【小説】エステル=リンドブラードは悪に染まるあとがき
【エステル=リンドブラードは悪に染まる】はいかがだったでしょうか。
養子や叙勲など、とある理由で貴族社会に急に参加することになった主人公。
異質な彼女は周囲の目を惹きつけ、主人公補正を振りまいて周囲の男どもを懐柔・虜にしていく。
いさめ、さとし、妨害しと手を変え品を変え、ちやほやされる彼女の暴走を止めようと踏ん張る上位貴族のご令嬢。
しかし最後には敵対する婚約者を様々な手段で追い落とし、ハッピーエンドを迎える主人公の無双を楽しむ乙女ゲーム(?)!
また、最近よく見かける悪役令嬢ものは、この追い落とされる『旧体制側』にフォーカスしたものになります。
その際は主人公への嫌がらせ(注意喚起)を暴露され、やった覚えのない濡れ衣まで着せられ絶体絶命。
周囲の理解はなく、何なら処刑台に一直線……といった場面で前世の記憶覚醒するものも多いですよね。
その窮地を脱する計画を瞬時に立てて逆転劇へ――!!
実に美しい流麗な流れ……いや、逆転劇ってホント面白いですよね。
といった風に熱く語ったわけですが、実は乙女ゲームやったことないんですよね。
ノベルゲームとでもいうべきかな。アトリエシリーズはハマったけれど……そっちはちょっと違いますよね。
ともあれ、そんなキャッキャウフフの恋愛サバイバルゲームを下地にこの話を考えました!
誰しも初めての環境に置かれれば、周囲から浮くのは当然です。
それを何とか調整して折り合いをつけていくものです。
けれど今作の主人公にはそんな時間はありません。
入学当初から色眼鏡で見られた彼女は偶然王子と出会ってしまい、何故かその一幕を報告されて学内最大派閥に目を付けられる。
居心地の悪い状況に追いやられている中でも王子からのフォローは何もない……。
ひどくない!?
とは思うものの、世の中起きないことはありません。
本当にそんなことに巻き込まれたとき、貴方はどんな風に切り抜けますか?
訴える? 周りはすべて貴族側。そして学園も中立を装った貴族の味方です。
群れる? それができれば苦労しませんよね。
逃げる? けれど次で上手くいく保証はありません。それ以前にもらったばかりの家格に傷がついてしまいます。
耐える? たしかに、最大派閥が相手では分が悪いですから一番まともかもしれませんね。
様々な選択肢が浮かぶ中、主人公エステル=リンドブラードは耐えて状況が変わってくれることを祈らない。
彼女は自身で取り巻く環境や状況を変える一番難しい選択肢を選ばせるのだ!
しかし体制側……つまり政府関係者に喧嘩を売って回ろうというお話になるわけです。
戦うにしても真正面から向かえば相手の思うつぼ。相手に手出しする理由を与えてしまうことになります。
それなら暗躍させるのはどうだろうか。それも悪役らしく華々しく散るのではなく、都市伝説的な動きをしてみるのはどうだろう?
そうそう、たしかに最初から最後まで笑っているのは常に悪すからね。正義の味方は何故かいつも怒ってるんですよ!
とあれやこれやを考えて、誕生したのがこのお話。
書いてて『これまとまるのかな?』と苦悩した時期もありました。
いくら都市伝説的な話にしたいからって壮大過ぎたらまとまらないし、規模が小さいと相手に丸見えです。
しかし、短いながらも好きな要素を詰め込んだので、何度読み返しても面白い。
下地に乙女ゲー使ってるくせに、作中で乙女ゲー要素がないのはもやしクオリティですけどね!
まだ読んでないぞ、というかたは是非ご照覧あれ!
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