セミの種類

セミの抜け殻集め

今から十数年あまり前のことだが夏休みに、母親の実家に来ていた小学3年生の男の子と勉強をいっしょにしたことがあった。フィールドでの学びを親に頼まれていたので、庭に出たり近くの公園に行ったりして、植物や虫のことを教えたりした。その中でセミの抜け殻を集めて学んだのが、今でも懐かしく蘇ってくる。
新聞に抜け殻5種の写真が出ていた。抜け殻をたよりに図鑑でどのようなセミか調べてみた。アブラゼミ、ミンミンゼミ、ニイニイゼミ、ヒグラシ、ツクツクホウシの5種のセミが新聞に出ていた。

蚊取り線香の空き缶を持って公園に行き、セミの抜け殻を集めた。自然豊かな我が家の周りにはいろいろなセミの抜け殻がある。あっという間に空き缶いっぱいの抜け殻が集まった。死んで落ちているセミも拾った。
広げた新聞に種類別に分けておいた。子供は似たような抜け殻でも、見分けるのが実にうまくて早い。多い順に、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ニイニイゼミ、ツクツクホウシ、ヒグラシだった。骸になったのは、上位3種類のセミだった。
種類別の数を数えた。ちょうど3年生で棒グラフの書き方を教わるので、5種のセミの棒グラフを書いた。
夏休みの自由研究に使うために空き箱に抜け殻を置いて、虫ピンで止めた。男の子は大満足だった。

鳴き声からセミの種類を見極める

早朝に少し離れた裏山で、カナカナと甲高く鳴く声が聞こえてくる。その音は、夕方にも聞こえる。我が家の辺りでは、7月中旬になるとこの鳴き声を耳にするようになる。ヒグラシが鳴いている声だ。
次に我が家の桜の老木で、ニィニィーと優しく鳴く声がするようになる。この声を聞くと私は、家や隣接する段々畑の辺りをくまなく探して、ニイニイゼミの泥付きの抜け殻を見つける。
7月も末ごろの夕方、庭に水撒きをしているとゴソゴソ土の中からはいだしたセミの幼虫を見かける。しっかりとつかまるところまで行って、羽化を始める。白っぽい成虫が中から出てきて、一晩かけて茶色の姿になる。アブラゼミの雄が羽化すると、桜の枝でジジジーとお昼前くらいから夕方までにぎやかになる。
アブラゼミの次に庭では、ミンミンゼミの羽化が始まる。やはり夕方地中から出てきて羽化する。アブラゼミの羽は茶色で透けてないが、ミンミンゼミは透けて見える。ミンミンゼミは、午前中鳴くことが多い。ミ〜ンミ〜ンとまるでモーターでも回っているのかと勘違いしそうな声で甲高く響かせる。
立秋のころには、ツクツクホウシが鳴くようになる。ツクツクホウシの鳴き声が私には、ジュクジュクジュクリーッショ、ジュクリーショと鳴いているように聞こえる。江戸っ子の夫は、ホウシンツクツク、ホウシンツクツクだという。

北上してきたクマゼミ

朝早くからシャーシャーとうるさく鳴くセミの声をよく聞くようになった。小3の男の子と学んだころには、まだクマゼミはいなかった。それから数年もしたころからだろうか、シャーシャーと鳴く声を公園などで聞くようになった。やがて我が庭でも鳴くようになってきたのは、数年前からである。鳴くのが午前中だけというのが、せめてもの慰みである。初めて鳴き声を聞いたとき、なんとうるさいセミなのだろうと思った。
北上してきた昆虫は、クマゼミだけはない。
ツマグロヒョウモンという蝶が、クマゼミより早く北上してきた。次にナガサキアゲハだった。
これら以外にもいろいろと北上してきていることだろう。

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