Apple Vision Proの存在をすぐ忘れる

 表題の通りApple Vision Proの存在をすぐ忘れてしまうのだが、本記事を書いているのはApple Vision Proが一般に販売されて一週間くらいの時点だ。YouTubeやブログ界隈のプロ驚き屋の方々が絶賛記事をあげるたびに「あー、確かにそういうのがあった」と思い出させてもらっている感じである。
 私はiPadの使い道がわからない派だが、iPadに関してはまだ、どういう使い道があるか少し検討したくなる。しかしApple Vision Proに関しては全くその手の使い道を考えたくなる感覚が湧いてこない。
 なぜApple Vision Proに対してここまで興味が湧かないのか不思議なので、少し考えてみる。

できることが予想の範囲内すぎる
 まずできるとされていることが、全然予想を超えてこない。一つでも「そうか、その使い方があったか」と思える何かがあれば良いのだが、何もない。
 目の前が空間ディスプレイになるみたいなことかも知れないが、おそらく普通の眼鏡かコンタクトレンズくらい気にならない状態じゃないと普段使いには難しいように思う。
 まあ、今のところVRのヘッドセットを使ってできる範囲を全く超えてこない。

「これを待っていた」的要素が皆無
 何かが欲しくなる時というのは、個人的には強くフラストレーションがある時が多い。どうしても欲求が満たされない状態でモヤモヤしている中、ある時、解決策となる商品が提示されると、それだけで「これを待っていた」となって、その商品が欲しくてしょうがなくなる……みたいな流れだ。
 残念ながらApple Vision Proには、その「これを待っていた」的な要素が全く見当たらない。先述の予想の範囲内に収まる程度の機能しかないからだ。いくらApple印のブランドで見た目が美しく高額であろうとも、機能を必要としている百均の商品にも満たない「欲しさ」である。

試してみたいとすら思わない
 さらに自分でも面白いのが、こういう商品は欲しくはなくても試してみたいと少し思うことが常であるが、それが全くない。まあ展示場で不特定多数が被ったゴーグルをつけるのは不織布マスクを使い回すような感じがして衛生的な抵抗感があるが、仮に自分一人しか使わない場合でも試したいとは思わない。
 これと似たものとして面白い書き込みを見かけたが「ジョブズがiPhone発表した時と批評が似ている」の意見に対して、「ジョブズがiPod Hi-Fiを発表した時と似ている」というものだ。
 全く知らなかったので調べてみたところ、iPod Hi-Fiは、かつてAppleが開発・販売していた家庭用アンプ内蔵オーディオスピーカーのことで、上部にUniversal Dockアダプタを装備しiPod内の音楽を高音質で再生することができた……というもののようだ。
 確かに言い得て妙だ。見た目は良い感じだが、機能的に全く欲しいと思わないし、展示場に出向いて試したいとも思わない……そっくりだ。
 以上から、Apple Vision Pro=iPod Hi-Fiで個人的には腹落ちした。

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