小さい自分


「実家から遠いところで、子育て、よくがんばったなぁと思って」

母に言われた言葉。

「ははは。でしょ?私もそう思うよ!」

なんて明るく返したけど、心の中ではよくわからない感情がぐるぐるしていた。

母の友人の子どもが出産し、現在子育て真っ只中。少し離れたところに住んでいるけれど、頻繁に泊まりにきたりしている話を聞き、そんな風に思ったらしい。私はわりと早く出産したので、母は友人たちの中でも早く孫ができたので、よそと比べたりすることもなかったんだろう。それを聞いて、素直にお母さんに甘えたり、頼ったり、そういうことができるのが羨ましい、と思った。下の兄弟がやんちゃ過ぎて、私はしっかり者であることをずっと求められてきたから、どういう風に頼ったらいいのか全然わからないことに気が付いた。「お姉ちゃんだから」自分でやるし、自分で考えるし、自分でなんとかしなくちゃ。両親は兄弟のことで大変だから、私は迷惑をかけちゃいけない。昔の話をするときも、両親の記憶の中には兄弟のことの方が色濃く残っているような気がする。私のことはあまり覚えてないのかもしれない。そう思うと、寂しくて悲しい気持ちでいっぱいになる。私はしっかり者でいることを求められ、その役割を引き受けてきた。生きるために。子どもの頃の私にとっての世界は、とてつもなく狭いものだったから。

あのぐるぐるした感情は、甘えられなかった寂しさと私の気持ちには気付いていない母への苛立ちと、今更それをどうにもできない虚しさが合わさったものだったのかもしれない。

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