余裕がないと挑戦的なものは不可能

 どんなプロジェクト、創作、副業でも、まずは少額の予算、いや、できれば無料から始める必要がある。
 なぜなら新しいものを始めるとき、何が当たるかわからないからだ。もし当たるものが予想可能なら誰でも億万長者になれる。
 だからまずはできるだけ多くの種類の「タネ」を撒いておき、芽が出るか、大きく育つかを見極めながら、色々試行錯誤するしかない。
 一方で、いくら元手のかからない副業や創作であっても、いきなり他人からのウケを狙わないとどうしようも無くなるケースがある。
 それは脱サラをしてYouTuberを始めるとか、とにかく家族を食わせていく必要があるとか、いきなり退路も何も後が無い状態からスタートする場合だ。
 この場合「絶対に近いくらいの需要がある」ものをターゲットに、なんの冒険もせず、他人の好みに徹底的に寄り添って「それって結局、大企業の作った○○の方がクオリティ高いし、普通そっち買うよね」みたいなものでも、何とか付加価値をつけて、見つけてくれた人に頼み込んで購入してもらうような状態になる。
 この場合「自分が好きなことを仕事に」などと甘いことは全く言えない。
 商品作りをする場合、どんなものであっても「他人が求めるもの」と「自分が作れるもの」と「自分も欲しいもの」が合わさったところからスタートするのが望ましい。
 そうじゃないと、その商品の良さの勘所がわからないし、伸ばした方がいいところ、やらなくていいことの取捨選択の精度が低くなるし、新しく挑戦する価値のある新規性を盛り込む余地が見えてこないからだ。
 ひろゆきさんも「自分が継続できること」が何かを考えて今のYouTubeの配信を始めたようだ。継続のためにはある程度好きじゃないと無理があるし「できる」ためのスキルが必要にもなる。
 とはいえ、最初認知されてない頃にそのスタイルは「絶対ヒットするわけがない」と周囲の人たちからは思われていたそうで、冷ややかな反応だったらしい。
 そんな中でも確信していたのが、オリジナルコンテンツを作った人に自動で著作権料(広告費)が入るという新しい著作権の仕組みをYouTubeが導入したことで、いくら長尺の無編集で動画を垂れ流しても切り抜き職人が「良いところ」だけ切り取って編集してくれるだろうということだ。
 自分で一切編集することなく(編集が最も時間がかかる)編集された動画が上がり、広告費も半分入ってくるスキームを思いついたが、誰もやりたがらなかったので自分一人でやることにして、先述の「自分が継続できること」を軸に、今の配信スタイルを始めたのだという。
 そういう新しい挑戦は、いつヒットするかわからないので、無料でばら撒いておいて跳ねるのを待つしかない。そして、その長いか短いかわからない時間と手応えのなさを許容するためには、ひとまず生活に「食えなくなることはない」程度の余裕が必要なのである。

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