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2020年度秋田レクチャー記録 #2

お盆のはじまりの13日に秋田でのレクチャーシリーズの第2回目『ブランドとは?』を開催した。

ゲストは、中川政七商店会長の中川さんと台湾と日本を拠点に活動する漢方ブランド『DAYLLILY』の代表の小林百絵さん。300年続く企業の代表である中川政七さんと、3年目に差しかかろうとする小林百絵さん。この100倍の時間の差だけでなく、家業と創業、雇用している規模、いろんなところが対照的な二人に今回、登壇をお願いした。


ただ、先に断っておきたいのだけど、ただ対照的な二人の対比を見せたかった訳ではない。和雑貨に漢方という切り口は異なれど、彼らが着手するまでは、非常に限られたイメージと限られた接点しかなかったものを、現代にフィットする最適解の形づくりに挑んだ2人にお願いしたつもりでいる。

今、生きる人にどう愛されて、これからも社会の中で生きていく。そんな基本を二人がどのように意識し、挑んでいるのか、聞きたかったし、それぞれのブランドに対する意識の根底には、非常に似たものがあるのではないかと思っていた。

話が進むなかで、2人とも、発信者への好感を呼び起こそうとする「共感型」ブランド醸成ではなく、自分の掲げるヴィジョンやミッションと、お客さんそれぞれが持つリアリティの相違を認めながらも、その上でお互いが肯定し合い、支えあう「共創型」のブランドづくりを目指していることを語ってくれた。

そして、「ブランド」とは、あくまでもメーカーが主張することではなく、エンドユーザーや社会の気づきが重なり合い、結果的に醸成され、メーカーはその醸成された信頼に応え続けていくだけだとも語ってくれた。そのために、中川さんは場をつくり、小林さんは距離感近いコミュニケーションを心がける。

ブランディングという言葉が多くの場合、メーカーの主張する姿・形を整理する際に使われるが、彼らの目指すブランディングはどれだけ主張したという事ではなく、どれだけエンドユーザーや社会の声を聞けたのか?というところにあるということだった。

語る時代から、聞く時代へ。
聞くために自分から優しく話しかける、問いかたの変化。

そんなブランドづくりを行う上での基本に立ち返り、変化を学ぶ時間になった。

忙しいタイミングで登壇いただいたお二人、参加してくれた受講者の皆さん、事前調整からお手数かけまくりの事務局の方々、どうもありがとうございました。次回も宜しくお願いします。


あと余談だけど、話しを聞きながら思い出したのが、若林恵さんのこのインタビュータイトルの『メディアの価値って、声の大きさではなくて、「耳の良さ」に宿る』だった。
https://cufture.cinra.net/article/202007-wakabayashikei_myhrt