見出し画像

大きな木とスミレちゃん (2)

翌日の放課後

マヤは、いつものように公園に向かっていました。

公園に到着。木の下には、丸い影ができあがり、相変わらず心地がいい雰囲気がありました。

スミレちゃん、今日も会えるかなぁ・・・。

どうやら、スミレちゃんは、まだのようです。マヤは、スミレちゃんのことが気になっていました。

マヤ:「ふぅー。気持ちいい!」

木の下の木陰に座り、本を開きました。いつの間にか本に夢中になり、スミレちゃんのことが気にならなくなっていました。

スミレちゃん: 「やっぱり、いたぁ!!!」

マヤ:「スミレちゃん!いつの間に!?!?」

スミレちゃん: 「さっきから見えてたよ♪」

マヤ:「さっきからって、どのくらい??」

スミレちゃん: 「ところで、マヤちゃんは学校の帰り?」
マヤ:「そう。毎日、学校の帰りに寄るんだ。ゆっくり本を読みたくて。スミレちゃんは?」
スミレちゃん:「私は、マヤちゃんが到着したら降りてくるの」
マヤ:「降りてくる???」

スミレちゃんはイヒヒと笑い、うなずきました。

マヤは不思議でしたが、横に座って、すでにモクモクと何か縫物を始めたスミレちゃんとの居心地の良さで、すっかり気にならなくなっていました。

マヤ:「あっ!!時間だいぶ過ぎちゃった!!!帰らなきゃ!またね、スミレちゃん!」
スミレちゃん:「またねー!」

こんな日々が約3カ月続きました。ただ、特に何かを話すわけでもなく、一緒に座って互いに違うことをする。ただ、それだけの時間です。ただし、雨の日以外は。

3カ月たったある日。

マヤ:「スミレちゃん!もう、いたんだね!」

いつもはマヤが到着した後にやってくるスミレちゃんが、すでにいたのです。

スミレちゃん:「ずっと雨が続いてたから、なんだか、すっごく会いたくなって。」
マヤ:「3日も雨が続いてたんだもん。私も早く木の下で本を読みたいなぁって思ってたの。」
スミレちゃん:「これ・・・。」
スミレちゃんが何かを差し出しました。
マヤ:「これ、スミレちゃんが一生懸命作ってたワンピース!」
スミレちゃん:「そう!お揃いなんだ!」
マヤ:「嬉しい!・・・けど、いいの??」
スミレちゃん:「もちろん!お友達になった証だよ。」
マヤ:「私、きっと学校では、おとなしすぎて変な子って思われてると思うの。それか、誰とも遊びたがらなくて、お友達なんていらない子って・・・。
スミレちゃん:「そう?私は、マヤちゃんと一緒にいるの好きだったよ。静かだし、自分の好きなことできるし。私が横で笛を吹いてたって、気にしないで本を読んでるんだもん!同じ木の下で一緒に座っているだけだけど、一人じゃないの!」

3カ月以上、時間を一緒に過ごしてきて、初めての長い会話でした。
スミレちゃんは、お洋服を自分で作ること。だから簡単に作れるワンピースばかり着けていること。笛を吹くのが好きなこと。スミレちゃんには、あまりお友達がいないこと。その理由は、マヤと同じだったこと。
色々と話しているうちに、気づくと帰る時間です。

マヤ:「きゃー!時間過ぎちゃった!こんなに楽しかったおしゃべりなんて、初めて!」
スミレちゃん:「私も。すっごく楽しかった。また、こんな風に話せるかなぁ・・・」
マヤ:「何言ってんのよ。いつだってできるよ!お友達だもん。私、明日はもらったワンピース着けてくるね。明日は、お揃いだよ!」

スミレちゃんは、ニコっと笑いました。

マヤ:「また、明日ね!」

スミレちゃんは、笑顔でいつものようにてを振りました。

*********
家に到着。
マヤ:「お母さん!見て!スミレちゃんが作ってくれたワンピース!」
お母さん:「すっごい、器用な子ね!」
マヤ:「明日は、お揃いなんだ♪」
お母さん:「一度、遊びに連れていらっしゃい。」
マヤ:「うん!!そうする!きっと喜んでくれると思う!」

次回に続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?