【1ヶ月書く日記】さんせいう【10日目】

　雨は嫌いだ。

　自転車に乗って通勤出来なくなるから嫌だ。小雨でもカバンが濡れるから好きじゃない。大丈夫だと思って走り始めた時に限って雨脚が強くなるからやめてほしい。

　傘を差していてもスニーカーが水浸しになるから雨は降ってほしくない。雨水に濡れた靴下を履き替えるのは面倒くさすぎる。閉じたビニール傘を回して水滴をはじく行為が馬鹿馬鹿しい。

　雨が降る前に漂う、水と土が混ざったような、あの空気の匂いにはウンザリする。車のタイヤが水溜まりに突っ込んだ時に聞こえる、ジャバジャバとした音は不愉快だ。窓ガラスにポツポツと打ち付ける水滴の張りつく様なんて見たくない。

　雨が嫌いだ。

　雨なんて見たくない。どこか自分の知らない遠くの土地で降っていてほしい。

　雨があがった翌朝。

　雲の隙間から見える透き通った青空。

　嫌いじゃない。