影の薄い友達

大人になってから、まして、母親になってから、友達のことでまだ悩むなんて馬鹿げているのかもしれない。友達って何なのか、やっぱりわからない。友達の定義は人それぞれに、きっといろいろあって、それによると、私は多分誰かの友達で、私にも友達がいるんだと思う。でも、ドラマや映画や本の中に出てくるそれとは違うし、誰かの友達の話を聞くとそれもまた違う。どういうわけか、私はいつもその他大勢の友達。一番の友達が誰かわからないし、今までそういう人がいたかと聞かれても明確に答える自信が無い。だから、はっきりと「この人が一番の友達です」と言える人が羨ましい。きっと、その人は相手からもそう思われていることがわかっているんだろう。私の場合は、大抵いつも一方通行だから。数人で仲良くなると、その中でも特に仲の良い人ができるものだけど、私はいつもぼんやりした影みたいな感じになりがち。無視されているわけでもないし、仲間外れにされているわけでもないのに、なんだかついていけなくなる。そうなると、やっぱり深い友達はできない。ただ、無意識的に、誰かを深く知ることを怖がっているのかもしれない。小学生の頃に仲の良かった友達が離れていき、ヒソヒソ話されたり、仲間外れにされたりしたことがある。それまでその子が私の一番の友達だと思っていた。それからなんとなく、友達がわからないし、怖いままなのかもしれない。子どもが成長して、あの時の自分の年齢に近づいてくると、なんだか私の心はざわざわと落ち着かないような、変な気持ちになる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?