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Ⅱ.現代アートのはじまり(ⅰ‐c)コンセプチュアル・アート

 コンセプチュアル・アートは1967年のソル・ルウィットによるエッセイ「コンセプチュアル・アートに関する断章」や、代表作家であるジョセフ・コスースが1965年に発表した「1つと3つの椅子」によってその理論や概念が成立されました。河原温も前述の二人に並ぶコンセプチュアル・アーティストの重要人物とされます。デュシャンに代表されるダダイズムの方法が継承されており、設置された物質とそこに内在する意味からなるイメージに着目しており、モダニズムの芸術観のように物質性の追求やそのもの自体で完結する唯一性が否定されます。1960年代に誕生した当初のコンセプチュアル・アートはより言語や概念に対する言及が切り詰められており、言語学などの哲学的な考察の強い還元的な傾向が強くあったため、作品の媒体としてメールや写真、広告などが用いられることが多くあります。以降はその方法は応用され、もの派やアルテ・ポーヴェラ、フルクサスのパフォーマンスとも方法論的に接近することとなります。美術批評家アーサー・コールマン・ダントーの提唱するポストモダンの芸術観である、「他の文化や影響のもと成立し、また何らかの社会の状況に対する哲学的な問いが内包される必要性があるもの」というのは、コンセプチュアル・アートの理論が拡張し、メディウムとそこに内在するコンセプトにより成立する今日の現代アートの一般的な形態となっています。

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