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【1ヶ月書く日記】飲み干した缶コーヒーはよく傾ける【17日目】
「アンタ。また性懲りもなくやってるね」
隣で彼女がささやく。
カバンからビタビタと濁った水滴が垂れている。
白と黒のチェックの床に点々と、泥のような汚れが付着していく。
「全部飲んだんならさっさと捨てなさいよ」
隣で彼女がつぶやく。
細長いポケットから缶をつまみだすと黙ってゴミ箱に捨てる。
「ほら、また置きっぱなしにしてる」
隣で彼女が独りごちる。
座椅子に座り、両足を思い切り伸ばす。
無造作に机の脇に放置していたレットブルの缶を倒してしまう。
「そんなに間違ったことばかりしたい?」
隣で彼女が呆れている。
中身は空っぽだ。まだよかった。
缶とペットボトルの中身をよく洗う。
ゴミ袋の口をしっかりと結ぶ。
そして、部屋の隅に置き忘れたまま外へ出てしまう。
「本当にアンタは変わらない人だよ」
隣で彼女がクスリと笑う。
またやってしまった。
同じことの繰り返し。
「でも、そんなアンタのこと………」
隣に彼女はいない。
「POWER OFF」
モニターの電源が切れた。
何かがたたきつけられたような大きな物音。
外にいる誰かが車のドアを勢いよく閉めた音で、仮眠から目を覚ます。
もう夜中なんだがな。
そう思いつつ、怠慢な動きでゆっくりとトイレへと向かう。
今夜も冷える。