。ちょっと落ち着いてくれ。

人がいないヤドリ浜

・5年ぶりの奄美の海。空港から1時間半くらい車を走らせてヤドリ浜へ。平日の昼間だからかほとんど人が見当たらない。目の前に光り輝く海、遠くに一人二人見える程度。奄美に到着してからずっと静かなるハイなので海に入るのもソワソワワクワク。雑に日焼け止めをわしゃわしゃ塗り準備運動もライフジャケットも浮き輪ももたずに、シュノーケル握りしめて海へ。太陽が大声で笑っている。熱帯の植物もずっとギラギラと光り、命が燃え上がっているように見える。
透き通る海へ入ってしばらくすると、念願の夢にまでみた海亀に出会った。「!!!!」
とびきりの出会いに思いがけず高まった勢いで海水を飲んでしまい咽せる、急いで海面に上がろとしたが足がつかず慌てて溺れてしまう。
必死にもがいてようやく足がついたときには、もうあの夢にまでみた海亀は去ってしまって、その後なんど潜って泳いでも姿をみせてはくれなかった。すれ違っただけの、一瞬のエトランゼ。
海亀はそれきりだったけれど、名前のわからない光っているような青い小魚や、馬面のとんがり口な魚が逃げることなくこちらへ向かってきたり、太陽の光でゆらゆらと形を変える海の模様を眺めながら時間を忘れて泳いだ。

いたるところにゴールデンシャワー

・奄美のライブツアーはライブ100%でもでも遊びも100%なので奄美に居る時は200%で生きている。ずっと穏やかで、ずっと元気の気が立ち上がりっぱなしのような状態。
これは奄美の島全体から溢れだす生命の、正真正銘の自然の気配なんではないかと思った。
国が違えばそれを精霊とか神としておそれまたは崇められるような、人間よりも圧倒的に自然のパワーが強くみなぎってくる何かを感じる。
奄美大島がひとつの大きな生き物のように思えてくる。しかもその生き物はまるで大きな大きな新生児のような魂。神秘で人間が作り上げた価値観や手垢まみれの善も悪も立ち入る隙もないほど無垢というか、純なそのものの塊のようなエネルギーがじりじりと地上から湧きあがり、天から注がれている。
新生児の果てしない夢のような生命のエネルギーが奄美の緑と海にはあり、その中に人が静かに暮らしている。
今までよく耳にしてきた「島の人はあたたかい」とか「みんな優しい」というような語り口は、あまり好きではない。都会とされる場所から来た人の優越感というか傲慢というか、そこに暮らす人を羨むようで、実は何も見えてなく自分の暮らしへの惚気のように感じられる。何処に暮らそうとも人は人。
都会に生まれた田舎もんも離島に暮らすシティボーイ、ガールはいつでもどこでも存在する。
「東京の人は冷たい」と言った誤った感覚と同じく、汚れた街にも優しい人は存在するし人口が多い程優しい場面も醜い場面もたくさん見かける。
けれど、奄美に居るとそんなぐぢぐぢした考え全てをすっとばしてしまう程に、うっかり「島の人のあたたかさ」みたいな、決して好きじゃない言葉を発してしまう程に、島にいると自分が純に包まれてしまい、普段なら絶対にいいたくないような言葉や、セリフめいた感情が湧き上がってしまうのだった。
これは「島の人」が、というよりもこの長い歴史をもつ新生児のような奄美大島ならではで、誰もが自ずとそうなってしまう自然な感情のようにも思えた。
目の輝きや、朗らかにさせる会話のイントネーションも笑顔も、決して楽観的で開けっぴろげじゃない。内向的な芯の部分に影の輪郭のような、他人の心にズカズカと入ってこないだけの距離がある。この距離によってお互いを見つめる思いやりのような無言の温かな風がふいている。ように感じる。
これを一言で雑にひとくくりにしてしまうのが「島の人は」と口走ってしまうのかもしれない。
と、こんな風にいちいちと考えているうちは、まだまだ新生児の夢のような奄美大島の美しさに外から感激するだけの永久にエトランゼ。

おんぎゃあー海

・「奄美大島 渚でPunch vol.4」@古仁屋juice
5年間のコロナでの空白がありようやく開催。
vol.2の後に野外での「浜フェス」に出演させてもらった。その年を含めたら5回目の奄美大島でのライブだ。ドラムス森田ケーサク、ケーちゃんの故郷だからという理由で、ほとんどバンドで徒党を組んで押しかけていくような形だ。
呼ばれてもないのに押しかけていくバンド。
呼ばれてもないのに毎年毎年元気に明るくステージに登場する我々を地元の皆さまはいつも温かく迎えてくださった。なんなら地元のローカルラジオ番組にも毎年出演させてもらい、ライブの宣伝までしていた。爆発的な厚かましさをかかえて毎年お世話になりました。今年は瀬戸内の古仁屋と街がかわり「ディ!ウェイブ」の出演は叶わなかったものの、滞在中の移動中は車内でずーっとディ!ウェイブを拝聴していた。たまらなく心地がよく、熱帯の植物のアーチを抜けたら広がるソーダゼリーのように透き通る海には、どんな大好きな歌よりも島の言葉でお送りされるディ!ウェイブが一番似合っていて、気分もリラックスした。町内のルールを小学生達がアナウンスしたり、どこかの宴会でどこかのお父さんが歌う島唄が放送されたり、のんびりしていて本当によい。
奄美の昔の島唄を聴けたのがとても良かった。

・古仁屋juiceでのライブ。初めての古仁屋ということでずっとそわそわ。ただあまりにもライブの全貌、タイムスケジュールなどもないので全てがだいたいこのくらいの時間。出番もたぶんこのくらいか?な?という感じの完全な島タイムスケジュールだった。私はもともと島に住んでもいない時からアバウト、だいたい、お互いにプレッシャーはないという、悪くしか言いようのない時間にルーズ者なので(逆に待ち時間は全く気にしないが)人の時間を奪うというプレッシャーは苦しく、付き合う人間関係はおかげでどんどん小さくなってしまった。
島タイムなら私も相思相愛になれそうだ。
すでに一泊の滞在中に「どうやったら住めるやか」と何度も何度もつぶやいていた。どうにかして住んでしまいたい。神様。
「どうやら会場入りは16時あたり」というので、古仁屋へ出発前に国直海外へ行き小一時間またシュノーケル持って海へ潜った。ありえない。ライブ前に熱帯魚に手を振り、ウニをみつけてつついたり。まず奄美でしかありえない発想だ。


・国直海外もシャワー設備やトイレもきちんとあり、すぐ近くには綺麗な公園なのだが、金曜日の昼間だからだろうか、ほどほど人が居ない。ヤドリ浜では海亀にお会いできたが、こちらの海は遠浅で浅瀬にも熱帯魚が既にいる。珊瑚の道に沿って小さな熱帯魚をみようと潜り、身体が波に流されないように珊瑚を掴んだときに珊瑚のとんがりに触り、人差し指を刺してしまった。
「あ痛い。」と思って指をみたら小さく出血している。海面に出てまじまじと人差し指をみると何か刺さっている気がする。あー、、。いたい。
少し気がしずまり、泳ぐのも満足したところで、国直海外をあとにした。指にはまだ何か刺さっているような違和感。ちくりと痛む。
右手の人差し指をまじまじみるが異物はないが、違和感。
綺麗といえど海水で指が腫れて化膿したりするかな。こんなヤワなハートじゃ海には潜れまいて。魚の家を触って覗こうとしたバチがあたったんだべさ。バイ菌や毒が入ってしまっていたらどうしよう。この後指先がどんどん膨らみこれが原因で何かどうかなってもまあ構わないさ。あんな綺麗な海での出来事、珊瑚で死ねるなら美しい。と、すっかり気高くナーバス、胸を毒蛇に噛ませて自死したクレオパトラのような古代まで誇大妄想するほどに。ヤワすぎやろ。

オオゴマダラの蛹

・朝から海に潜り1時間半くらいで名瀬から古仁屋まで車を走らせてjuice到着。まだメンバーも店長中村君も来ておらず扉が閉まっているので一旦今夜泊まるカプセルホテルへチェックイン。メンバーに確認すれば皆近場で待機中とのこと、ドラムス森田ケーサク、ケーちゃんにおいては当日入り、朝早く到着、のち古仁屋着いてまだまだ時間があるからと釣竿をわざわざ購入して炎天下の中、地元の釣具屋さんにエサの付け方などレクチャーを受けてまで釣りをして時がくるのを待っていたらしく、笑った。
各々が奄美の中で奄美でしかしないような過ごし方、動きをしている。程なくしてjuiceオープン、5年ぶりに中村くんに再会。予想していた何倍も大きな会場、そしてスタジオや広い控え室などビル全体を案内してもらった。広い、すごい、泊まれるくらいに部屋がある。
釣竿を持ってケーちゃん登場し、まだ宿を予約してないないケーちゃんは今夜は古仁屋juiceに宿泊でよしとなる。メンバー、関谷全員揃い本日のライブの出演をきけばもらっていたフライヤーからさらに出演者が三組増えており、近くでお祭りの前夜祭してるからという事で、そのお祭りが終わるくらいにjuiceはスタートしましょうとの提案をいただき、島タイムテーブル、そのフリースタイル加減と、町内のお祭りに合わせてオープンが変更するという他では経験したことのないスケジュール発表に、すっかりjuiceに、この古仁屋に身を任せようと決めた。
当日はInstagramでライブを生配信予定だったのだが、何時に配信という告知が読めず、みれた人ラッキーだったねーの形になった。
予定時刻がなかなか読みきれず、配信を楽しみにしていた方には申し訳なかったです。
その予定や決まり事などがないのも島ならではのスタイルとして我々と共に楽しんでいただけたら幸いです。
メインのライブについては、中村くんから時間まで酒でも飲んでてくださいと言われ、普段は絶対にない飲酒をしっかりとしてステージに上がった関谷謙太郎の弾き語り。これもまた奄美でしかみられない表情であり、歌があったと思う。都内より島の方が良いライブをするでお馴染みだったtalking lightsの名曲も久しぶりに聴けた。せっかくなのでとファズピックスのメンバー3人をバックバンドに迎えて2曲。配信もしたが、さらに奄美の特別なステージだったのが面白かった。地元の女子高生バンドタイムリープの皆さまもライブを観ており、女子高生や10代の方にライブを観てもらえる機会もなかなかないので羨ましい限りのライブだった。酒が入っていたからという事ではない。多少の酔いも手伝っているかもしれないが、会場の空間や雰囲気でさらに特別な一瞬は生まれていった。

古仁屋の居酒屋にて(ライブ前)

・我らファズピックスの出番は気づけば24時前。かなり久しぶりの深夜ライブ。なんなら昼間海に潜り、はたまたひとりは釣りをして、リハ終わりは居酒屋でるんるんに郷土料理と黒糖焼酎を堪能し、地元バンドのライブを楽しんでからの出番。今回初めて共演した楠田莉子さんのライブがとくに印象的だった。
幼い頃から島唄を歌ってきただけあり、日中ラジオで聴いて惚れ惚れしていた島唄の歌声をライブで聴く事ができてとてもよい歌を聴けた〜と感激した。色々な大会で数々の優勝をされている莉子さん。シンガーソングライターとしても活躍しており島の宝なのだというのがとても伝わってきた。
ラジオで聴いていた時も感じたが、ちょっと前に日記に記した、折坂悠太の「呪文」やそれまでの作品を聴いて胸にじんじんときたあの時の気持ちは、おそらく島唄を聴いたこの気持ちのような事だったのかもしれないと気づいた。
よくよく考えたら(今更なのか)発声は島唄や民謡の方法なのかもしれない。ロックでも歌謡でもジャズでもブルースでもない哀しみと温かな孤独。これを哀愁と呼ぶのかな。悠久の歌声とも思う。なんとも説明はできない、古くから心の中にある思いのような、そんな歌。
初めてなのに、初めてじゃない。そんな感じがじんじんとめぐりめぐるような。そうして島唄はとてもセクシィだ。どの島唄も色気が漂う。
そんな歌の全てを兼ね備えたような莉子さんの素晴らしい歌を聴き、もう私の歌など聴かせられるだろうかとぼんやり、すっかりボーっとした。

その後、その人当たりの良さからは想像出来なかったパンクバンドTHE SNOREの真っ直ぐなライブで一度は波にゆらゆら流されてしまったような意識を取り戻せた。バンド脳ライブ脳に切り替え我々ファズピックスのトリライブでした。
すっかり女子高生達は門限前に皆帰宅していたが、奄美の素敵な成人女性、成人男性はまだまだ元気に客席に残ってくださり、押しかけてきたバンドのライブ演奏にお付き合いいただきました。何ならアンコールもあり、莉子さん、関谷をステージに呼び寄せて1曲。

24時をすぎMCもいつもより熱っぽくなっていたよなあと、それはこの島にいると心スッキリと洗われていつもなら「恥ずかしい」とか斜めぎみの思考が自然とまっすぐに開いていく感じがあり、嘘や虚栄心は全くの無意味で、誠の心だけがこの奄美の海の青さ、透明さに似合うような。
だから常に日々感じている思いをMCでも口に出してしまった。
本心だから良いのだけど、ちょっといきなり意味わからなかったかな、とやや冷静に思い返している。
己の誠の心をしっかりと持つ。そうでなければ歌だけではなく、言葉も行動もきっと誠の心には響かない。古仁屋のライブで、そんな風に思った。

その節は皆さま、古仁屋juice、Instagramライブ配信観覧いただきありがとうございました。
5年ぶり、また来年、また来年おしかけるんだと強く決心しました。

奄美ドリンクラインナップ

・ライブ翌日は東京へ戻りの日。ビッグⅡなるビッグなスーパー?ホームセンターへ、到着した日にすぐ島草履を買いにより、帰省日にはお土産を買いに寄った。
奄美といえば24時間営業何でもありますグリーンストアの惣菜と、まじで全部ありますのビッグⅡでお土産買い物が恒例。5年ぶりながら
どちらもそうそうコレコレい!と高鳴る。奄美でしか見ない鮮魚に胸おどらせ、生ものは買えなくとも写メだけは撮る。旅先の地元のスーパーの盛り上がりかたは異様。5回目にして初めてビッグⅡにはバタフライガーデンなる素晴らしい奄美の植物と花のように舞うオオゴマダラという蝶々が飛び回る秘密の場所があったのを知る。
入園料200円。やす。無人ポストに200円を入れて入ってみれば、すぐにあちらにもこちらにも蝶。蝶。蝶。いい感じ。さっそくスマホで夢中に蝶を撮る。管理人と思われる女性が蝶に話しかけているのか、はたまたこの秘密ガーデンに迷い込んだ私に何か警告しているのか、お互いの姿は熱帯の大きな植物に隠れてしまい見えてはいない。何か話している声だけは聞こえてくる。さらに奥へいけば現れたのはひらひら舞う蝶の群れと、小柄な管理人のおばぁちゃん。と、呼ぶにはあまりにも発言は無邪気で笑顔もチャーミングな管理人さん。
ドラゴンフルーツに集まっている蝶々が乗ったフルーツ皿を手にもち「ほら、これほら顔の横に近づけて写真撮ったらいいよ」とスマホで自撮りをしなさいと強く何度も推してくださるので、じゃあと蝶の管理人さんも一緒にと二人で蝶を挟んで自撮りした。めっちゃいい笑顔でツーショットいただきました。
まさかこの空港までのラストスパート、ビッグⅡでこんな夢の園に来れたなんて。
よかった〜存分にスマホで植物を大量に撮りおさめ、うっとり蝶を観てバタバタとかけこみ「ひさ倉」で鶏飯を食べて(昨夜ライブで踊りまくってくれていたフランス人の天使みたいな女の子とうれしい再会)空港へ。
九州時代では大変お世話になったファミレスジョイフルも奄美空港内にあり、こちらで時間がくるまで飲みながら待つのも恒例となった。
名残り惜しみつつ黒糖焼酎ソーダ割りを2杯飲んで奄美空港から鹿児島経由、羽田空港へ到着。
無事に奄美2024は終わった、終わってしまった。

奄美最終めし鶏飯

・奄美から東京へ帰宅する途中、都知事選の結果が出た。毎回めちゃくちゃ結果出るの早いなーと思う。結果は私の投票した立候補者ではなかった。あっけないけれど、投票率が少し増えていることは前向きに。

・月曜日も普通に勤務。マウスをクリックする度に右手の人差し指がヂンといたい。そう、あの海でチクッと珊瑚で傷つけた指先があれ以来ずっとジンジンしていて、やや腫れているのである。クレオパトラ、、この指から死ぬのかな。たった針でひと刺しした程度なのにこんなに長引くものなのかな。箸をもつにも、マウスを触るにも人差し指があたらないような形で生活する。ちくちくヂンヂン。

・選挙についてのツイート、ポッドキャスト、YouTubeなどで今回のことを振り返る。
武田砂鉄氏の鋭く、頼りになるわ〜というひと場面を観る。本のままの印象、ブレない、声に説得力と安心感がある。
そして選挙は面白いから参加した方が良い、というか、投票するとすっきりと気持ちがよい。結果がどうであれ。
けれどSNSでは私と同じ立候補者への支持者が多かったのに結果は毎回全く違う。これが現実なのだなと思う。単にアルゴリズムで「そんな雰囲気」に感じただけなのかな。
戦争も環境破壊も人種差別もその他の耳を疑ってしまう陰謀論も全部、SNSのスマートフォンの中だけの出来事のような気がしてくる程に、携帯が無くなればまるで悩ましい全ては何も無い。私は目の前の事をただひたすらにする。
ずーっとずーっとこのままの生活は変わらず終わっていくような気持ちにもなる。
ホントは私が出来ることの全てはそれだけ。それでいいのかも知れないとも思う。 

・奄美が終わればいつ夏が終わっても悔いなし!の予定が帰ってきてさらに東京は夏がきた。おーととっと夏だぜ?だぜ?とりあえずめちゃくちゃ暑い。奄美よりもわんと暑い。
人差し指のチクチクが日々気になる。やはりこれはもう全身に奄美の珊瑚の傷が何かしら何して何かなってるよね。と日々マウスをパチパチするたびに人差し指もびちびち痛い。春にも右手の人差し指を執拗に不憫がっていたな。
あの時は火傷で今は珊瑚の切り傷で。今年は人差し指に何か賞をあげなければ。と、人差し指のそこばかり眺めまわして、つまんだりしていたら白い点のような粒が見えてきた。やはり珊瑚だ。これだ、これすぎる。もう全ての事がその一点に持っていかれながら数日、皮膚科へ行くしかないかと思いつつ、奄美での日記を1週間ちょっとかけてようやく書き上げた。
その後すぐに指先の珊瑚の小さな小さな牙のような破片が傷口の皮膚からすこしだけ出てきたので一気に強くつまんだらば「ス」っと抜けた!!!!!抜けたーーーーーーすごいーーーーーやっぱり珊瑚ーーーーーーいたんだーーーーーー指にーーーずっとーーーー珊瑚ーーーーーいたんだーーーー抜けたーーー!!!!
この10日間ずっと奄美珊瑚が指にいたんだ。
トモコ成分何%には珊瑚が。奄美の日記が完結してすぐに抜けた偶然の全てが感慨深かった。
むしろ海のモノにうっかり触れた戒めのような、この蛇の毒歯の形した白く細い珊瑚の破片をほいそれと捨てることはできず、カケラとはいえ奄美から連れてきてしまった海の骨のような白い珊瑚を貝殻の置物の中にそっと置いて、ようやく私は指先のちくちくのない世界へきた。

7月8日結成記念日

・奄美から帰省してすぐは、水曜日なない。週末は北九州から元マーカススタッフのMちゃんが東京に来てるというので仕事終わりに池袋で会う。
久々だったけれど、相変わらず元気そうでよかった。久しぶりに会うとそれまでの関係性や、どんな距離感だったか忘れてしまい、打ち解けるまでに初対面くらい緊張することも多々ある。不思議と北九州の友人知人にはそういう事はあまり起こらない。
20代の頃はMちゃんとは軽自動車の中で恋の話とかよくしていたよなあとしみじみしてしまった。
相変わらずの愛煙家、タバコがiQOSに変わっていた。

・なないワイン会へ。盛況で後半は女性たちがカウンターを埋め尽くす。最終的には女クラのような雰囲気に。人生で初めて恋愛ドキュメンタリー番組にハマってしまった私はこの面白いを共有できる相手を募りたく、とりあえずイケメンが好きな母や高校の友人に「Netflixのボーイフレンド」観て!とゴリ推しするも誰も観てはくれず、一人このうわーとなる盛り上がりの解放をするべくワイン会で「出てくる男の子が全員かわいくて、高校球児みたいに応援したくなるから観てください。もう〜おばちゃん泣いちゃったな。」と大宣伝して一旦気がすんだ。
後日、北九のRからめちゃくちゃ面白い。という報告があり、ますますほら!だよね!と私だけが盛り上がってんのかなという謎の不安は解消し満足した。恋愛ドキュメンタリーにどハマりした友人知人が呪いのように「ばちぇらみて」と言っていた気持ちがボーイフレンドでようやく理解できた。

ひとなつの思い出

・西荻窪なないの特別営業日。スタッフイベント企画「居酒屋 ひとなつ」1日オープン。
今回はひとみさん、パヤちゃん(本名ひとみ)、ともこ、なつみの4人で営業。全員の名前を組み合わせて「ひとなつ」いいじゃないかと決まった。
「スナック ニュー酉の」でなっちゃんと営業は慣れているけれど、今回は日曜日の早い時間からのオープンなのでタイムスケジュールや、
おつまみなど4人で相談しながら準備した。
昼から企画は毎回賑やかで、ニュー酉の営業とは雰囲気がまた変わる。
仕込みもほどほどに、いつもながらバタバタにオープンして、3時間後にようやくスタッフがメニューのコピーするためコンビニへいく余裕ができた。一時は立ち飲みも出て、そのくらいバタバタしていた。

今回のメニューは4人が準備したので品数も豊かだった。私は奄美で買って来た品で用意した。皆それぞれに郷土料理を入れており、野菜中心の夏らしいお品書きになった。

奄美もずく酢 
奄美もずく天ぷら    
奄美鶏飯
奄美パパイヤ漬けと島らっきょ
れんこん納豆  
茄子漬け 
新潟 車麩と夏野菜 味噌添え
焼鯖リエット バゲット付
兵庫のぼっかけ 
愛媛のじゃこ天  

兵庫の「ぼっかけ」はぱやちゃんが作ってきたいわゆる牛すじ煮込み。初めてその名を知る。
これらのメニューについて一番話し合ったのは
価格だった。やはり素人料理だから通常のお店のような価格にするのも抵抗があり、けれど4人とも原価や手間暇かかっているのである程度はお代は必要。せめぎ合いの中細かく値段を決めたのだった。が、当日いざ蓋をあけてみたら
唯一作っていた「おまかせコース」が殆どで、お客さま気前よく何でも全部食べてみたいという方が多く、あれだけチマチマと相談したわりに、サービスで提供したりおまかせは明らかに単品よりお得なので、結果的に残らなければ大吉だ〜くらいに、休みなくお任せでおつまみを出し続けたのだった。
勉強になる。なないの常連さんはとくに中川さんのおまかせで食べる方がほとんどなので、おまかせがやっぱり一番なのかもしれないと思った。次回のニュー酉のにも生かしていこう。

15時オープン、私は20時すぎからようやく休憩に抜けて「M₂O」のリリースライブに行けた。あこちゃんのライブ久々だった。
ドラムスは森信行さん、ベーシスト大西真さんとギター鍵盤に森山あこちゃんのスリーピースバンド。いつかいつかと思ってようやく行けた。お店休憩のタイミングで前半は観れなかったが後半をしっかり楽しんだ。ドラムの森さんは一方的にもちろん知っていたけれど、ライブは初めてだった。ベーシストの大西さんはきっとすごい人に違いないとライブを観て思った。角が全くないバターが溶けていくような滑らかで丸くて温もりすら感じるベース。
あこちゃんも森さんも大西さんもこの3人での演奏が好きなんだなあと思った。
ゆったりと渋くて、あたたかさが心地よいライブだった。そのライブでようやく座り、気持ちも切り替えて休憩ができた。
あこちゃんの歌、疲れた肉体に沁みいった。

ライブ終わり早々にお店へ戻り(徒歩2分)閉店までの営業はニュー酉のと似たようなゆっくり雰囲気で、こちらもようやく本性を表すように気持ちも解放し、片付けもしながら、お酒もいただきながら一気に夜をかけぬけた。深夜1時、ぱやちゃんと関谷と店を出た。
また今回のひとなつ営業では弾き語り流し人として関谷謙太郎にオファーした。
いつもならステージやコの字のカウンター内でライブとして歌ってもらったが、もっと気楽に気軽にお客さんのリクエストを歌ったり、伴奏して歌ってもらえたらと思い試みた、が、流しの歌にはやはり流しの歌い方や空間の持っていき方があるのだろう。ステージで歌う関谷に客席で歌わせる難しさを想定できていなかった。唯一そこは反省した。ステージやその空間をきちんと準備しなければ、聴く方も聴かせる方も関係性がなかなか難しいなと思った。またビルの騒音の関係で18時には流しは終わりで、あまり時間もなく、最後に1曲しっかりとカバーではないオリジナル「ダンシングクィーン」を歌ってもらったが生歌とは思えない声量。この1曲に本気が表れ、迫力と魅力がようやく発揮された。最初からこのスタイルを何曲かに分けて歌ってもらうべきだったな。歌をもっと大切にしなくては、と反省したのだった。
関谷謙太郎のアンコールの時間もないまま、その場にお客として居合わせたチダ兄も1曲ブルーハーツの「青空」を披露した。久々に兄の弾き語りも聴けて、これはよい機会だったと思う。最近はベーシストで人前で歌う機会がカラオケ以外にないので、ボーカリストとしての兄が蘇った。

濃厚で動きまわり張り詰めぱなしで精神も果て肉体もずっしりと重くなりタクシーで帰宅途中、あんなことこんなことあったでしょうと回想。色々な人の色々な顔を思い返し、沢山動きまわったけれど、どんな顔にもイライラしたり怒ったりせずに笑って終わったな一日中。トラブルなく終わったな。やりきったな、いま、せかいいちやさしいにんげんは、わたしだろう、わたしはこころひろく、のりきったよな。こんなにいいにんげんになってどうしたいんだと、達成感なのか、または疲労を解放した思考なのかそんな風に高ぶっていた。
ようやくタクシーを降りて、空を見上げたらびっくりする程まんまるな満月が白く光っていて
「きさま、笑わせるわ、これほど輝いてみろ」と大笑いしているように見えて、自分の高ぶった達成感を一気に笑って吹き飛ばしてしまった。
いつだって月はどんな夜も静かで優しく黙っていたけれど。今夜だけは、月の輝きが大笑いしているように見えた。興奮して、自惚れだ。脱力。傲慢はノーサンキュー。皆への感謝と、ただただ集中できたのだ。それが全て。

ご来店いただいた皆様、いつもありがとうございます。ほんとに皆優しいね。
ひとなつのスタッフとよい思い出が作れて何より楽しかった。

ぱやの美しい焼き鯖リエット

・7月も終わりが見えてきた。今月は奄美への思い入れ日記となった。
7月は奄美、ひとなつ、バンド周年、AJICO。そうAJICO〜ツアーファイナル。恵比寿リキッドルーム。水曜日、まさかのなないも偶然におやすみだった。春に行った茅野の会場と異なりリキッドはかなり近距離で観られるはずと確信していた。こんなに短期間でまたAJICOを浴びることが出来る幸せ。ありがとうございます。
活動を続けてくださり、カナダからはるばる来てくださり、ありがとうございます。とにかく素晴らしいバンドには感謝しか湧き上がらない。お多幸。
ベンジーとUAというもう盆と正月、太陽と月、海と空くらい本来並んでいるのが奇跡なんじゃないかと思われる強い存在感の二人が一夜限りでもなくバンドとして活動してくれている、これ奇跡。頼むから解散しないでください、お願いしますと切実に思う。
ベーシストのTOKIEさん、ドラムス椎野さんこのお二人もカッコよすぎて、もう大変だ。
春夏秋冬が一気にステージから放たれるようなエネルギー。
純心に音楽ってカッコいいな。バンドいいな。どんなに受け入れてもらえなくても、誰にも聴いてもらえなくても、私もバンドでありたいな。だってこんなに素晴らしい気持ちになるんだもの。どんな形であれ、自分もバンドでありたい。と強く思った。
歌声や演奏から伝わってくる魂のパワーに、あんなにも自分の中にあるものを強く信じられるんだろうか、私もいつか信じてみたいと途方にくれた。

今宵もベンジーは誰も寄せ付けない流星のようで、UAは燃え上がるように熱い全てを包み込む満月のようだった。UAの歌声に耳を澄ますと見える景色は静かな夜の銀世界。それでいて魂は燃え上がっている。そんなイメージ。
UAがフロアまで降りてきて、脚立に乗って歌う「悲しみジョニー」では、もう、すぐそこ、目の前にUAいる、立っている、歌っているという手を伸ばせば触れられそうな所にいて、
瞳の美しさにさらに驚いた。ビー玉みたいなキラキラした瞳だった。暗闇で輝いた銀世界の狼の瞳にもみえた。美しくて、愛情が溢れ出ていた。言葉にする程に遠くなる感動、なのだけど、やっぱりそのような気持ちがずーっと身体中を巡っているので、ライブ中私はずーっと幸せ。つやつや、しっとり、ピカピカになりました。
バンドは観れる時にみておかなければ。
バンドとはそうゆう運命なんだから。
誰か一人でも抜ければ、バンドは生まれ変わる運命。同じメンバーでも同じ気持ちのまま留まることは出来ないから毎回、毎分、変化するのだと思う。
AJICO、また何年かおやすみするかなあ。強い魂の持ち主の集まりなのだもの。
音楽を、バンドを続けていくには色々な泥臭さが付きまとうのだろうけれど、素晴らしいバンドは続いてほしい。
メンバーが生きている限り。人間だもの、生きていれば些細なこと大概うんざりなことが沢山あっても、その生み出す音楽の尊さに勝るものは無し。と、乱暴に言う。
お願いします。またAJICOにまた会えますように。

色々と撒き散らしたけれど、素晴らしい音楽の時間をありがとうございました。これに尽きる。

神々の集まり

・AJICOのライブ後は恒例の「どんく」でラストオーダー滑り込み1杯と夕食。後にBARへ移動。ワインを何杯だ、忘れた。ライブ後の多幸感にお酒はもうスイスイ酔。終電も逃してタクシーで帰宅。奇跡的に化粧は落として寝たが、
翌日は酷い二日酔い。久しぶりにおまけがついてしまった。ベンジーが「朝までぶっ飛ばそうぜ」って意味合いのことをステージで放った。
ちゃんと翌日までぶっ飛ばしてしまった。
夜行く予定だったなないのお好み焼き営業にも行けず。一日中まともに起き上がることもなくひたすら寝た。

・週末。洗濯機の水漏れが治らない為ついに買い替え。もう10年以上使っている。ご苦労様でした、ありがとう。約束の新しい洗濯機が届いたがどうやら原因は別。蛇口のホース部分であるのが判明。洗濯機自体もかなり古かったのでこの機会にでよかったのだけれど、せっかく買い替えてもすぐに使用できず、なんともはや。月の終わりは年末調整ならぬ月末運気調整に入っているな。前半のイベント事全て滞りなく終えたのだ、ここらあたりで運気調整。
プラマイゼロ。身軽に生きて。好調持ったままも足らないままも続かない。全て無になるようにできている。
土曜日はパリオリンピック開催、フジロックライブ配信、またそれらにまつわるSNSをいったりきたり入ったり出たりゴロゴロだらだらして何もしない。チカラのない一日だった。肉も魚もないけれど外には出る元気がわかず、野菜とワインでどうにかなる。野菜があればなんでもいいのよね。パリオリンピック開会式、メタルバンドにファイヤー演出みると全部MADMAXにみえてしまう病かもしれない。
パリもフジも無縁の人生ですが、Netflixで観た映画『ミナリ』がとてもよかった。信頼の「A24」印。行くつもりだった『ルックバック』はまたまた延期。ダラダラしたわりに夜更かし。もう寝よう。

感想、紅生姜はいらん!

・日曜日は渋谷HOMEへライブを観にいく。
(the)beds、The Cheserasera、関谷謙太郎&Octoberの3マン。渋谷屋根裏の時からの仲の良い面子。ケセラは久しぶりにメンバーに会えた、とても良い意味で変わらない。歌もバンドも人懐っこさはさらに熟しており、宍戸くんは出会った頃が20代前半くらいで、私からみるとずーっとそのイメージ、感覚のまま接してしまうが、すっかりしっかりもうバンドの経験値など大先輩になられており、凄いなあと思った。出会った頃から歌も抜群に上手いし色気があり、ギターも上手い。皆どんどん良くなるなあ。ライブ楽しそう。関谷謙太郎&Octoberも毎回ライブ過去一番いいを更新し続けており、
レコーディング後のライブはバンドも個々も仕上がっており、一番よい。キーボードでギタリストのフカクシくんがOctoberでついに開花したような、そんな気がした。もともとドンガンボンで最高に満開なフカクシくんを観ているので、フカクシくんが咲きまわるのがOctoberをさらに色づけるんだなと思った。もともと全員名プレイヤーの集まりだもの。どんどんいいな。羨ましい。私も気持ちよいライブしたいな。(the)bedsも久々。このバンドは見るたびに知らない曲、新曲がある、ありまくる。何なんだ。やり込んだくらい新曲とよぶにはもうみっちり演奏してきたかのような仕上がりで。HOMEはもうホントの意味で家くらい演奏も馴染み、勢いがあるのに力も抜けていていていいな。気持ちよさそう。ライブ楽しいだろうな。
羨ましい。私もライブしたいな。と、いいライブみたら余計にライブしたいと感染して帰るのだけど、この日は懐かしいメンバーも集まっていたので結局深夜まで飲んでしまった。明日が月曜日とは信じがたい。
自分もバンドしているからこそ、他のバンドとかライブの感想って言うほどに無知の披露と、おこがましさの大公開になってオマエ誰、偉そうにと我思うのだが、感じたままをの、日記で、すみませんよろしくお願いします。

フジタロックロール、略してフジロック

・月曜日。木造アパートは燃え上がる暑さ。
アパート自体がサウナに入っている、そのサウナハウスの中にさらにサウナのようなもんもんの熱の中に私がいる。ほぼ水分でできている私の体も茹であがっているのか、暑さでダルダルで日中めちゃくちゃに眠たい。単に夜更かしの飲酒が原因なんだろうけど。ねむーい一日をようやく終えた。食欲もあるのかないのか、口にしたいと思うのは薬味ばかり。葱、しょうが、茗荷、大葉、カイワレ。薬味くいたさに鰹を買い、絹豆腐を買い、白ワインを冷やす。
晩酌を終えNetflixで何か映画をと選んだのは
1986年の作品『クロスロード』一時期ハマりまくったドラマ『コブラ会』のダニエルさんじゃないか。むしろ『ベスト・キッド』時代のダニエル・ラルーソーじゃないか。知らなかったこんな作品。しかもブルース主題の物語。
見始めた時はその展開の速さにYouTubeかよ!
TikTok並!とツッコミを入れつつも、伝説のブルースマンのハープ演奏やセリフの良さに割と真面目に二人の旅の物語に付き合ってしまう。が、やはり展開の唐突さや、全く苦労を感じぬまま伝説を突き進んでいく主人公にだんだん笑けてきてしまい、作品をみる姿勢がすっかりゆるんでしまった。この時代の流行りか、特色なのかもしれない。んなわけあるんかーいな展開。見始めはブルースを主題にしたロードムービーかと思いきや、最終的にはメタルバンドのギタリストみたいな敵と主人公ユジーンのギター速弾き対決で、ブルースマンの悪魔に売った魂を取り戻すという、え、ブルースどこに置いてきたんじゃ!という途中から漫⭐︎画太郎が原作なんじゃかいかなと思うほど、なんか全員の顔が画太郎先生の絵に見えてきて余計に笑ってしまうという、今の映画ではなかなか出来ない体験に結果的にオモロ、観てよかったー!ある意味なんか伝説やろこれはと思った。ブルースならシカゴへ行け、というわけでシカゴ・ブルズはブルースとは無関係なのですか。ブルズは牛かモゥ。

鰹のなめろう

・Netflix『パドルトン』観る。何も考えぬまま選んだら名作だった。絵本のかえるくんとがまくん「ふたりはともだち」のような、見ているだけで微笑ましい仲良しな二人の中年男性の物語。それは目にみえないくらいささやかな気遣いと思いやりを接着剤にしたような"隣人"関係。同僚でも友達でも恋人でも家族でもなく頑なに「隣人」と呼び合う二人に、これまでの人間関係や、社会との付き合い方が透けてみえるようで「世間話が苦手」というセリフからもうかがえる。他人からの愛情に対して不器用でどこか潔癖さもあり、観ていると他人事には思えず何だか二人が愛しくなってしまった。
そんな二人がみつけた心地よい関係。ラストまで心地よく、素晴らしかった。よい映画と出会えた。

私はおじさん二人がいちゃいちゃしているのが好きなのかもしれない。や、おばさんがいちゃいちゃしているのもよいか、人と人が好きあっているのを眺めるのが好きなのか。
好きな夫婦がいる。どちらか一人というよりは二人セットが好き、という私の中の理想カップルは何組かある。セットで好き。好きと好きが付き合っている、とか、推しと推しが夫婦だったパターンはこれまでもあった。
仲良したちが嬉しそうに仲良くしている空間は癒される。芸人さんだったらさまぁ〜ずのいちゃいちゃや、東京ポッド許可局の御三方の会話、奇奇怪怪の隣の席の男子達のような戯れも、タモリさんと赤塚不二夫先生の信頼関係だったり。家族でも恋愛でもない特別な関係に尊さや憧れがあるのかもしれない。バンドをしていて若い時は私もメンバーと同じように男だったらよかったと思うことが度々あった。理由は様々だけど、女性ボーカル、紅一点といった呪いがキツイ時期があり、過剰に意識して苦しかったのだと今なら分かる。
いつだって性別や年齢や身分に囚われずに解放されたところで好きなように好きなだけ遊んでいたい。

2024年の7月が終わりました。
お付き合いいただきありがとうございました。

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