メタバース、VR関連の企画が通る理由

 メタバース、VR関連のサービスは始まる前から失敗するとおそらく八割強の人達が予想していたはずだ。一部では「VR元年」だのバーチャルオフィスだの大騒ぎしていたが、大多数の人は何も期待していなかった。
 時間や場所が制限されるテレビが衰退し、いつでもどこでも視聴可能なYouTubeこそが真の未来のテレビ像だったということから何も学んでいない。
 だからメタバースだのVRだのの言葉を出すだけで少し恥ずかしい(頭が悪いと思われる、信用を無くす)まであったくらいだ。
 そんな中、なぜかメタバース、VR関連の企画がまかり通ってきた。だから最近お目見えする、いくつかの寒々しい製品やサービスが立ち上がったのだ。個人的にはどうやったらそんな企画が通るのか意味不明なので、その理由を少し考えてみた。
 安直に「新規性があるものは売れる」などと見込んでいたのだろうか。よく「何が流行るか予想はつかない」ということが言われるが、それは……

・本気で執着している人が結構な数いる
・ただ多くの人はその良さを知らないだけ
・手軽に誰でも試せる、所有できる
・一度触ったら離れられなくなる

 以上の要素や条件がいくつかが揃った上でまだ流行っていない場合にのみ使って良い言葉だと思う。
 たとえばAI関連はVRと似たような雰囲気で無理やり大騒ぎしている感があるが、上記の要素や条件がいくつか揃ってきているので、まだまだ可能性はあるだろう。
 ひとまず、これら条件が揃わないと何も始まらないし、もしそんな簡単な条件すら揃わないものを「一発当たる」と本気で思いこんでいるのなら極端に頭が悪いか、スマホの成功事例などを元にした「技術革新=金」もしくは「話題性=金」という金に目が眩んだだけの願望のどちらかでしかないように思う。
 形だけの新規性、形だけの話題性は一瞬で気づかれる。もし「騙しきれる」「誤魔化せる」と思っているならユーザーを馬鹿にしすぎだ。予定調和に興味を持つ人間はまずいないので、そんなものの中から破壊的なイノベーションは決して生まれることはない。
 さて、簡単に上記の条件が揃わない理由や、失敗の原因を一言にまとめると「それ、本当に(開発者が)自分が楽しむために作ったのか」ということに尽きる。
 金に目が眩んだ人間が話題性があれば何でも良いとやれメタバースだ、VRだ、ゴーグルだ、仮想通貨だ、NFTだ……などとプロジェクトを立ち上げ、その周りで稼ごうとする開発者たちが群れる。しかし、そのサービスや製品自体を楽しみたいという人は不在という惨状だ。金に目が眩んでいるだけで、関係者の誰もその製品、サービスを楽しもうとしていないので当たり前である。
 だからまずは自分達が本気で楽しむために作ったものを、一般の誰でも楽しめる形、エンタメに調整して世に送り出し、その上でハネるのを待つ……というのが美しい流れだろう。

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