電子書籍には2種類ある(嘘だけど)

一つは、まず紙の書籍があって、デジタル機器の画面上でそれと同じ見た目を忠実に再現したもの。
もう一つは、本の構成が紙の書籍と同じである必要がないもの。
これらは両極端であって、どちらの性質も併せ持つ中間的なものが連続的に存在している。
なので、タイトルの「2種類ある」は狙って付けた嘘のタイトルである。(^^)

たとえばストーリーものの漫画や、絵本をストーリーを追って読むのは前者であると思う。
ページをめくったところにオチがあったり、子どもをビックリさせる展開があったり、というような作品を、めくる前から次のページが隣に表示されるようなビューワーで読んだらガッカリしてしまう。

後者の典型例は百科事典や辞書である。五十音順などの辞書順で並んでいることでさえ単に検索性向上目的であってそれ自体には意味はない。全く逆順に「ん」から「あ」へ並んでいる辞書や電話帳があっても、それと知っていれば誰も困らない。
また、電話帳のページをそのまま画像にして画面で眺めたいという需要はあまりないだろう。

同じ漫画であっても、4コマ漫画を集めた単行本だったら後者に近い。
文芸作品でも文章とページ構成が不可分な作りだったり、字体や段落の見た目に意味があるのであれば前者だが、ブラウザでブログを読むように好きな文字の大きさでスクロールして読むのでもかまわなければ後者に近いし、ショートショート作品集や歌集や句集の類だったらコンテンツの構造的にも後者に近い。

で、何を言いたいのかというと、世の中の商業サービスが提供する電子書籍のシステムは紙の本の見た目を画面に忠実に表示するものが多く、そういうシステムを必要としないコンテンツまでそのシステムに無理やり押し込んでしまってかえって読みにくくしてしまっているのではないか、ということ。
辞書や地図帳などの検索して使うためのコンテンツや、一問一答式の問題集などはすでに「電子書籍ではない形のデジタルコンテンツ」として商品提供されているものが多いと思う。
一般的な紙の本でも、これはこの見た目のまま電子書籍にしてしまうのではなく、ハイパーテキストで作って画面への再現はブラウザーに任せてしまうというような提供方法のほうが読みやすいのにな、というものが多いのだ。
その場合の問題は、海賊版を許さず、著作者に対価が正しく入る方法をどうやって確立するか、なのだよね。そこはまた全然別の話になってしまう。

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