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Ⅱ.現代アートのはじまり(ⅰ‐a)ポップ・アート

 ポップ・アートは反芸術的な試みと大衆消費社会の雰囲気をもって1960年代より主にアメリカにて隆盛を迎えます。1962年はアメリカにてアンディ・ウォーホル(1928年-1987年)やロイ・リキテンスタイン(1923年-1997年)などの大衆文化にあふれる映画や広告、芸能人などのイメージを流用したポップ・アートを代表する作家の個展が一堂に開催され、ポップ・アートが注目されることとなりました。ポップ・アーティストたちは日常製品や娯楽文化のイメージをモチーフとし、大量に生産し消費される様子をイメージの並列や反復、工場で作られた無機質な作品の仕上がりを特徴とします。そこではモダンアートにおける芸術作品の自立性や純粋で唯一性は否定され、量産的で俗的な消費物の中にこそ世相や美の様なものを見出せるものと考えたのです。ポップ・アートの名称はイギリスの評論家ローレンス・アロウェイが用いたものが起源とされます。ポップ・アート自体はアメリカに活動の拠点を移したアロウェイが大衆のイメージを用いたアメリカに現れた作品を指して呼称したものですが、その起源はアロウェイの母国イギリスにあります。1960年代のイギリスにおいてアロウェイはリチャード・ハミルトン(1922年-2011年)などの作家と共に、流通する広告やメディアを指して「ポピュラー・アート」と命名し、大衆文化と芸術の関係を研究します。1956年にロンドンで開催された「これが明日だ」展では、ハミルトンの「いったい何が今日の家庭をこれほどに変え、魅力的にしているのか」が発表され、ポップ・アートの原点としての作品と目されています。

 



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