下垂体腫瘍 脳神経クリニック受診

眼科受診の翌日は土曜、紹介された脳神経クリニックのサイトを確認すると当日の予約枠は既に埋まってます。
しかしもうなんの病気だか気になって気になって首が5センチくらい前に伸びそうなので、ダメ元でクリニックに電話をかけてみると最後の枠にねじ込んでもらえることに。

はじめて足を踏み入れる脳神経クリニックは、いかにも今どきのクリニックという感じで思いのほかオシャレな癒し空間。
しかしそのオシャレ空間にみっちりと人が詰まっています。
脳神経を病んでいる人がこの世の中にはこんなにも……。
初診受付を済ませ、座る場所もなく立ち尽くしていると、休憩に向かう風のスタッフさんがわざわざ椅子を出してくれました。接遇の心……。

気がはやりすぎて受診したものの、さすがに当日は問診だけで検査はまた後日かな……と思いつつ待っていると、なんと即日MRIを撮ってもらえるとのこと。
何の心の準備もないまま人生初MRIです。

すごい音がする狭い機械の中に閉じ込められる怖い検査と聞いていましたが、想像してたよりずっと広いしなんか癒し映像とヒーリングミュージックが流れる配慮のすごいMRIでした。

癒し映像

どちらかというと頭を動かしてはいけないというプレッシャーのほうが辛かった。
ただヘッドフォンをつけた状態でも相当すごい音がしたので、まあ音はすごいんでしょうね。すごい。語彙。

MRIは何事もなく終了。
脳腫瘍とかだったらやだな〜開頭手術とか怖すぎ死ぬなんてことを暗い顔で考えていると、突然目の前に白衣の男性がシュッと走り込んできました。
あれ?ここの先生かな?とポカンとしていると、

「溶けきのこさん、追加で血液検査が必要な所見があったので検査させていただきますね」

神妙な顔で早口に言うとまたシュッと診察室に消えていきました。

追加?検査?所見……??
あれ?わたし死ぬの?????

さまざまな思いが脳内を駆け巡りつつ、重度のインターネッツ中毒患者である私は即座にまたスマホで検索です。
助けてGoogle先生!

視野に異常が出る脳神経の病気……視神経炎、脳腫瘍、下垂体腫瘍、なんだかもう病名だけでおそろしげなものが掘れば掘るほど出てきます。

どれだ……?私の病気は……

何ひとつ見逃すまいと両目ガン開きでスマホを睨みつけていたら、受付からふとカジュアルな話し声が。

「眼科から紹介の患者さん、下垂体腫瘍だって」


あ、そうなんだ……?

エッジの効いた告知スタイルに一瞬たじろぎましたが、気持ちを立て直してまた検索です。

下垂体腫瘍とは…

脳の下の下垂体というホルモンを出す器官にできる、基本的には良性の腫瘍。
大抵の場合、時間をかけてゆっくり大きくなり、視神経を圧迫することで視野や視力が障害される。
ホルモンを出す腫瘍と出さない腫瘍がある。
下垂体の機能自体が低下することも。

ざっくりこんな感じ?
追加の血液検査はおそらくホルモン値を確認するためのものですかね……。

下垂体付近にできる腫瘍は何種類かあるようですが、代表的なものは下垂体腺腫というものみたい。(※その後、大学病院の先生から下垂体腺腫は少し古い呼び方と教わりました)

コンプラ意識の低い受付嬢のおかげで十分な予備知識を付け、満を持して診察に臨むことができました。

先生「下垂体ってわかります?」
私「はい…(インターネッツで)」

予習はバッチリ状態でMRIの画像を見ながら説明を受けます。

「こにあるのが下垂体で、小さなホルモンを出す器官です。通常の大きさは8ミリくらいですが、溶けきのこさんの画像を見ると2倍、3倍くらいに大きくなっています。これが下垂体の腫瘍です。で、その上に見えるのが視神経なんですが、通常ならここよりもっと下の位置にあるものが、腫瘍に押し上げられてアップアップしてるんですね。目の見えにくさの原因はおそらくこれでしょう」

アップアップ……なるほどですね。

「この状態になるともう手術しかありません。頭の手術ですが、下垂体はちょうど頭の真ん中にあるので、頭を開けるのではなく鼻から手術します。非常に安全な手術で、腫瘍も命に関わるようなものではないので、怖がらなくても大丈夫です。
ただ、手術は早いほうがいいでしょう。1ヶ月先とかだとちょっと遅い。今日大学病院への紹介状を作成しますが、出来上がる前にもう外来の予約を取ってください。必ず脳神経外科の〇〇教授を指名してくださいね」

えっそんなスピード感のある話…???
しかも大学病院の教授を指名?一介の主婦にそんなことが……?????

「溶けきのこさんは目の状態がいいので、早く手術すれば回復も早いです。右目の見え方が……というお話ですが、詳しく検査したらおそらく左目の視野も欠けていると思いますよ」

中央で交差してる両目の視神経が圧迫されて、両目耳側の視野が欠けてくるのが下垂体腫瘍による視野異常の特徴だそうです。
わかりやすく模型を使って説明してくれました。
追加の血液検査は、やはり腫瘍がホルモンを出すものかどうかを確認するためのものとのこと。

説明はとてもわかりやすく、ゆっくりとこちらの目を見て話してくれる先生で、ただならぬ安心感があります。
この先生が紹介してくれる先生ならきっと大丈夫だろうと、妙に確固たる安心を得て帰途につきました。
頭に腫瘍あるんですけどね。

ところでこの日は地元の友人たちと10年以上ぶりに飲む約束があり、予定通り飲みに出かけました。
キャンセルしても腫瘍がなくなるわけじゃないですし……。
ひさしぶりに夜中まで楽しく飲みました。

でもやっぱり後から「脳神経外科に行くことになったから30分待ち合わせ遅らせていい??って何事かと思った。普通キャンセルじゃない?」とは言われましたね。

酒がッ……飲みたかったんだッ………!


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