POSからPOG(or POG Lite)へ

いきなり造語からスタートです(笑

小売業の数値管理の基本は、長年POS(販売時点管理)でのデータがベースになってました。要するに、レジで会計した時点(販売時点)で商品と価格と時間を記録して管理するというわけです。

それ以前には、単品管理といっても人力で日別くらいが限界(それも、やってたのはごく一部のはず)で、ほとんどがどんぶり勘定でした。

POSレジが誕生して、いろいろな分析が出来るようになったというわけです。まぁ、データは記録するが出力を考えてないレジもあって大変でしてね。。。リンクは張りませんが「怒りの○○」というページが今も残ってたり。。。


POGって何?

Point of Grab(掴み時点管理)という概念です。今のところググっても同様の用語はないので、独自用語です(笑。

簡単にいうと、棚から商品を掴んだ時点で記録する管理方法です。棚に戻したタイミングでも記録されます。

時間で記録していくので、商品Aを掴んだ後に商品Bを掴んでから商品Aを戻すような動きは順に記録(秒単位)していきます。

顧客が店内に入った時から会計またはエリア外への移動までで1アクションのくくりになります。

ただ、投資額の問題でPOG Lite(商品の動きだけで、顧客の紐付けがないタイプ)の方が主流になるかもという気はしてます。分析も必要ない可能性もありますし(後述)


戻し率/購入率

戻し率は棚から手に取ったが、購入せずに戻している率です。逆に、購入率は棚から手に取って購入している率です。

戻し率 + 購入率 + ロス率= 100%

という計算式が成り立ちます。ロス率は手に取ってるけど購入してないケースが主ですが、誤判断などの誤差も含みます。


商品回転率

これはよく使う数値ですね。売り場が何回転しているかと言う数値を金額ベースで求めます。関連する数値で、商品回転期間(在庫回転期間)と言うのもあります。これは売り場の商品が何日間で売り切れるかと言う数値です。

例えば、賞味期限が3日程度(商品を並べた翌々日が賞味期限)の売り場で、商品回転期間が1.5日程度だと鮮度は保ててます。しかし、3日を超える場合は、売り場にある商品が売れるのに賞味期限を過ぎてしまうと言うことになるので廃棄が多くなると言うことが数値で判断できるわけです。

まぁ、この計算自体が在庫金額に左右されるため、棚卸し時に在庫を超減らして誤魔化す担当者というのもいるので、それなりに注意は必要なのではありますが(苦笑


PI値とPPI値

あまり馴染みはないですが、PI値というものがあります。

PI値という言葉をご存知でしょうか。PIとは、Purchase Indexの略で、レジ通過客1000人当たりの購買指数といわれています。PI値は、来店客の支持度でもあり、ほぼ売場の立ち寄り率と一致します。

PI値=販売数量(金額)÷レジ通過客数×1000

そして、PPI値というのは、顧客単位で同じ計算をしたものです。数値の意味としては1人が1000回買い物した時の値になるので、実際の数値というよりはトレンドを見るような感じになります。

まぁ、1店舗に1000回来店って何年もかかるから、1000分率にはするけど元データの期間は考えた方が良いかもなんですけどね(年数や季節など)。


どういう分析になりそう?

こんな記事がありました。

 「TOUCH TO GOではカメラやセンサーを使って店内での利用客の動きを逐一追っていますから、利用客が『どの商品を手に取ったか』だけではなく、『どの商品を手に取った後に棚に戻したか』『どの棚の前にどれだけ立ち止まったか』『何も買わずに店を出ていった人がどれだけいるか』といったデータまで取得できます。これは商品の精算時にしか情報を取得できないPOS端末では、決して得られなかった類の情報です」(阿久津氏)

なるほど。

 例えば、ハム入りサンドイッチとチーズ入りサンドイッチの売り上げを比べてみたところ、後者の方が売れていることが判明したという。そこで店内の利用客の動きと属性をカメラやセンサーのデータを基に調べてみたところ、サラリーマン層は一度はハム入りサンドイッチを手に取るものの、棚に戻してもっと安い商品を買う傾向が高いことが分かった。

>『どの棚の前にどれだけ立ち止まったか』

は、使わなかったのかもですね。

ただ、

例えば、ハム入りサンドイッチとチーズ入りサンドイッチの売り上げを比べてみたところ

この文章だとスタートがPOSデータなんですよね。。。

これが、POG(or POG Lite)だとこうなると思います。

例えば、ハム入りサンドイッチの戻し率が高いので、同一カテゴリの購入率の高い商品を調べてみたところ

つまり、極論を言うと、商品の動きが主軸であって、売上額(本当は利益額)の視点は後からついてくるというわけです。


商品見直しの視点について

商品を購入するときは、金額と内容のバランスで決めると思うので、よりお得な商品が一緒に並んでいればそちらが購入されるはずです。なので、先ほどのハム入りサンドイッチの話だと、単に価格帯を下げるのはよろしくない気がします。

顧客は、「ハム」が食べたかったんだと思います。でも、ハム入りサンドイッチを手にしてみたら、金額と内容のバランスが悪くて『チーズ入りでいいか』となったのではないかと予想してます。(実際に商品をみてれば確信持てるんですが、東京にいけないんですよね。。。。)

当然、買う側から見れば安ければ安い方が良いんですが、お店を続けるにはきちんと利益を確保しないといけないので、分析を間違うと自滅していく気がしてます。


POG Liteの課題

POG Liteだと、棚の前に立ってて何もしない人というのはデータ無しになります。なので「棚の前にいたけど商品を掴まなかった人」の分析などには使えません。

でも、多分、そのデータが必要になる分析手法というのはまだ出てこないんじゃないかなという気がします。先ほどの話でも出てきてないですし。

もっと簡易な数値(指標)で十分でしょう。実際、過去に利益PI値とかを計算して商品見直ししたことありますが、その方法を説明しても分かってくれる人はいなかったですしねー。

(補足)PI値というのは売上PI値なので、より利益額が大きい方を選ぶとなると利益PI値で比較しないといけないのです。

なので、POG Liteで十分と思うわけです。投資額も抑えられそうですしね。


システム的にはどうなる?

POG Lite的には、棚の上に個別のカメラ&棚に重量センサーの組み合わせでワンセット。棚位置と重量変化のみデータ化はマストだけど、商品との紐付けは棚で持つかサーバー側で持つかは自由な感じ。

POGの方は、天井カメラで顧客をトレース&棚からの商品取得を判定、という感じですかね。まぁ、精度とか同時処理数とか考えると厳しいかもですが、レジ無しにしなければ会計後の深夜に処理ができるので可能性は高いと思ってます。


まとめ

あれですよ。POSは会計時にデータが出来ますが、POGは掴み時にセンサーデータが蓄積されるけど数値データはリアルタイムに取得する必要ないですからね。(前日分があれば十分)

なので、分析して店舗管理を効率化していくということと、データのリアルタイム性は切り離して考えた方が良いと思います。

なんかこう、数値が取れるなら連動して自動発注とかやりたくなるのはわかりますが、そこは密結合させずに柔軟に差し替えできるようにしましょう。今後、色々な仕組みが出てくる可能性が高いですしねー

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