カード式のアイデア創出に馴染めない理由

 以前、「ツェッテルカステン」という生産性を高めるアイデア創出法とされている手法を紹介したが、結局「KJ法」の亜種であり、 私には使いづらいものに感じた。
 前回の紹介記事はカード式アイデア創出法のいいところに注目してみたが、本音というか素直に使いづらいと思う理由について紹介してみよう。
 まず、いきなり大前提をひっくり返すが、アイデアを一つ、一枚のカードに書くというのは、きわめてまどろっこしいし、この手法の要となっているここで(私のアイデア出しにおいては)盛大に破綻する。
 私がアイデアを出す場合は、思いついた瞬間、ノート上のどこかにその思いつきを書き留め、しばらく後からその思いつきを見直す段階を経て、さらに変な思いつきを見つけては書きつけ、少しずつ内容を更新していくため、アイデアを決めて一枚のカードに書いて睨めっこするようなことはしない。
 思いつきを書いている最中にも、次々とこれまで一度も考えたことがないような少し異様な考えが湧いて出てくる。ノンストップライティングの手法に近い。それをカード一枚一枚に書こうとすると、あまりにも非効率で時間がかかるし、出来上がったカードもほぼ意味を成さないゴミのような断片だらけになってしまう。
 しかしノートの上であれば、適当に書き付けて後から不要なら無視や放置で良い。
 わざわざカードを購入してきて、カードの束から取り出してアイデアを書き込んで、別に置いておき……などという面倒な工程が一切ない。
 そもそもカードに書くアイデアは、そういう低品質な思いつきではなく、そういう雑な思いつきを出せるだけ出して取捨選択し、一つにまとまった時に、ようやくカード一枚に「アイデア」として書き付ける、そのくらいの品質のものを想定しているだろう。
 しかし、そんなことをやっていたら、時間が無限に必要になってくるし「混ざる」可能性の少ない結論的な……いわゆる「固いアイデア」しかなくなるように思う。
 だから、カード化してしまったらその時点で、名著と言われる『アイデアのつくり方』にあった「既存の要素の新しい関係性を見つけ出す能力」を鍛錬することにはなりづらいのではないだろうかと思う。
 以上は、どこまでも個人的な感覚でしかないし、誰にでも当てはまる話でもないと思うが、カード式のアイデア出しがネットで紹介されているのを見ると、たまに検討したくなるので、どんな理由で自分には使えそうにないかをここで明らかにしたくなった次第。

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