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【インタビュー】脱コミのサムネイル画像は何を表している?作者のみうらさんに訊いてみた

 脱字コミュニケーションが現在使用しているオレンジ色のサムネイル画像ですが、こちらはもこみの高校時代の友人で、現在事業会社でUIデザイナーをしているみうらさんに依頼して作成してもらったものになります。


みうらさん(の犬)

 公開から半年以上1年近く経過していますが、改めてこの素敵なデザインをしてくださった三浦さんにインタビューを実施しました!番組の理想や方向性がプロセスにも表れたやり取りになったと思います。


インタビュー(聞き手:もこみ、編集構成:リサフランク、もこみ)

Q. 今回は素敵なサムネイル画像をデザインしてくださってありがとうございました。この依頼を引き受けていただく上で考えたこと、印象的だったことなどはありますか?

みうら:まず制作段階では、ロゴの依頼主であるしゅんちゃん(※もこみの高校時代のあだ名。以下「もこみ」)に、このロゴおよびポッドキャストへの想いを聞くところから始まりました。
中でも印象に残ったのは、以下の3点です。

①「脱字」という言葉は、コミュニケーションはそもそも不完全で完璧じゃないという考え方を示している。

②リスナーが「これ最近聴いてるんだよね」と人に見せたくなるような、「イケてる」アートワークにしたい。

③中学時代のもこみは同じくらいの熱量で音楽の話ができる人が周りにおらず、寂しい思いをしていた。もしそういう思いをしている人がいたら、自分と同じこと考えてる人がここにはいるんだと伝えたい。


そんなことを2022年11月に海老名の居酒屋で話しましたね。私は友人がこんな熱量を持って話してくれたこと、お仕事として依頼してくれたことが嬉しかったです。

Q. 三浦さんが引き受けてくださるということが決まって、その後、脱コミの二人とグラフィックイメージの擦り合わせを行いましたよね。その工程で気をつけた点を教えてください。

みうら:まずは画像の具体的な条件を整理しました。納品するのは正方形だけど、アイコン用に丸型でも使えるデザインにする、という条件もこの段階で決まりましたね。
リサフラ氏も含めた二人にPinterestでイメージに近い画像を集めてもらい、それを元に簡易的なムードボードを作ってみて、グラフィックの大枠のイメージについて擦り合わせました。
ここで二人から出た要望としては、

・フランク・オーシャン『channel ORANGE』のオレンジ色を入れたい
・ペアレンタル・アドバイザリーのオマージュも入れたい
・フォントはちょっと硬めでゆるすぎない感じ
・変な改行をして欲しい

などです。

これをやってもらったことで、「こういう印象にしたい!」という漠然とした要望が具体的になりました。
どんな色・レイアウト・フォントで構成されるのかについて共通認識が取れるので、"なんか違う!"などのズレが生まれにくくなったと思います。


Q. なるほど。確かにその後送ってくださったラフ案は
まさにわれわれが求めていた方向性のデザインになっていて驚きました。その制作の際にはどのようなことを意識していたのですか?

みうら:会話やムードボードからラフを組んでいきました。
もこみにお見せした3案は以下の通りです。

コメントとサムネ案はみうら氏、画像はもこみ作成
同上
同上

この段階ではあくまでビジュアルの候補を見せてるので、5割くらいの完成度で作成しました。それ見せて方向性を収束させること重視しました。


Q. おかげさまでとても良い形での擦り合わせができたと思います。その後のブラッシュアップについてはどういう風に進んでいきましたか?

みうら:二人に見てもらい、方向性を定めてもらったので、本格的に作り込んでいきました。具体的に「PARENTAL ADVISERY」を模したMONO消しゴムアイコンのビジュアルや、英題(編注:okmiscommunicationのこと)の意図を教えてもらえたのでめっちゃ助かりました!さすが。
信頼してるので好きなようにやって〜と言ってもらえて非常に嬉しかったし、いいもん作るぞ!と改めて思いましたね。

Q. 背景の「もにょもにょ」した形のロゴにはどのような意図が込められていますか?

みうら:「もにょもにょ」については、ラフ案つくったときにも思ってたんだけど、音楽や言葉、そしてその前にある思考にも定型がないなと思ってました。

さらに言うと、名前に含まれる「コミュニケーション」は相互に干渉するという点で、めっちゃ不安定な形をしてそうだと思いました。相手の反応や言葉によって感情が動かされたりモヤモヤしたりする感じ。
なので、

・正方形とか直線とか、きれいに整った形ではなさそう
・均等な配置や綺麗な納まり、整理されすぎたレイアウトは違いそう

と考えました。

あと、コミュニケーションを通して感情や思考が動かされる様子を表現したいなとも思いました。

平坦で特に心動かず、「ふーん」と何も思考が働かないことは楽だしきれいに見えるけど、二人が届けたい人に求めることってそうじゃないのでは?と解釈しました。

そんなことを思いながら手書きで線を引いてみたら結構気に入って、本当はパス引き直して整える予定でしたが、始めに一発書きしたものを越えられず、この形になりました。

Q. あの「もにょもにょ」は一発目だったんですね。他にも完成版のデザインで印象的な要素としては全体のザラザラとしたノイズ的質感も挙げられます。こちらについてはどうでしょうか?


もにょもにょ、ざらざら

みうら:ノイズを付けたきっかけに関しては、まずもにょもにょを引いた後のデザインを見たとき、シンプルで綺麗なんだけど見た目がのっぺりでツルツルしていて、奥行きや味がないのが気になりました。

もこみのポッドキャストへの想いや脱字っていう言葉の解釈から、シンプルですっきり整えられたものより、ザワザワして雑多でうるさいけど熱さや人間味が伝わってくる、みたいな方が合いそうだなと思いました。ざらついた感じ、アナログ感とも言えるかな?

音楽っていう要素もあるし、声で伝えるコンテンツでもあるし、音や声による波長やブレを伝えたかった。

そこでノイズっぽくザラザラさせてみたらどうかな?と試してみたらかなりイメージにピッタリだったので、よしっ!とさらにノイズの色調整したり、浮かないように文字にもブレ加工を施したり…と色々やってみました。私も気に入っています。

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