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【1ヶ月書く日記】必殺剣~狼闘~【20日目】

 日記を書き始めて3週間近く経った。


 思ったほど、日記の習慣化が出来ていることに驚く。やらない日を作っても良かったのだが、自分は思ったよりも自己を表面化する行為に飢えてたのだろうか。


 生活を繋ぐための労働と少ない余暇を繰り返す毎日の中で、自身の足跡をわずかでも残したいと願っていたのだろうか。無意識のうちに。


 抱えたくもない心身の疲れを抱えたまま職場を抜け出し、月夜の下を歩く時、俺はいつも1人だ。


 町先のガラスに映る自分の姿を横目で見ると、痩せた野犬が歩くようだと錯覚する。傷んだ毛先の長い尻尾を緩やかに振りながら、渇いた土の上でよろめき進む。


 土は、時に古ぼけたアスファルトの上だったり、水溜まりと水溜まりの間だったり、酔った誰かの吐瀉物の脇だったりする。道は常に同じ状態じゃなくて、後ろに残る足跡もまた常に変わっていく。


 視界に捉えなければすぐに消え失せるが、見いだせばしばらくそこに残り続ける足跡。その軌道を忘れることなく、また明日も白い電子の紙へとしたためるだろう。