【1ヶ月書く日記】メテオストライク【14日目】
かつては中古車に乗っていたのだが色々あり、売り払った今は自転車を移動手段としている。
しかも市のレンタルサイクルを利用しているので、格安で隣の町に行ける。コストパフォーマンスは高い。利用の更新手続きも、専用の発行機にカードを差し込んで料金を払うだけなので簡単だ。
自前の自転車を購入しても良いが、修理代の問題や盗難の恐れなどを考えると、レンタルサイクルは大いに意味のある選択肢だと思う。
ただ問題として、タイヤのパンクなどといった自転車に不備があった時、返却する場所まで自分で持って行く必要がある。中々大変だ。やむを得ない事情があるのなら別だが、市の職員の方にわざわざ回収してもらう訳にもいけない。
何が言いたいのかという話だが――自転車のカギをすっかり無くしてしまったというわけだ。
色々思案を巡らせた結果、数キロ先にある返却場所まで自力で持って行くことに決めた。しかしながら重い。普通に乗る分には感じないというのに、鍵のかかった前輪側を持ちあげて後輪側を転がして持って行くというのは至難の業だ。重すぎる。
しかし次第にコツを掴み始め、スムーズに運べるようになってきた。軽い。そこまで苦痛ではない。いや、持てる。
力がみるみる湧き出てくる。
両腕で自転車全体を持ちあげられるぞ!!
「うおおおおおおおおおおお!!」
雄たけびを上げると、車輪の付いた鉄の塊を頭上に掲げた。
冷たい空気と月光に包まれて、俺は無人の住宅街を堂々と練り歩く。迷いはない。
徐々に歩く速度を上げ、ついには豹と見紛う程のスピードで走りだすと、そのまま都会の闇夜へと消えて行った……
……まあそんなこともなく。筋肉痛寸前の状態になりながらもノロノロと自転車を転がし、1時間半かけて目的地まで到着した。何とか事務所も開いていたので無事に鍵を交換してもらうことが出来た。手数料として1000円支払った。二重の意味で手痛い結果だと言える。手も痛いし、両腕もパンパン。ゆっくり休みたい。