『蛇足』プレイ感想

【ブランド】Waffle
【原画】さくやついたち
【シナリオ】桜庭丸男
【プレイ時間】約11時間

公式HP(※R18グロ注意):http://www.waffle1999.com/game/91dasoku/

ストーリー(ネタバレ超注意)

とある孤島にやってきた若者たち。
ひとしきりバカンスを楽しんだ後、星を見るために島にある展望台へ向かう。
展望台から星空に感動しながら、彼らは眠るまで語り合う。
やがて辺りは静まり返り・・・
そこにあったのは首を吊って死んだ5人の姿
これが『蛇足』という物語の「シシャ」の「シシャ」による「シシャ」のための物語の始まりにして終わり
(公式HPより)

同シナリオライターの前作である『駄作』の流れを汲む新作……ということで『駄作』プレイ後、間を置かずに速攻プレイした本作。
「閉鎖空間」「サイコホラー」を愛するエロゲーマーとして一番大事なのが、緊迫感とカタルシス。
その点、本作は、押し寄せる突然の展開に、訳が分からないまま手探りでストーリーを進めていく緊迫感と、段々と登場人物や世界の謎が解けていくカタルシスが、非常に高水準で描かれていました。
各ルートクリア後に、タイトル画面の各キャラ「プロフィール」欄が埋まったり書き換えられていくところとか、ドンピシャで超好み。

緊迫感とカタルシス、途中までは凄かったんです。
各ルートで彼女らの「性愛」(いわゆる性癖)が明るみに出て、主人公が自身の性愛に悩みながらも、彼女たちをそれぞれの方法で救っていく《ギャルゲー展開》部分、そしてメイン4人の攻略後に開放される「皇」ルートはグランドエンドとして素直に面白かった。
「皇」ルートで4人と一人ずつお清めセックスしていく辺りはちょっとご都合感もあり、ラストは少々チープな感動展開にはなっていたけれども、それでも、主人公と皇が幸せになってよかったなと。
数々のデッドエンドを越えて、誰も死なずに迎える(いや、誰もは嘘だ。EDの墓石SHOTにはマジで呆然とした)ハッピーエンドはやはり良いものだなと。
そんな感慨深い気持ちになりながらタイトル画面に戻って、え?何これ?と。

・・・いや、まさか、そういったタイプのオチだとは。

タイトルが『蛇足』の時点で、更には『駄作』のライターさんって時点で、ある程度気付けたはずですよね。うん。
・・・と、プレイして一夜の時点では、ミルキやアニマ、萌、咎、更には我が最愛の皇と一緒にいた時間が長かったので、その子たちの物語が絵空事であったショックがだいぶ大きく引きずっていたのですが、二夜過ぎて冷静になった頃には、色々見えてくることがありました。

『蛇足』というタイトルの回収をこれ以上ないくらいに仕上げてくれたのは本当に何というか・・・・・・・してやられた!!!!!
「皇」ルートのラスト、一応現実に則ったシナリオだと信じてプレイしていたので、触手が出てくる時点でおかしいなとは思っていたんですよ。そりゃ映画なら何でも有りですわ。
ミルキ達の声をあてている「声優名」の表記が「ボイス」でも「CV」でもなく「キャスト」の表記にされていたところとか、本当に気付かなかった。
・・・いつもならここでキャラごとの感想を述べるゾーンに移るのですが、『蛇足』の物語の構造上、ヒロイン達が公式で非現実存在だったことを鑑みると、感想自体どうしたらいいのやらと。
でも、一応、リアルタイムで思ってたことを備忘として記しておくという意味で、投下しておきますね。
以下、グレーアウト部分が初回の感想、それ以外がツッコミというていでお送りします。

初回ルート

初回虐殺ルートクリア!こっっっわい!!!
強化されてる演出のおかげでホラー感がとても強い。
ろくに世界観や前提条件の説明もないまま始まって、即閉鎖空間、即皆殺しって…駄作の初回ルートに相当するスピーディーさ。
うーん、ミルキが明らかに好みなんだよなぁ…。
由貴の名前が出てきてテンション爆上がり。
由貴…『蛇足』の世界ではどんな立ち位置なんだ…?
ミルキが『由貴ちゃん』呼びなのも気になる。
しかも菜々ヶ木の苗字も出てきたぞ!?大量殺人鬼的な立ち位置?
アリスちゃんの親族?まさか子供???
『駄作』の流れを汲む…どころかゴリゴリに同一世界ですか!?!?
初回ルートのテキストのバグ?がバグなのか意図することなのかわからなくて怖い。深夜のプレイはなかなか背筋が凍る。

今思い返すとまさにライターさんの思惑通りな感想ですねコレ…。
ミルキが好みなのは変わらないけれども。
初回ルートは凄かったですね。暴力とグロのオンパレード。寧ろ初回ルート以外は結構純愛というか、エロもグロも同意の上なので悲壮感がなかった。
初回はまさに「わけがわからないが凄いものを見させられているぜ」という状態。
『駄作』の流れを汲む…「汲む」とは…?『蛇足』の世界では『駄作』はどういう立ち位置だったんだろうなぁ。

まさか咎がカナちゃんだったとは…。駄作から間髪入れずにプレイ出来て心底よかった。数年経つとプレイしたゲームの内容忘れることが多々あるので…(健忘症か?)
逃げ癖が性癖になるなんてことがあるんですね、フィジャフィリアなんて単語、初めて知ったよ…。
この感じだとヒロインごとに隠れた異常性癖があるんだろうなぁ。
結果、咎はそまりを見捨てたカナちゃんだった…というわけでしたが、彼女の性癖が特殊すぎて共感は全くできなかったですね…主に自慰のくだりとか。いや、共感を求めるシナリオではないから良いんだけれども。
私が以前気にしていた「そまりはどうやって男たちから逃げられたのか?」がわかってよかった。
ただ私が知っている『駄作』の世界線上のカナちゃんかどうかと言われると、経てして謎。主人公含むヒロインは一体どういう集団なんだろう。
閉鎖空間に追い込まれた登場人物たちの生き死にを楽しんでいる、もしくは傍観している『観測者』がいることは何となくわかるんですが、まだまだ物語の謎が多すぎるので冷静な感想は書けないですね…。
このわけがわからないまま、手探りで物語を進めていくこの感じ・・・・・・めちゃくちゃ好き。

めちゃくちゃ好き(血涙)
カナちゃんは何をもって「カナちゃん」として登場したんだろうか。『蛇足』の世界では『駄作』は監督の撮った映画だったとか…?

『蛇足』萌ルート完了…か?咎と違ってスプラッターエンドだった。
全ヒロイン本名が別にあるパターンですね…?
そして萌ルートで突然明かされる、この集まりの目的。自殺の旅…そうだったのか。
萌…ではなくエルスの隠し持っていた難儀すぎる性癖、ファロフィリア…また新しい単語を覚えてしまった。しかも行き着く先がスカル。
エルスのエロシーンは淫語が凄まじくて、頭のネジがぶっ飛んでいないと到底書けないテキストだなと感心しながら読み進めてしまいました。
頭のネジぶっ飛びセリフと言えば、『駄作』でも一際存在感を放っていた「鬼畜お嬢様言葉」ですが、『蛇足』でも見られてよかったです。
萌のことをSTKしていた彼女は、今後の話に関係してくるのだろうか。

全然関係ありませんでしたね、STK女…。
キャラ名はHNで実際の本名があって、更にはそれを演じている女優の名前もあるという多重構造は本当に良く出来ている・・・

アニマ

『蛇足』アニマルートクリア。
コプロラリア…また新しい単語を知った。萌や咎と違い、特殊性癖が直接の自殺願望の原因ではなく、最後は生きようとまでしてくれたのにあの仕打ち。来るぞ来るぞとは思いつつも、いざ来るとショック。
アニマ…もとい美希緒は幼くして両親を事故で亡くしたものの、莫大な遺産を手に入れ、JS(多分)にしてこれから一生困らないほどの富を手に入れた…と。
突然の両親の死で無気力になって引きこもってしまうのは至極当然なことであり、たとえ親族であってもその心に空いた穴を埋めることは不可能だったのだろう…と思うと、とにかく不憫。
ドラコはまぁ腹話術だろうなとは思っていたけど、そう考えると諸々、めちゃくちゃ器用。最後のエロシーンとか大忙しじゃないか。
ラストの灰樹由貴…は『駄作』とは関係ない気がしてきた。長い体躯に仮面、しかも除いているのは紫髪。
一体これからどうなってしまうのか…ミルキルートも非常に楽しみです。

アニマって実年齢いくつなの?とか、角どうなってるの?とか、ドラコ腹話術にしては自由だなとか思っていたけれど、実際映画内の出来事となると全部解決できますね・・・。

ミルキ

『蛇足』ミルキルートクリア。
オートアサシノフィリア………難儀だな…。
髪ピンクだし正ヒロインだし、好みど真ん中!と思いながらプレイしていたけど、意外にも口が悪かったりして、主人公曰く「ラスボス的な威圧感」には超納得。
希求型N細胞白血病…。
(恐らく)ドンピシャの病名は現実にはないものの、所謂「不治の病」なミルキ…もとい姫亞。姫亞って名前良いですよね。
泣きゲーのメソッドで描かれるシナリオ、とは言え、舞台と本人らの性愛が特殊すぎてただただ彼らの行く末を追うのに精いっぱいなまま読了。
まだまだ主人公側の謎が解き明かされていないので、どんどん進めていきたい所存です。

ミルキ可愛かったなぁ。独特な喋り方というか、ヒロインらしからぬ砕けた口調が、桜庭丸男感があってとても良かったです。何度も言いますが、皇ルートで墓石出てきたときは目を疑ったしショッキングでしたね。。。それ以上のショッキングが待ち構えているとは思わなかったけれども。

満を持して開放された皇ルート、夢中で読み進める中、終盤に突然の触手が出てきておやおや?????なぜここにきて突然ファンタジー展開が???と思いつつ読み進め、エンドロールでみんなが生きてそれぞれの道を歩んでいる姿を見てじんわりきていたら(ミルキの墓石で絶句したけれども)タイトル画面に突如現れた「蛇足ルート」の文字。
恐る恐るクリックして読み進めてみたら………
え?そういうこと???マジで???
だから突然触手が出てきたってこと???????え???????????
キャラそれぞれのキャストって声優のことじゃなくて、キャラを演じてた女優の名前だったってこと?????
「蛇足ルート」入る前の注釈「本編の印象が大きく変わる恐れがあります」ってことは、どう足掻いてもミルキ達は、皇は、創作物だったってことか…そうか………

この虚無感、うみねこのラストくらいガツンときましたね。
このオチをやってのけるのは流石「駄作」のライターさんだし、PCゲーでしか出来ない伏線の張り方と落とし方は非常に上手い仕掛けだなとは思うのですが…

皇を愛した私の心の持って行き場所が…

いや、皇めちゃくちゃ可愛いんですよ…妹キャラでこんなに推せる子は初めてで…。後天的に「近親性愛」を付与されて、後天的に195㎝という体躯にさせられて、それでも尚お兄ちゃんを守るために身体はってくれて、本当に可愛いんですよ…
※ただその背の高さがCGから読み取れなかったのと、エロシーンも案外普通だったのが残念といえば残念
そんな可愛い皇が想像上の人物だったとか…思い出してきたらまたじわじわメンブレしてきました。

雑感

非常に評価が難しい作品でしたね…。
グロ・スリラー・サスペンス、どんでん返し、メタが好きで、数日引きずるタイプのシナリオが好きなら特攻すべし、ですが、明らかにネタバレ厳禁なシナリオだし、初回ルートが暴力とグロが多すぎて、気軽に人へ薦められないジレンマ。
私は皇がとにかく好きなので、作品自体を手放しで大好きとは言えませんが、実は、こういったモヤモヤ整理の付かない感情こそが、私がシナリオゲーに求めているものなので、そういった意味では『蛇足』プレイはめちゃくちゃ良い経験になりました。
桜庭丸男先生の名前、しかと心に刻み込んだぞ…。

では、また次回のプレイ感想で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?